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アノンの涙  作者: maruko


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16/50

16改

沢山の作品の中、拙作を見つけてくださりありがとうございます

epの順番を訂正しました

ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした( ᴗ͈ˬᴗ͈)

「ふふふっ」


「まぁお嬢様、お手紙で笑うなんて。そんなにも面白い事が書かれているのですか?」


「ふふっ、そうね。面白いっていうか、すごいなって感じかしら。()()()()突拍子もない事をしたり、感じたりするのね」


 微睡むような日差しが、アノンの部屋へ差し込む。そんなある日の午後、アノンはルートからの手紙を読んでいた。

 巻き戻り前の人生と大きく変わったのは、ルートとハウケン夫人が遊びに来ない事だ。

 その代わりのように、アノンはルートと文通をしている。

 あのジュノン()への告白の日から、アノンの口調は、意識しなければ大人のようになっていた。ユナとアントンの前以外では喋るのも苦労している。


 父は、あれから忙しく飛び回っていた。

 前の時にも増している働きぶりに、アノンは心配になるが、前の時と違うのはロードがジェルバン子爵家(ここ)に居ない事だ。

 彼は今、前子爵が療養している屋敷で仕えている。


「ルートが、日々の事を色々と書いているのだけど、その彼等の発想が、私には思いつかないことばかりなの」


「お嬢様は、()()()ハウケン伯爵令息様と、よく遊んでいらしたのですよね」


「えぇ、二人でよく走り回っていたわ。庭もこの家でも。()()()の事も、注意を受けたのはこの頃よ。本当に楽しかったの。だけど、それってやっぱり冷静に考えれば貴族の令嬢らしからぬ事だと今ならわかるの。あの頃ルートはきっと私に合わせていたのね。彼は本好きなおとなしい子だったもの」


 そんなルートの日常は、手紙によれば、本ばかり読んでいるルート()を、如何に兄が外に連れ出そうと躍起になっているか、という様が認められていた。

 “今日の兄は、こんな事をして自分を連れ出そうとした。”

 たまにそれが妹のときもあったり、二人一緒だったりもある。

 ルートの手紙の大半は、兄妹の行動が他人事の観察対象のように書かれていて、それが宛ら報告書の様で笑えてしまうのだ。


「まぁまぁ、そんな事が書かれているのですか?!」


 アノンが面白可笑しく手紙の内容を話すと、ユナも破顔してそれを聞いてくれる。

 アノンも以前と違って、外で飛び回ることもなくなっていた。

 それはそうだ、アノンの外見は7歳の子供でも、精神的には30代なのだから、外で遊ぶという発想は、今のアノンには無い。


「そういえば、お嬢様。そろそろロード様が、一旦お帰りになるらしいです」


「まぁそうなの!ちゃんと()()()()()()()くれたかしら?」


「どうでしょうか?」


 ロードが、前子爵の屋敷に行ったのは、お金の流れを止める為だった。

 以前から、ジュノン達が不自然に思えるお金の流れが、ジェルバン子爵家にはあったのだと、アノンは、()()()()聞かされた。


 あのあととは、巻き戻りの告白をアノンがしたあとなのだが、その時に今後について父から明確な話をアノンはされた。


 その一つが、子爵家の財産を早々にキープする事だった。

 この頃は、子爵家の仕事としての役割分担は、外向きはジュノンとアントン。内向きはロードが担っていた。

 つまりお金の管理は殆どロードが請け負っていたのだ。

 執事という仕事なのに、家令のように家向きの事を主にしてくれていたという。

 それは父が頼んだからだった。

 流石にミネリタには任せられないと、ミネリタが女子爵を継承してからは、ロードがしてくれるようになったという。


 そのロードから、お金の出処が不自然であるとジュノンは報告を受けていた。


 子爵家のミネリタの予算を、大幅に超過する買い物をミネリタが行っているという。

 だが、その請求が子爵家には来ていないと、ジュノンは報告を受けていた。


 巻き戻り前も、おそらく同じ事が起きていたのではないかと、ジュノンは想像してアノンに話してくれた。


『では、お母様の散財はこの頃から既にあったという事なのですね』


『あぁ、そうだと思う。そして私はきっとそれを放置していたのだろう』


『それは何故ですか?』


『⋯⋯それはきっと⋯面倒だからだろうな』


 ジュノンの言葉に目を見開いたアノンだったが、自身に覚えがあって頷くしかなかった。

 以前のミネリタもお金がないというと、途端に豹変する人だった事を思い出したからだ。

 子供の頃のアノンには機嫌をとるように、どうにか予算をミネリタに優先して付けるようにと、言い聞かせたりしていて、大人になったアノンには、もっと稼げと働くように強要していた。

 それもこれも、ミネリタの欲を満足させるためでしかなかったのだと()()()思える。


『お金が常になかったのは、やはりお母様のせいだったのですね』


『そうだな、だがミネリタの金切り声は心臓にも悪いし不快だから、見てみぬふりをしていたんだが、この際、それを止めようと思う』


『お金の出処はご存知なのですか?』


『おそらく、前子爵の予算が、ミネリタに回っているのだろうと思う』


 なるほどとアノンは思った。

 今からあと数ヶ月後に、前の時は、子爵夫妻が立て続けに病に侵され亡くなった。その頃に流行る流感が原因だった。

 その流感で、ジュノンの父の前辺境伯も亡くなった。


 彼らが亡くなったあとから、急にジュノンが忙しく飛び回るようになったと、アノンは思い出した。

 ミネリタの浪費が、子爵家を圧迫し始めたからだとジュノンの話を聞いて理解するに至る。


 その流れを止めるべく、ロードは前子爵の屋敷に()()に行っているのだ。


 どのようにロードが前子爵と話して来たのか。


 アノンの興味は、ルートの手紙からロードへと移っていった。









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