紅・桃の記憶(秘密)
前回の投稿から早一か月……またしても時間が空いてしまいましたぁぁぁぁ!!!!
違うんです!課題が意外と多かったんです!(ダメな言い訳ベストワン←)
コロナの影響でいまだに学校がいつ開始されるかはわからない現在ですが、始まり次第さらに投稿が遅くなる可能性があります(というか絶対遅れる)
まだ余裕のある今の内にたくさん書かなくては……(使命感
初めは単純な疑問だった。
「なんで私って髪が赤いの?」
空気が冷たくなる。私はこの空気を知っている。懐かしい雰囲気。吐きそうな思い出。
今部屋にいるのは、姉さんと兄さん。二人の視線が私の体を串刺しにする。
暫くして先ほどまでの空気が落ち着いて来た頃、未だに少し硬い空気の中最初に口を開いたのは姉さんだった。
……できればそれは言ってほしくなかった。私はただ理由が知りたかった。
ーー知る必要はないわ。
後にも先にも姉さんが私に明確な友好以外の感情を見せたのは今回だけだった。
私はその言葉に違う意味を見出して……
私はそれ以降例えそれが事実ではないとしてもそれを正しい認識としてふるまうようにした。
だって私に知る権利はないのだから。
………………
それから暫くして私たちの家の中に瞬君がいることが当たり前になってきた頃。私にとって髪が赤いことは当たり前のように錯覚し始めていた頃。
瞬君が使い慣れてきた日本語で私にあることを聞いてきた。
ーーどうして凛と明姉さんは髪が赤いの?
日本人の髪は基本的に黒もしくは茶色。まだ小さい私でも分かることである。
赤色の私はかなり異質なのである。そう異質なのだ!
その認識がようやく他人と共有できたことが嬉しくて私は少し舞い上がってしまう。
瞬君という例がいるのだ。やはりみんなが私たちと長くいたせいで少し見慣れていたせいで!
私がおかしいというわけではないのだろう。
「姉ちゃんに聞いてみよう!」
なぜだかテンションの高い私を見て釣られたのだろうか瞬君も少し笑ってくれてとても嬉しかった。
………………
ーー何言ってるの?それが普通でしょ?
嫌われた。そう確信する。
その目は明らかに普通ではなく、その目は明らかに闇を内包していた。
その視線とあの日の姉さんの視線が重なる。
どうして?
私にはわからなかった。
わかりたくなかった。
どうして?
瞬君の意見が変わったのはどうしてなの?
瞬君の目が変わったのは何でなの?
やっぱり私がおかしいの?
………………
学校でも、家でも、どんな場所でも、私は正常な存在だ。
私は赤浜凛。至って普通の赤髪の少女。
そして普通に恋するただの少女。
………………
焦る。
親の正体がバレるのはマズイ。
もし他の人にそれの存在がバレたら「洗脳」が解けてしまう。
洗脳が解けたら政府に「存在」を認知されてしまう。
認知されたら、何をされるかわかったもんじゃない。
何より……大切な妹が嫌な目に合うのが許せない。それだけはどうにか防がなくてはならない。
私の先祖は認知されるのが嫌でこの魔力の薄い地球で頑張って魔力をかき集めて、「洗脳」をかけたというのに……
どうしてあの子に洗脳が効かないのだろうか?
………………
転移者。黒髪の転移者。先祖様から一度聞いたことがある。
確か四大国家の内、東の国の国王の一家が黒髪の一家だったはずだ。
いや早計だな……そうとは限らない……それに東の国には黒髪が多いと言うし……
それに東の国王だとしたら精霊の継承があるはずだ。
詳しい情勢は私の勉強不足として……先祖様からまた教えてもらうとしよう……
それは置いておくとして、彼……瞬君はどのように転移してきたのだろうか……?
そもそもなんで日本語名なのかもわからない。赤浜家の名は最初、夜夢家から頂戴したから日本語名を持っているのだが……
予想するならば、日本人が向こうに転移して生まれた子がまたこっちに転移した……ということだろうか。
奇跡にもほどがある……だが魔法だってあるのだからそれ位の奇跡もあり得るだろうか。
東の国は完全な君主制で大規模魔法よりも付与魔法が一般的だと先祖様は言っていた。
先祖様がいた国は戦略魔法に長けていたようで……色々あって転移させられたようだが、詳しい話はまだ聞いていない。なんとなく聞きにくいのだ……
………………
行く暇がない……
白に子守りをお願いしようとも思ったけど、あっちにはあっちの……夜夢家の事情がある。
……この二人は本当に私から独り立ちできるのだろうか。
………………
修学旅行の日。私は一人先祖様の元へと向かう。ここ最近は会えていなかったからか緊張感が私を包みこむ。
訪れた先は山奥。まったく整備されていない道を見て溜息が出る。
「理の枷を外せ」
短い詠唱式。それと同時に首にかけていたネックレスの先端についている緑色の宝石が砕ける。
精霊石。精霊の中でも最も位の低い微精霊が内包された石。
こちらの世界は異世界と違い魔力が非常に薄く、精霊は誕生できないのだそうだ。
だが、存在しないわけではない。
転移者が異世界側からこちらの世界に転移してくる際、転移者と一緒に微精霊もこちらに転移するらしいのだ。
理由としては転移の魔法が対象魔法ではなく空間魔法だからではないだろうか……と言っていたが詳しいことは専門外である私にはわからなかった。
精霊も生き物である。自我を有しているうえに食料をきちんと接種できなければ魔力になって消えてしまう。つまり、連れてきても育てられなければ微精霊は死んでしまうらしい。
育てるために必要な食料は魔力らしく、さらに精霊を視認する特別な技術も必要らしい。
突然、浮遊感に襲われる。私には見えないがそれぞれの微精霊が力を合わせて魔法を発動しているのだそうだ。
普通の人間なら経験したことのない無重力故になれるのには時間がかかったが、その場に立ち止まることすらも出来ていなかった最初に比べたら随分と成長したものだ。
移動は体重移動。つまりセグウェイのようなものと私はいつも思っている。
景色がすいすいと流れていく。すいすいと流れて……溜息を溢す。
下を見るとそこに地面らしい地面は残っておらず徹底的に外敵を入れないという姿勢を示しているようだった。今出た溜息は敬意の念も込めていたけれど、どちらかというと呆れの念が強かった。
ここまで強固な守りにしなくても、初級魔法一つで容易く人は死ぬのに……先祖様は途轍もなく慎重である。
「着いた……」
ようやくついた場所は何の変哲もないただの洞穴。しかも草木が生い茂っており本能的に足を踏み入れることを躊躇してしまいそうになるが……
「………………」
足を踏み入れるとあら不思議、周りに景色が歪みだしそこに現れたのは洞穴ではなく祠だった。
初夏を迎え暑さが増している外とは違いここはひんやりとしており、どこか神聖さを肌が感じ取る……そんな場所だった。
「キタか」
奥から声が聞こえる。
少しカタコトな……それでも厳かな雰囲気を纏った女性の声。
光が入り口から差し込んでくる。私の存在が影となり奥にいる女性の輪郭がぼやけて見える。
『火を灯せ』
詠唱式。それを認識したと同時に部屋が一気に明るくなる。
緋色に輝く魔力の火に照らされその姿が鮮明に見えるようになる。
彼女は静かにそこに座っていた。
私とほとんど見た目に違いのない赤髪の女性。神聖さは彼女から放出されているようで、彼女を前にするだけで私の足は自然に震えだし、気のせいか彼女の近くにある魔力の火も震えているようだった。
「メイ……ワタシノニホンゴハウマクナッテイルダロウカ」
私の名前を最初に出しながら、とても上手とは言えない日本語を私に向かって飛ばしてくる。
『久しぶりです。サウス・ドライシン・ユウール様。どうやらしっかりと日本語の練習も行っているようですね。前来た時に比べ随分とうまくなっています』
サウス・ドライシン・ユウール様こそが私の先祖様であり、異世界転移者である。
「ヨシ!レンシュウシタカイガアッタ!『っと、メイがここに来たってことは何かあったのかい?』
かなり軽い口調で話す彼女に私は至って真面目に返す。
『何もなくても来ているじゃないですか。私を疫病神と勘違いしているのですか?』
気づけばペラペラに話せるようになっていた共通語で彼女と話す。真面目腐った言い回しの私にユウール様がもう少し崩してもいいのだがな……と私に聞こえるぐらいの声で苦言を呈すが、私にこれ以上崩す気はは毛頭ない。というよりかはこれでもだいぶ譲歩したつもりだと私は思う。最初は彼女の存在感にジョークすら言えなかった。
『ですが……そうですね。伝えるべきことがあったのは事実です』
元々ここに来た理由を思い出す。
なぜか洗脳の効かない凛。突如現れた黒髪の転移者、それの正体。転移による微精霊の増加。これからの瞬の処遇……話さなければいけないことがたくさんあることは事実である。
『………………』
ふとユウール様が虚空を見つめる。
その先には当然のごとく何もなく……だけれどしっかりと何かを見つめており。
『精霊が鳴いておる……』
ユウール様の呆然とした一言は虚空にぶつかり、長い間私の耳の中で残響することとなった。
赤の心の持ち主である『赤浜凛』
桃の心の持ち主である『赤浜明』
の過去の記憶の確認。次は続きを○○する。




