白い記憶(世界の真理1)
今月2本目ですね。。。非常に遅いペースであることは重々理解していますが、、、これからもこれぐらいの更新速度になるかもしれないことを先にお詫びします。
ブックマーク17!それに合計評価ポイント68pts!感謝してもしきれないです!!
これからもご愛読頂けるような物語を書いていきます!
『どうして君にだけ話が通じるのかはわからないが……えっと、シュンって呼んでいいね?なんでシュンにだけ俺たちの言葉が通じるかは分からないが、この場ではちょうど良い。通訳をお願いできるか?』
通訳。ただの翻訳などと違い両方の言語に精通して尚且つ、意味を噛みしめながら相手に伝えなければならない。
しばらく泣いていた僕だったけれど、その言葉を聞いて気を引き締め直す。
赤く腫れているはずの瞳をみんなに見せないようにして目の前の王と顔を合わせる。
『繧上◆縺励?縺溘>縺帙▽縺ェ縺翫→縺?→』
『今の言葉はわからないのだろう?……全く何故王侯語が分かって共通語がわからないのだ……』
どうやら僕が使っている言語は「王侯語」と呼ばれるもののようで現在この世界で標準的に用いられる「共通語」とは分の形や字すらも違うらしい。
何故分けているのだろうか……
言語を分けているといえばエジプト文明が僕は最初に浮かんでしまったが、ヒエログリフの様に階級によって使う言語が違うのだろうか……?
『まあいいや。そこらへんの説明は後で聞いても構わないか……困惑しているのは俺たちではなくシュン達なのだからな』
そこで一度僕から目を逸らし、後ろを見る。
後ろにいるのは僕と同じ境遇の3人。
……?少しアルタイルの表情が歪む。
そこに含まれているのは後悔、自責の念であり……
『まずは、君たちの身に降りかかった事象について話そうと思う』
僕は黙ったままである。結論は既に知っているが故に。
『端的に言おう。君達は元々いた世界からこちらに呼び出された』
つまりは転移である。とそう締めくくった。
そのことを3人に日本語で伝える。
当然みんなの顔色が大きく変わる。
言葉の意味を噛みしめようとして脳がそれを拒んでいる人。
「お決まりの展開」とやらに興奮を隠せない人。
冷静に物事を見ようとする人。
それぞれが違う顔をしながらこの現実を受け止めようとしていた。
「…………」
実際には受け止めきれないだろう。
人間には受け止め切れる情報の器がある。その器の限界を超えた情報を浴びせられたとき、人間はキャパを超えると言うのだ。
ましてや今はまだ12歳。あと少しで13歳の彼らのキャパなど大人と比べれば小さなものだろう。
と、13歳であるはずの僕は冷静に見ていた。
『故意的に呼び出したってことですか?』
さらなる情報を得るためにアルタイルに質問をぶつける。
その質問に対する行動は眉だった。
ピクリと動かしたそれに呼応してアルタイルはため息を吐き……僕に目を合わせる。
『全く、困る質問をしてくれるものだ……回答次第によっては君たちの思う様に物事が動く様になってしまうではないか……』
……正直な人だ。それを言わずに隠しても良かったというのに……いや、それすらも一つの手札なのだろうか?
(ーーーーーーーーーーーーーーーー)
『……まずは謝罪しよう。もちろん後でしっかりと説明するつもりだったが……な。他の国からの人間とはいえ、この国にいる限り「人権」は守られなければならないからな……』
「は?」
素の声が出てしまう。
驚いた後、後ろを見る。
みんなも驚いた顔をして頷いていた。
どうやら僕の勘違いでも聞き間違いでもないようで少し安心する。
……だけれど念のためにもう一度聞いておこう。
『……「人権」についてもう少し詳しくお願いできるだろうか?』
「人権」日本語そのままの単語でアルタイルは今言った。
その言葉がわからない僕たちではない。
僕と凛に至っては、明姉さんに予習もしてもらっているから、日本の憲法についての知識も若干ある。
『やはり食いついてきたか……』
小さく呟くそのセリフ。誰にも聞かせたくないのか、それとも僕にだけに聞かせたいのか。
……敢えて王侯語で言ったあたり、僕に何かを伝えたかったのかもしれない。
『……この国では帝王民主制という政策をとっている』
帝王民主制……。
頭痛が痛い……矛盾している政策だと最初に感じた。
帝王制……つまりは君主制のことだろう。それに民主主義を入れるなんて……。
いや……立憲君主制なのか……?
残念ながら名前を知っているだけで、僕のそれらに対する知識は皆無に等しかった。
『もちろん憲法の中に人権に関する文もある。それが今回守られていない故に現在のシュン達の立場は特殊なのだ……』
『ちょっ!?』
場がざわつく。
『謝罪しよう。この通りだ』
帝王が腰を折る。
全員が驚愕の目を向ける。
正直に言えば、ただのガキ(にしか見えない)に腰を折っての謝罪などして欲しくはないのだろう。だが、帝王の命に背くこともできないのでこれほどに場がざわついているのだろう。
僕の後ろにいるみんなも驚いているようで(話の内容はわからないだろうけれど)驚愕に目を開いていた。
もちろん僕も驚いている。
ただし驚く場所が違った。
(日本で民主制が取られたのは戦後からだった……それまでも立憲君主制だったとはいえそれも近代の話だ……この世界の文明レベルがどれほどかはわからないけれど、すでに近代レベルまでには来ていると思っていいのだろうか……)
だとすれば、かなり発達した文明だ。そう言う意味で僕は驚愕していた。
頭を下げ続けるアルタイルになんとか頭を上げてもらい話の続きを促す。
確か故意的に僕達を召喚したと言う話だったが、、、
(ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー)
『……話の途中だったな……先程言った故意的に召喚した話だが……』
脱線した話の方向を修正しまた話は召喚に関するものになる。
僕自身、召喚は二度目の経験ではあるけれど、全くもって原理は分からない。
2回目の今回の召喚の起因は、この人達が何かしたのだろうという漠然としたものが分かるけれどどういった事情でこのようなことをしたかは分からない。最低でもそれは知っておきたい。というのが僕が考えている質問内容である。
果たして僕が何を質問しようとしているのかわかったのか少し頷くと、
『俺達には勇者が必要だった』
そう話し始めたアルタイルの顔は苦渋に満ちていた。
始精霊である「ケテル」とイーストースの勇者の末裔である「アルタイル」の会話を記録。
(あの黒髪の子供。沙羅の息子であるぞ)
(流石はマルクトの継承者。これは何度目の人生なのだろうか?)




