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白い記憶と共犯者  作者: 安川 瞬
異世界転移〜裏切りまで
23/28

白い記憶(深愛・真愛・信愛・親愛)

遅れて申し訳ないです!!高校生になったら、もっと遅れる可能性があるので申し訳ないです!

「凛?」


明らかに凛の様子がおかしい。そう思って僕は一度凛を見る。


「嘘の証拠はどこにあるってのよ!」


「瞬君がそんな気軽に嘘をつくような人だと思ってんの!?」


「今まで、瞬君とどんな風に付き合って来たのよ!?いっつも瞬君をそんな目で見てたの!?」


「それに、この場でこんな()鹿()()()()()嘘をつく程、瞬君はダメな人じゃないよ!、もし、もし、嘘だとしてもこんな不利益になるような嘘をつくわけないじゃん!!」


馬鹿みたいな……ちょっぴり傷ついちゃったけど、正直助かった。なんて言い訳しようかわからなかった僕の代わりに、信頼されている凛が僕の無実を証明してくれた。

……未だに視線は僕に固定されたままだけど、悠太郎も何か考えているようだった。


何秒。何分経ったか?周りが見れない僕にとって、どれくらいの時間が過ぎたかわからなかったけど、しばらく経って、悠太郎はようやく目を瞑ってため息を吐いた。

と、同時に僕の体からも緊張感が抜け、脱力感が襲いかかって来た。同じ体勢のまま固定されてたのだから、筋肉が悲鳴をあげているようだった。


「すまない……僕の方が少し冷静さを欠けていたようだ」


瞑っていた目を開いた悠太郎の右目はまだ蒼かった。


「悠太郎くん……その右眼……?」


凛が悠太郎の右眼について言及しようとしたその時。


『ーーーーーーーー?ーーーーーーーーーーーーーー』


愛斗の後ろからかけられた厳かな声に、愛斗がビクッと強い反応を示す……が、残念ながらそれに気付いたのは僕ぐらいで、残りの2人は目の前に現れた「大人」の人に気圧されているようだった。

愛斗の様子にも気になったけれど、単純に2人と一緒で「大人」存在に気圧されただけのなのかもしれない……今はそれより、その「大人」についてが重要であろう。


『すみません。なんて言っているのかわからないんですけど?』


僕が目をつけていた2人とは違う赤いローブを着た男性。その男性の口から発せられた言葉に、僕は冷や汗をかいていた。


(……まさか、また言語を覚えないといけないのか……?)


僕が話している言語にやや近い感じはあるものの、文法や知らない単語が混じっておりやはり僕には解読できなかった。

目の前の赤ローブの男性も、僕の言語と知ってる言語に若干の齟齬があるようで、首を捻っていた。

……その首を捻っている顔すらも、怖いのだけれど……。

意思疎通がうまくできていないことに愛斗達も気付いたようで、心配そうにこちらを見ていた。


不味い。この場にいる誰もがそう思ったとき。


『勉強をし直せ!!それでも誇り高き赤ローブの一員か!?』


その声は、人がたくさんいるこの空間によく響いた。

その声は、僕の耳によく響いた。

映るお母さん。

その横顔を、彼に当てる。


その男性ーー例の2人の中の1人が困惑している赤ローブの男性を押し退け、僕たちの前に立った。

大日本帝国の軍服を彷彿とさせるその男性は、周りに圧を飛ばしているにもかかわらず、なぜか恐怖の念は抱かなかった。


『すまないな。嫌なところを見せてしまった』


凛とした声。剣かと勘違いするほどの鋭さを持った刃が僕たちに向けられる。

なのにどうして恐怖を抱けない?

明らかに僕は異質だった。

周りの友人が顔を青くしているのがわかる。漏らしていないだけすごいだろう。

当たり前だ。日本で、ぬくぬくと育った僕たちに、この視線は初めてのものだった。

僕も初めてで……。

……?

…………?


『いえ。大丈夫です……それに、言葉が通じる方がいて良かったです』


普通に返した僕にみんながギョッとした視線を向ける。

男性は少し驚いた表情をして、その顔を優しく歪める。


『俺の名前はアルタイル・イーストース。この国の……王をやってる。悪いな。少し試すような真似をして。来てくれたことに感謝する』


歪めた……笑顔になった彼は威圧を解いていき、僕の目を覗き込んできた。


試した。

にしては、少し怖い顔だったけれど……。


『本気で怒ったりとかはしてないよ?』


僕の顔を見てそう言うアルタイル。彼を言葉で倒すのは一苦労しそうだ。


「お前……あいつが怖くねえのかよ?」


ビクビクとした様子で愛斗が僕を見る。周りを見ると、他の2人だけでなく周りのーー赤ローブの人含めーー全員が驚いた表情をしていた。

この世界の人も驚いていたあたり、やはりアルタイルの圧というのはすごいものなのだろう。

ただ、なんでだろうか?僕にはそんなに恐怖を感じなかった。いや、寧ろ親愛を感じた。


「……すげえな」


愛斗からの素直な称賛にむず痒くなりながらも僕はアルタイルの顔を見る。

キリッとした目。王にふさわしい表情。軍服の上からでもわかる体の剛健さ。

そして、髪。

つい自分の髪を触ってしまう。

俺のその様子に気づいたアルタイルが近づいて頭に手を伸ばしてくる。

突然の行動に反応できない僕。

周りからの驚愕の視線。

彼は、アルタイルは、王は、


僕の頭を撫でた。


『将来有望だな』


その呟きは僕にしか聞き取れず、その僕すらもその意味を把握することはできなかった。


パンパン!!!


いつのまにか手を退けられており、未だなお時が止まった僕……いやみんなの耳に響いたのは乾いた音。


『とりあえず……だ。親愛の証』


そう言ってまだ呆けてる僕に手を差し出す。

その行為を理解できない僕。


「あ……」


凛の声。

その行為に対する適切な処理方法を思いついたのだろうか。


『………』


息を飲む周りの人間。

この行為にそんなに重い意味があるのだろうか。

すると、なかなか何もしてこなかった僕に痺れを切らしたのかアルタイルはニカッと笑い、


『挨拶の印である……』


その表情は一人の王というよりも、一人の青年のようで……。


「あくしゅだ」


「「「「!!!!!!」」」」


辿々しい言葉が、母国語が、僕たちの心に突き刺さる。

1単語だ。

たった1つの単語。

だけど、

それだけで、

十分だった。


あくしゅ。

握手。


(まさか、こっちの世界に日本語があるとは……)


驚愕した僕はその言葉にすぐに反応できず、しばらく固まってしまう。

しかし、すぐに我に戻って「あくしゅ」した王の手は……

温かった。

気付けば僕は泣いていて、その温かさに涙腺を緩くしてしまった。


『挨拶は大事だよ』


そんな言葉も思い出して……、あの日の思い出が脳を溶かして……、あの日の感傷が胸を再来して……。

白い箱は気付けば閉じて、

あの日の感傷が胸を再来して……

白い箱は気づけば閉じて……

それは僕に純粋さが戻ってきたのと同義だった。

凛の持つ精霊であるティファレトの効果が増幅したのを確認。

始精霊同士の謁見を確認。

マルクトの能力の行使を確認。と同時に封印も確認。

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