白い記憶(蒼い涙)
入試のせいで遅れましたァァァァァァァ!誠に申し訳ないです!!決して、やる気が出なかったとか、少し人生に安息日が欲しかったとか、そんなんじゃないです!
下書きは溜まる一方なんですけどね……。なかなか打ち込むのに時間がかかってしまって……。頑張って今月にもう一本出したいですが、3月になるかもしれないです。
『話を聞いてくれ』
『ーーーーーーーーーー』
視線が僕に集まる。穴が空いてしまうにではないか?そう錯覚してしまうほどの眼力でなければ、まだ良かったのだけれど……汗が僕の頰を伝う。
その視線には3人の視線も含まれているわけで、そこには強い疑念や怒り、喜びが含まれていた。
みんなには後で説明しなければならないのがネックだな……
周りの視線が全て僕に集まったことを確認して、僕はようやく口を開く。
『……先に、僕達がこの世界の住人ではないことを伝える』
そこで一度止め、全体を見る。
久しぶりに使うお母さんが使っていた言語。普段喋っていた言葉だけに、6年のブランクがあるのに関わらずスラスラと言葉が出てきた。
でも、それが伝わっていなかったら意味がない。
そう思って周りを見てみると、首を傾げているのが殆どだった。どうやら僕の言語と彼らが使う言語は若干違うようだ。
やはり、会話は不可能か……そもそも僕の知る世界とこの世界が違う可能性だってあるし……
やや絶望感を心に持ちながら周りを見ていると、
『ーー』
2人。
たった2人だが、反応が周りと違う人を見つけた。
首を傾げるわけでもなく、理解したかのように頷いているわけでもない。だが、その反応は周りの反応と比べたらかなり目立った。
故に、僕は視線をその2人に固定して話を続ける。
『……突然声が聞こえたと思ったら、ここにいた。僕達も正直何が起こったのか分かっていない。故に、まずはここがどこなのか。そして、なぜ僕達がここにいるのか。理由を知っているものがいれば、その人と会話をしたい』
『ーーーーーーーーーー』
僕が話を一度止めるのと同時にまた場がざわつき始める。
ただ、そのざわつき始めた場の中でその2人だけは僕から視線を外さなかった。
「おい瞬。お前、あいつらの話す言語が分かるのか?」
その2人に集中している僕にズケズケと話しかけてきたのは愛斗だった。まあでも、そりゃそうだって感じの疑問であり、みんなを見ると全員同じような疑問を抱いているようだった。
僕も同じ立場であれば、つい先ほどまで日本語を流暢に喋っていた人間が突然知らない言語を話し出したら同じ疑問を持つだろう。
だが……失念していた。
その質問に答える術を僕は今持ち合わせていなかった。
素直に事実を言うのが最も簡単な方法だと言うことは分かるのだが、話が長くなるが故にこの場では悪手だろう。それに、相手が凛と悠太郎だけならともかく、愛斗もいるのだ。
僕が「転移」という言葉を覚えたのはひとえに愛斗が持っていた小説……ライトノベルのおかげなのだが、愛斗はその中でも「異世界転移物」というジャンルにのめり込んでいた。
常日頃から「転移したい!」と叫ぶほどであり、その熱意は凄まじい物だった……
これは口が滑っても僕が転移したことある。なんて言えないな……と今日まで隠してきたのだが。
今さっきまで喧嘩していたというのに、また余計な火種を撒きたくない。
「……………………」
嘘をつくのは嫌いであるが……いらない反感を買いたくないし、それにこの場を協力してなんとか乗り越えることの方が後々の僕たちの関係を良好にするためには必要なことだと思う。
この試練は、あの時間の間にじっくりと考えなかった僕に対してのものだな……と腹を括って口を開いた。
「……な、なんか……こっち来たら、覚えてた……」
……。
いや流石にこれはないな……。
どもりすぎだし、設定がいろいろと雑だし、これでは自分から真実を隠している。と言っているようなものではないか……。
どうにでもなれ……いやいや、どうにかなってくれ〜〜と祈るような気持ちでみんなを見ていると。
「嘘だな」
一瞬でその祈りは無へと帰しました。どうやら僕の人生はここまでのようです。
よりにもよって、悠太郎に言われるなんて……悠太郎は空気が読める人間だからここで場を乱すようなことは言わないと思っていたのだけれど、どうやら僕の予想はかなり的外れだったようだ。
それに、
「嘘なのか……?」
僕よりも悠太郎のことを信頼しているからだろう。明らかに敵意が篭った目で愛斗は僕を射抜いていた。
また場が乱れてしまう……。
そう考えただけで、僕の心臓はきゅっと縮むような錯覚に陥る。
それにしても、なんで僕の嘘がすぐバレたのだろうか……?いや、まあ、僕の嘘が酷かったというのもあるけれど、それにしては即答が過ぎたような気がする。
「いやいや、ここで嘘をつくメリットなんて……「嘘だな」
僕がまた嘘を重ねようとしたその瞬間。僕が喋っているにも関わらず悠太郎は間に入ってきた。しかも否定。
流石に悠太郎らしくないとみんな思ったようで、愛斗も
「悠太郎……?」
とどこか訝しむような声をあげていた。
僕も嘘がばれたくないがために悠太郎達から目を逸らしていたけれど、もうばれてしまっては意味がないだろうと思って悠太郎に目を向ける。
「え?」
誰かが声を上げる。突然の転移に比べれば小さな驚き。だけれど予想外な出来事が目の前では起きていた。
泣いていた。
今まで一度も見たことがない悠太郎の涙が、瞳から溢れていた。
その雫は、悠太郎の頰を緩やかにカーブしながら伝っていた。
泣いている。側から見れば確かに泣いているのだが、近くで見てそれが違うことが分かる。
無感情なのだ。
その蒼い瞳確かに涙を生み出しているのに、そこに感情らしきものは見当たらなかった。
感情と事実が相反する瞳がそこにはあったのだ。
宝石のような雫は美しくて、でも悠太郎に表情はなくて、そんな少年から僕は……みんなは目を逸らすことができなかった。
いや、目を逸らせないどころか、心臓すらも掴まれているのではないか?と錯覚するほどに、その瞳には力があった。
「……それで、嘘ってどういうわけなんだ?」
視線は悠太郎に向いたままだけれど、その言葉が僕に向かってのことなのだということは本能的にわかった。
それに、愛斗は悠太郎のことを信じているようだけど、これほどまでに凜然とした態度で言われれば、彼のことを知らない人間も彼のことを信じてしまうにではないだろうか?
軍配は悠太郎に上がった。
状況的に僕が不利。
凛もこの状況では手助けができないだろう。
短期決戦は失敗。ならば長期決戦……は時間の余裕がないし、それでも向こうが圧倒的に有利だろう。
この世界の住人が話をまとめきるまでの間に、こっちの話にも決着をつけなければこの話題は僕たちの間でしこりとして残ってしまうだろう……。
どうこの場を収めよう……それだけを必死に考えていると。
「嘘の証拠は?」
凛がどこか決意めいた表情を浮かべ、悠太郎に真正面から反撃をし始めていた。
悠太郎と仮契約した「ビナー」の力の確認。
力の一部である、「心眼」の発動を確認。
同時に、凛と仮契約した「ティファレト」の力も確認。




