5組戦
如月学園攻略メモ
アバターシステム
高等教育管理組織が独自に開発したシステム。
VR空間内で戦闘を行うことができる。
生徒はアバターとしてこの空間に入ることができる。アバターの戦闘能力などは個人の査定値に依存。
このシステムを利用してクラス間でポイントなどの奪い合いをすることができる。
尚、IA制度と同じく配布資料のみでは全容を把握することが困難な為、今後も調査を進めていく。
5組対6組 クラス間ポイント争奪戦概要
勝利条件
クラスリーダーを戦闘不能にすること
勝者報酬
クラス査定1000ptを相手クラスから譲渡される
アバター戦翌日より3ヶ月間、相手クラスからのアバター戦の申し込みを拒否する権利を持つ
※マップは省略
第1章
第4節 5組戦
「予想より早く動き出しましたか?」
「いいや、大方予想通りだね。どうなんだい?6組の様子は?」
「そうですね 練習やHRを見ていると荒削りな部分がちらほら見えます。5組戦で負ける可能性も小さくはないです。」
「ほう…まだまだ未熟ってことかい」
「はい 特に神崎。本来ならみっちり絞ってやるつもりだったのですが、今回ばかりはそうもいきませんし」
「多少の遅れには目を瞑るが最低ラインには必ず届かせるんだ」
「承知しております。」
静まった教室のなかで1人の男にみんなの視線が集まる。大半の生徒が少し緊張した面持ちであるが…、俺の心情は緊張ではなくどうでもいいだった。それもこれもみんなあの男に原因がある!やつは週末も含め全く練習に俺と相良さんを参加させなかった。本人曰く、情報の漏洩を防ぐためだと言うのだが、全くもって納得いかない。本番で出番がないので、練習でカッコいいとこ見せて女子に(ちょっと朝比奈くんっていいよねぇ〜)って言わせて少しずつモテていく筈だったのに… こうなったら相良さん一筋で行くぜと思い立ったが、2人きりで遊ぶ度胸なんて残念ながら持ち合わせておらず今に至る。こうなったらせめて神崎に報復してやろうと、策を巡らせる。
「おい礼人!ロクなこと考えてないで、少しは緊張感を持て」
「なに言ってんだよ神崎。そもそも俺に出番は無いだろ」
「空気の問題だ。しっかりと集団の一員として自覚を持て」
「ったく、わかったよ。せいぜい月のない夜道には気をつけるんだな」
「おい、スコップを」
「神崎さんここに」←跪いてスコップを捧げるクラスメイト
「いやっまじすんませんしたっ!まじちょーしこいてましたっ!」←土下座する俺
「わかればいいんだ。これからも仲良くやってこーな」
神崎の笑顔がめちゃくちゃ怖かった。もう逆らわないようにしよ。
「みんなすまない、バカに時間を取られた。いよいよ対5組戦が始まる。作戦に変更はなし!5組のバカ連中に目にもの見せてやるぞ!準備はいいか!?」
「「おおおおぉぉぉーーーーー!!!」」
何故か男子だけ異様な盛り上がりを見せいる。
男子に限るとこのクラスの団結力は相当なものだ。神崎が上手く乗せているのだろう。
(まあ、いつまで続くかわからないけどな)
神崎の演説が終わり、ぞろぞろと移動を始める。
その最中、俺は目的の人物を捕まえた。
「相良さん」
「はい、どうかしましたか朝比奈くん」
「あー、そんな大した話じゃないから移動しながらで大丈夫だよ」
「わかりました。では行きましょうか」
そう言ってクラスメイトの後を追う。
「その、今回の作戦のことなんだけど。なにか変というか、違和感ってない?」
無駄な会話は挟まずに本題に入る。トークスキルが低い人にとってこれは鉄則だ。下手に背伸びをすると返って本題に入りづらくなる。
「違和感ですか?」
「そそ、些細なことでもいいんだけど」
「うーん、これは言ってもいいのでしょうか?」
「大丈夫だよ。他の人には言わないから」
少し考えた後、ハッキリとこう言った。
「全てですね」
俺はかなりドキッとした。相良伊織という人間を俺は見くびっていたようだ。
「全てって言うのは、例えばどんなところ?」
「そうですね、初めに変だなと思ったのはマップ設定ですね。一見こちらにメリットばかりあるように神崎くんは言っていましたが、かなり大きなデメリットも存在しますね。それにマップ自体が単純過ぎるのも変です。相手を納得させるのが楽だということでしょうが、これでは作戦の幅がほとんどありません。」
「なるほど、ありがとう。これ以上は大丈夫だよなんとなく想像できるから」
おそらく相良さんは俺と同じ考えが浮かんでいる。神崎の作戦の穴も承知している上で黙っていたのだろう。
「すっ、すみません!少し喋り過ぎちゃいました」
「気にしなくていいよ。俺から聞いたことだしね」
自分の考えが間違っていなかったことが確認できたことは大きかった。いざという時に色々と動けるからな。
「それではこれより5組対6組のポイント争奪戦を開始します。ルールや概要の説明は省略いたします。なおルール違反を犯した生徒には重い罰が下されます。最悪の場合、退学処分もありますので気をつけるように。では始めて下さい。」
教師の言葉とともにプーっと合図がなる。
「さあ行くわよ!絶対ぶっ倒してやるんだから!」
「「うおおぉぉぉぉーーー!!」」
早乙女さんを先頭にみんなが続く。かなり気合が入っているようだ。
しばらくすると内線から戦闘音が聞こえてくる。
どうやら6組との戦闘が始まったようだ。
「1〜3番の人は双剣の人!4番は槍使い!5番と8番はスナイパーを落として!」
どうやら早乙女さんが指示を出しているようだ。実際に見てはいないので的確かどうかはわからないが、味方を番号で呼んだり、相手を武器で判別しているところを聞いている限り、かなり練習は積んできたのだろう。
「これは順調なのかな?」
この作戦を考えた本人に問いかける。
「なんだ不安なのか?」
「うん、かなり早乙女さん1人に負荷をかけているようだから」
「ふんっ、この程度で潰れるならこの先使えないだろ。それに潤のサポートもある。心配はないだろう」
「へーそうだといいね」
「なにか言いたいことがあるならハッキリと言え」
「ごめんごめん。なんでもないから」
「まったく、余計なこと考えてるんじゃないよな?」
「考えてないよ。そんな風に見える?」
「お前がなにを考えてるか、正直全くわからんからな。普通は警戒するだろう」
いや普通は仲間を警戒したたりはしないと思うんだけど。
「大丈夫だよ。絶対に邪魔したりしないからさ」
俺がそう言うと、神崎はまるで俺に興味がなくなったかのように何かを考え始める。
しばらくすると神崎の内線に連絡が入った。
「ああ、わかった。いや今でいい。そうだ。頼んだぞ。」
そう言って内線を切る神崎。
「誰からだったの?」
「大方の予想はついているだろ。なぜわざわざ質問する?」
「答えが分かっていたら質問しちゃダメなの?」
「不要な会話だと思うがな」
「じゃあ確認ってことでどうかな?」
「ったく、面倒なやつだな」
それはこっちのセリフだと思うんだが。言うと怒られるので黙っておこう。
「早乙女だよ。今から仕掛けるんだ。その判断と確認をしただけだ。」
「そっか、じゃあそろそろ終わるんだね」
「お前。本当にそう思っているのか?」
「え?」
これは嫌な予感しかしないな。というか最悪のパターンかも。
「まあいい。とりあえずお前の内線は強制的に俺以外とは繋がらないようにさせてもらう。」
「なんでそんなことするのさ?」
「わからんのか?」
問いかけには答えない。この先どうなるかは予想できるからだ。多少こいつに苛立ちを覚えた。
「さっさと行け。早くしないと早乙女たちがやらるぞ」
「神崎‥お前最初からこれが目的だったのか」
「話は後だ。」
「わかったよ!後で覚えとけよ!」
そんな小者じみたセリフを吐いて俺は早乙女さんのもとに向かう。
「くそっ!なんなのよあんた!本当に五組なの?!」
「なんだ?お前はこの程度なのか?なあ!早乙女ぇ!」
相手の本陣に近づいてくると、そんな声が聞こえてきた。1人は早乙女さんで、男の声の方は5組の生徒だろう。
俺は一段階スピードを上げて走り、やっとのことで到着した。
「朝比奈!?どうしてここに!?」
おもわずそう叫ぶ早乙女さん。
「おい!大和!あいつの点数は?」
「215点です!龍さん!」
なるほど、ということはここのフィールドは古典で固定されているのか。ちなみにVR空間内に一度入ってしまうと自分の戦闘力は分からなくなっており。数値として確認できるのは敵のスカウター持ちのアバターのみになる。つまり奴らは俺に手の内を1つ明かしてしまったということだ。
「早乙女さん!奴らの点数は?」
「八月一日の方が312点で大和って方が275点よ!それよりなんであんたがここにいるのよ!?」
「話は後だ。今は戦闘に集中しろ!」
そう言って少し考えてから、
「小野はそのまま大和ってやつを押さえておいてくれ!」
「了解だよ。朝比奈くん」
小野に指示を出して早乙女さんに加勢しようとする。しかし少し遅かったようだ。
「きゃぁぁーー!!」
「ちっ!」
「くっくっく、6組にここまで戦闘能力の高いやつがいたのは想定外だったが。これで終わりだな。朝比奈とか言ったな、さあかかってこいよ!」
動きを見たところ、八月一日は素人だがかなりいい動きをしていた。外見や言動から推測すると、おそらく喧嘩慣れしているのだろう。
しかし‥
「お前は俺に余計な情報を与えてしまったよ」
「なにをいって‥‥」
静まり返った部屋にアバターが散る音だけが鳴り響く。
そして‥
「只今をもちまして決着がつきました。1分後に自動的にログアウトされるのでそのままお待ち下さい。」
どうやら八月一日の方がリーダーで間違いじゃなかったようだ。
「朝比奈くん、君は一体‥」
声をした方に視線を向ける。小野ともう1人、何が起こったのか理解できないという顔をして立っていた。
小野の問いかけにはもちろん答えない。敵に情報を与える訳にもいかないからな。
「終わったぞ神崎。これでいいだろ?」
小野を無視して内線で話しかける。
「ああ、ご苦労だった。」
「さっきのことだけど」
「ああ、終わったら俺の部屋に来い。話はそこでだ。」
「りょーかい」
と内線で話し終えたところで自動ログアウトが始まった。
1学期最初のアバター戦は6組の勝利で幕を閉じた。
次回 決意
6組メンバーメモ
小野潤
身長 174cm 細身
保健体育と英語が得意 理系は苦手だがその他の科目も高水準
身体能力A
女好きだがでナルシストだが、まだ底が見えない
基本的に素直な性格
女性関係以外の弱点は今のところなし
アバターの能力で隠していることがある
検討はついているが今は伏せておく




