決意
如月学園攻略メモ
クラス設備
如月学園は東京都八王子市であった場所に建てられており。現在、如月学園の広大な敷地とその周辺一帯は東京都第2区と呼ばれている。
如月学園内には大きく分けて8つの建物がある。
1つは運動部が主に使用する体育棟。
2つ目は文化部が使用する文化棟、ここには図書館も存在する。
そのほかはクラス棟と呼ばれている、主に生徒が生活する建物である。
クラス棟はホームルーム、VR演習室、実験室、食堂、購買部、そして寮が一体になっている。
ただしクラス棟はSランク〜Eランクに格付けされており、もちろん上のランクほど設備が豪華である。
設備のランクを上げる条件はただ一つ、上のクラスに勝つこと、それだけである。
5組対6組 クラス間ポイント争奪戦結果
勝者 6組
敗者 5組
事前に交わした契約により勝者には以下の報酬が配布されます。
・クラス査定1000ptを譲渡される権利
・アバター戦の拒否権(3ヶ月間、5組にのみ適用)
尚、6組クラスリーダーの神崎が「クラス査定1000ptを譲渡される権利」を即時使用した為、現在のクラス査定は以下のようになります。
5組 500pt
6組 1500pt
以上より5組はEランク、6組はDランクの設備に入れ替わります。双方のクラスリーダーは必ず本日中に、ホームルーム及び寮の入れ替えをお願い致します。
第1章
第5節 決意
「みんなお疲れ様だった。俺たち6組の勝利だ」
「「よっしゃぁぁあーーーー!!!」」
「すごいねぇ!本当に私たちが勝っちゃうなんて!」
「ねー、このまま上のクラスにも勝てちゃうんじゃない?」
女子のそんなお気楽な声が聞こえてくる。
男子の方は叫んだり、飛んだりと体全体で喜びを表現している。まったく、元気この上ない。
「設備の入れ替えは今日中に終わらせてほしいと、先生からのお達しがあった。ということで今から教室、それから寮部屋の入れ替えを行う。部屋の私物と布団類に関しては必ず自分で持っていくように。」
「どっちを先にやるの?」
「そうだな。教室は俺と礼人で済ませるから、みんなは寮部屋の方を頼む。5組の方にもそう伝えておこう。」
「おっけー。さっさと済ましちゃいましょ」
早乙女さんを先頭に教室を去っていくクラスメイト。
「礼人さっさと終わらせるぞ」
「はいはい」
教室の交換といってもやることは少ない。
1-6と書かれた木の札やその他備品を5組の教室に持っていくだけだ。
しばらく備品を整理しているとガラガラっと、教室の扉が開く。
「ちっ!」
教室に入ってきた八月一日が分かりやすく舌打ちをする。その後ろから大和と呼ばれていた男が少し遠慮がちに入ってきた。
「そっちのクラスの備品はそれだけか?」
「そうだよ!てめぇらも早くしろってんだ」
「お前に指図する権限はないと思うのだがな。それとも俺らに負けたのがそんなに悔しいのか?」
「ちっ!」
「まあお前らのクラスにスペシャルが2人しかいないのは分かっていたからな。」
スペシャルっていうのは、おそらく査定値が1組級だということを言っているのだろう。
「まったく、クソボロい教室だな。寺子屋かよ!」
ボロボロの教室を見て嘆く八月一日。
「そういや朝比奈っつたなお前。あれで勝ったと思うなよ。次はボコボコにしてやるからな!」
「ははは、お手柔らかに」
八月一日みたいなやつは苦手なので軽く受け流す。
「礼人、そろそろ行くぞ。負け惜しみに付き合って余裕などないからな」
「りょーかい。それにしても、もう少し言い方を考えなよ」
「何を言ってるんだ?事実だろ?いいからさっさと行くぞ」
神崎の後に続き、教室を出て行く。
去り際にちらっと見えた八月一日の顔は悔しさと怒りで埋め尽くされていた。
俺たちが1週間過ごした元6組の教室は、E棟と呼ばれている建物内にある。対して元5組の教室はD棟にある。D棟はE棟と同じく木造2階建て、昔の木造の小学校を少し改築した建物だ。また教室内には扇風機が4台とストーブが1台設置されており、元6組の教室よりはだいぶマシになった。
教室の備品などのチェックを終えた俺はその後、寮部屋の移動を終え、そのまま神崎の部屋にお邪魔している。
神崎の部屋は相当な数の本があるにもかかわらず、きっちりと整理整頓されていた。本といっても小説などではなく、ほとんどが参考書や問題集だった。
普段の授業にはまったく出席していなかったけど、自分で勉強していたのか。
部屋を観察していると、神崎は自分の椅子に座り、こう切り出した。
「八月一日を倒したときのことだが、あれはなんだったんだ?」
いきなりその話か、バレてないと思ってたんだが、小野が話したか。
「あれってなんのこと?」
「誤魔化すな。小野から聞いてすぐにログを見た。あれは固有能力か?」
「やっぱり小野が話したんだね。ちなみにあれは固有能力じゃないよ」
「固有能力じゃないとしたらなんだというんだ?」
「んーと、まあ居合の一種なのかな?現実ではあの速さは無理だけど、アバターだと身体能力が桁違いだからね」
「居合ってことはお前の武器は刀か?」
「半分正解かな?正確には刀だけじゃない」
「それが固有能力ってことか」
「そそ、名前は決めてないけど。自由にいろいろな武器を使えるみたいだね。八月一日と戦ったときは頭の中で想像したら勝手に出て来たから、かなり便利だよ」
「そうだな。実践だけじゃなく、練習でもお前のそれはかなり役に立つ」
「俺にみんなの練習相手になれってこと?」
「そういうことだ。お願いできるか?」
俺は少し苛立ちを覚えた。まさかクラスの為なら無償で動くとでも思っているのか。
「あのさ、その前に俺からも質問させてもらっていいかな?」
「なんだ?答えられる範囲でなら答えるが」
「神崎、君の目的はなんなんだい?」
「俺の目的?そんなのは決まってるだろ。1組を倒してS棟の設備を手に入れることだ」
「それは本当なの?俺にはそれ以外にも目的があるように見えるんだけど」
今回の5組戦は相良さんが言っていたように、ワザと作戦に穴を空けてあった。俺と相良さんはてっきり早乙女さんと小野の成長を目的としているのかと思っていた。
しかしその考えは間違っていた。
「しかも今回の5組戦、本当の目的は俺だったんでしょ?」
こいつは俺のことを見極める為に5組に戦いを挑んだ。もちろんそれだけではない。ついでに色々な収穫があった筈だ。
神崎は少し沈黙した後、ゆっくりと話し始めた。
「前にも言った通り、人を見極める力には自信があったんだが、お前のことはさっぱりわからない。正直寒気がした。俺の手に負えるのか?ってな‥。」
「でもそれって俺だけじゃないんだよね?」
俺は神崎の"あいつ"という言葉を思い出していた。
「ああ、自分と同年代ではお前ともう1人に対して同じ体験をした。お前とあいつは似たような空気を纏ってる。だからこう思ったんだ"こいつを利用する他ない"ってな。」
「そのあいつっていったい誰なんだ?」
「‥‥賀上、ー賀上真弓。1組のクラスリーダーにしてランキング1位」
ランキング1位か、それに賀上って聞いたことある名前だが。
「俺の昔馴染みでな、あの賀上グループの令嬢だ。」
「へーそりゃ凄いね。んでその賀上グループの令嬢とどんな関係で?もしかして神崎もどっかのボンボンとか?」
「違う。」
「じゃあなんなのさ」
沈黙して少し苦い顔をする。おそらく言いたくないことなのだろう。
だがな神崎、それを言葉にしなくちゃならないことだ。人はそう簡単には動かない。人を動かすにはまず相手の心を動かさなければならない。
だから俺はお前が俺の心を動かさない限り、絶対にお前には協力しない。
「俺は‥‥」
さあ、言えよ。お前が傲慢でいるうちはダメだ。
誰に何と言われようと、俺はお前を否定し続けるぞ。
「おれはっ‥‥‥、真弓が好きなんだっ!!愛してるんだっ!!」
必死の形相で言い放った。
普段の性格からは考えられないほど、顔が歪んでいる。心の底から愛しているのだろう。
「そっか‥‥
ってことはとりあえず、1組を倒しに行くんだね」
俺の考えが正しければ、神崎は賀上に勝たなくてはならない。
「‥‥そうだ」
ふーっと息を整えてからそう言った。
「わかった、協力するよ。ただし2つ条件がある。
1つはリーダーは今まで通り神崎がやること。なにがあってもね。
2つ目は君の目的を果たした後、俺の目的にも協力してくれ。」
俺がそういうと、少し考える神崎。俺の条件に対するデメリットを考えているんだろう。
「わかった。その条件を飲もう」
「おっけー。じゃあ交渉成立だね。今からは遅いから明日からかな?」
「ああ、それでいい。あと後でお前の時間割を俺の端末に送っておいてくれないか?早速スケジュールを組みたい」
「いいよ。じゃあまた明日ね」
そう言った俺は神崎の部屋を去る。
明日から忙しくなりそうだ。今日は早く寝るかと思いつつも、用事を思い出し校舎裏に向かう。
部屋だと隣の神崎に聞かれる可能性がある為、少し手間を掛ける。
寮の玄関から外に出ると少し肌寒く感じた。
静まった学校の敷地内をゆっくりと歩きながら、先程の会話を思い出していた。
神崎は1組に勝つと言っていたが、果たして今の戦力で勝てるのだろうか。
答えは決まっている。100%勝てない。賀上という女が俺に似ているのなら尚更だ。
さて、どうしたものか。まずは神崎をどうにかしないとどうしようもないけど、今の6組にはあまりにも欠陥が多すぎる。期限までに間に合うかどうか、かなり微妙だ。正直かなり分の悪い賭けをしている気分だ。投げ出したくなる。
待て待て待て朝比奈礼人。お前の目的は何だ?お前は誰の為に存在する?お前の現在地は?やることは?確認しろ!考えろ!常に冷静に!心に火を灯し続けろ!
俺は誓ったんだ!あの時!あの場所で!
思い出せ!必ず果たさなければならない目的を!
自分の為、この学校にいるやつら全員を利用して、必ずお前の所に辿り着いてやる!!お前がどんなに先へ行こうと、例えどんな速さで走ろうと、絶対に辿り着いてみせる!絶対に‥‥‥!
次回
2章 ジャイアントキリング
第1節 中間テスト
6組メンバーメモ
朝比奈礼人
身長 180cm 細身だが筋肉質
理系がかなり得意、文系はそれなりに苦手
身体能力 測定不能
固有能力 インフィニティアーモリー(仮称)
武器を創造し、自由に出し入れできる
ただし個数制限アリ(科目が古典の場合1つ)
弱点や長所などの身体的な特徴意外は全く読めない。
今後協力していくことで大きなメリットがあるはず。




