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最終戦線の老兵 ―JZ-65伝説―  作者: ちょいシン


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第五章・第二節 老兵、英語と戦う

アメリカ到着早々、じいじこと重蔵は英語の壁と格闘開始!

ホテルのフロントで「ベリーマッチョ」、電話では「筋肉コール」。

異国の地でも、じいじの天然無双は止まらない!

笑いと混乱の“英語戦線”、いよいよ開幕です――。

 ――ロサンゼルス国際空港を経て、到着したのは大会指定ホテル「グランド・パーム・リゾート」。


 JZ-65こと佐藤重蔵は、スーツケースと盆栽を両手に抱え、ロビーの真ん中で立ち尽くしていた。


「ほう……これが“アメリカの城”か」

「じいじ、それ“ホテル”だからね!」美羽が笑う。


 TACTは既にチェックイン端末を操作していた。

「JZさん、パスポートと大会IDを見せてください」

「うむ。パスポートはあるが……この“ID”はどこで出すんじゃ?」

「それ、首から下げてる大会バッジです」

「ほう。首飾りが通行証とは、なんとも粋な文化じゃの」


 フロントスタッフが微笑んで話しかけてくる。

「Welcome, Mr. JZ! You’re our VIP guest!」

「お、おお……“ベリーマッチョ”」

「は?」


 TACTが即座にフォロー。

「He means, thank you very much. Very… muscle.」

「え、マッスル!?」スタッフが笑いながら親指を立てる。

 結果――「筋肉=礼儀正しい」と誤解されたまま、JZはVIP扱いを受けることに。


 チェックイン後。

 部屋のドアを開けた瞬間、重蔵は叫んだ。

「おおっ、なんじゃこのベッドの大きさは! 四人寝られるぞ!」

「じいじ、それキングサイズだよ!」翔が笑う。

「王の寝床か……ならばわしが今日から“キングJZ”じゃな」

「やめて、もうハッシュタグ化される未来が見える!」美羽がスマホを構える。


 TACTが冷静に告げた。

「明日は開会式です。挨拶は英語でお願いします」

「……来たか、英語戦線」

 じいじの顔が真剣になる。


「まずは基本の挨拶。“Nice to meet you.”」TACTが言う。

「ナイス・トゥー・ミートゥー」

「ミートが増えました!」翔が即ツッコミ。

「……肉文化の影響じゃな」

「そんな文化的理由あるか!」


 さらにTACTは試験を続けた。

「次、“I’m happy to be here.”」

「アイム・ハッピー・トゥ・ビー・イヤー」

「いやー?」美羽が噴き出す。

「“イヤー”じゃなくて“ヒア”です!」

「ふむ、“耳”と“ここ”が違うとは、紛らわしいのう」


 するとホテルの電話が鳴った。

「Hello, this is front desk. Do you need wake-up call tomorrow?」

 英語の声に固まるJZ。

「TACTくん、これは罠か?」

「違います! モーニングコールの確認です!」

「なるほど。“ウェイクアップ”とは、“起き上がれ老兵”という意味か」

「違うけど、合ってる気がする!」翔が爆笑した。


 翌朝――

 TACTがモーニングコールを設定したはずなのに、部屋の電話が鳴らない。

「おかしいな……設定ミスか?」

 重蔵が言った。

「いや、ちゃんと来たぞ」

「えっ? いつ?」

「午前五時、“ハロー!ウェイクアップマッスル!”と叫ばれた」

「え、それスタッフがじいじに直接電話してるの!?」

「うむ。“筋肉コール”じゃ」


 SNSではすでにトレンド入り。


#WakeUp(ウェイクアップ)Muscle(マッスル)

#筋肉コールじいじ


「TACTくん、これは……炎上か?」

「いえ、世界が笑ってます」


 重蔵は静かに盆栽を眺め、微笑んだ。

「笑い合えるのなら、言葉など要らんのう」

 その表情を、美羽がこっそり撮った。


 ――その写真は数時間後、

 《#Buddha(ブッダ)SmileShot(マイルショット)》に続く新たなミームとして、世界を再び席巻するのだった。

異国のホテルでの一夜は、笑いと優しさが交錯する時間でした。

言葉は違えど、笑顔は通じる――そんなじいじの無自覚な名言に、

TACTも美羽も、つい微笑んでしまう。

次回、ついに世界大会の幕が上がる! 老兵、異国の戦場へ!

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