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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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二川

 白須賀の宿を出てまもなく、二人にとっての、ちょっとしたイベントがあった。

「3、2、1、ジャーン!越えましたーっ!」

「とうとう、愛知までやって来たのね!」


 ここは静岡と愛知の県境。

 33番目の宿、二川からは、愛知だ。

 神奈川と静岡の境を越えるときは、気づかないうちにあっさり越えてしまったが、長い静岡を旅して来た後である。


 ついに愛知に入ったかと、感慨もひとしおだ。

「私たち、本当にこんなところまで来ちゃったのね」

「それも新幹線も使わずに、スキーでよ!」

「これより愛知」の看板の前で、パシャリ。

 記念撮影をしてから、二川宿の中心へと入っていく。


 ここは、枡形ますがたが二箇所も残っている。

 枡形とは、曲尺手と同じく、防御のための、くねった道。

 こちらは直角に折れ曲がった形だ。

 当然、右へ左へ、ミケタマのスキーテクニックで通り過ぎていく。


 宿を通り過ぎた後は、さらなるテクニックの見せ場があった。

「ここが名高い火打坂ひうちざかね」

「登り坂のモーグルなのよね」

「結構急だわ」

「気合い入れてかからなきゃ!」


 モーグルのコブでいっぱいの急坂を、エンジン全開で登っていく。

 でも、それだけではない。

 ここのモーグルには、恐ろしい仕掛けがあった。


「きゃっ!」と、驚き身をかわすミケコ。

 ゴオオ……!

 コブのてっぺんから、火柱が上がっていた。

「これが火打坂なの……!」


 急なことにバランスを崩したが、それも一瞬のこと。

 すぐに平衡を取り戻して、ミケコは次のコブに向かう。

「気を付けてよ!」と、タマコは相棒に一言。

 ゴオオと立ち上る火柱を、ヒラリとかわした。


 しかし、よくよく考えてみれば、ここはゲレンデ。

 いくら人工雪とは言っても、本物の炎が出れば、雪を溶かしてしまう。

「あ、なあんだ、この炎、フェイクだわ」

「びっくりした。良く出来たイリュージョンね」

 あくまで、これは旅人を楽しませるための、アトラクションなのだ。

 そうとわかれば、楽しんで火打坂を登り切った二人なのであった。

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