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妖の追凶〜time of hell〜  作者: 羽波紫希
華の道しるべ編
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79.男たちの真実

「ねえ、私から見た君たちは全然怖くなさそうにしか見えないんだよね」


青蘭は七人の男たちに対して言ってしまった。それはどういう作戦なのか。海斗はなんとなくそう思ってしまった。


(まだ連れ去られた妖怪や死者が数人もいるのにそんなことを言ったら殺されるかもしれない)


海斗は慎重に考えた。もし、下手して行動を起こすと七人の男たちに殺される。その男たちは傲慢や暴君な性格をしているので何をされるかは分からない。するとその男たちは次第にカッとなった。


「おい、てめぇ。俺様たちに殺されたいのか!」


既にその男たちの怒りの表情が顔に出ていた。その男たちがてに持っているのは新品の日本刀や金棒だ。


「こいつらがどうなってもいいのか?」


するとその男たちの一人がまだ脱走していない死者や妖怪たちのところへ行っていた。手に持っていた日本刀でその死者や妖怪たちを脅したのだ。その人たちは怯えている。


「ねえ青蘭くん、どうするの?このままだとあの人たちが殺されるかもしれないよ」


紅葉が青蘭に対して聞いていた。だが青蘭は恐怖感を感じていないのだ。


「紅葉、君は連れ去られた妖怪や死者を助けて欲しい。あと、一つだけ伝えたいことがある。ちなみに海斗も」


伝えたいことは何だろう。海斗と紅葉はそう思っていた。すると「ありがとう」と二人に言った。


「一緒に協力してくれて。でも海斗たちを巻き込んだ私が悪い」


青蘭がだからと言おうとした途端、海斗は首を振りながら「いいや」と言っていたのだ。


「僕は青蘭たちと一緒に行く。どんな時でも協力はするし助ける」


海斗が「それに」と言いながら立ち上がる。


「人は一人で解決するより何人かいたほうが早めに片付けられるし今までの経験をしてないことを学べる。だからそれを使って生かせばいいんだ」


そのことに青蘭は過去を省みた。


(そういえば俺は一人で生きてきた。家族はいたけど、家事や外出は小さい頃から一人でできたな)


青蘭は幼少の頃から一人で外出などはできた。この時の天気はいつもちらちらと降る雪。和洋折衷の屋敷へと帰ってきたときは「ただいま」も言わずにいたのだ。おかえりと言ってくれる人がいないからだった。


(でもやっぱ、誰かと一緒に何かを成し遂げること、年上の人の背中を見ることが一番経験を積めるんだよね)


その時に一人で抱え込むのをやめると決めた。青蘭に心を許してくれそうな人間や妖怪の友達ができたからだ。


「んで、どうするんだ!俺たちが怖くなかったんじゃないのか?」


七人の男たちの一人が言った。残りの六人の男たちが海斗たちのところへと一歩ずつと近づいてくる。


「怖くないんだろ?俺たちのこと」


残りの六人の男たちが日本刀や金棒を持っている。


(まずい、このままだと連れ去られた妖怪や死者たちが殺される。それに俺たちには六人の男たちが…)


青蘭は思わず戸惑ってしまった。海斗と紅葉に任せたらあっという間に殺されるかもしれない。けれど、人質になってしまった死者や妖怪たちを助けても無駄だ。


(あ、でも紅葉がまた誤って変えんの妖術を大量に使うとこの地下室は火事になるかもしれない。そうしたら危険だ。脱出が不可能になる)


慎重に考えた青蘭は決断がなかなか付くことができていない状態でいた。すると連れ去られた死者の一人が泣き喚いたのを目撃する。


「いやああ~~…もう無理だよ…」


その死者は高齢の女性だった。


「うるせえ!大人しくできねえならもう殺すしかないか」


するとその男たちの一人がその高齢の女性を日本刀で斬ろうとしていたときだ。青蘭がすぐにその男のところへ行った。


「死ね!」


女子高生に化けている状態で爪を長くし、猫のような手にしながらその男の頭の上に付く。青蘭の爪の色はまるで水晶のように透明だ。


(うわ…なんだこの気色悪い想像は…)


するとその男は幻覚を見た。それはある人の頭を誰かが鈍器のようなもので殴られる。死体になった脳みそに小さい穴が開く姿を想像している。


「うわあああああ!気持ち悪い気持ち悪い!やめろやめろ!俺は脳みそを生で見るのは嫌いだ~」


その男の一人は幻覚を見て泣き喚いている。だが青蘭はまだその男の頭の上に長くした爪を置くのをやめることはない。


「あいつ何を言っているのかよく分かんねえけど、気持ち悪いのを見てしまったな…」

「ひい…俺たちもされるの…」


その光景を見ていた六人の男たちも怖がっていた。海斗と紅葉もよく分かっていないまま見ていた。すると、仕切っていた男が青蘭を見てあることを思い出す。


「あ、もしかして…この妖怪は…」


目を瞬きしないまま青蘭を見ている。


(おさ)、どうかしましたか…」

「いや、この妖怪はどこかで見たことがあるんだ…」

「見たことって…」


長と呼ばれた男は話し出そうとしている。


「この妖怪は、千暁(ちあき)の三男かもしれん」

「はあ!?あの千暁が!だってあの人は子供がいないし他の女とも付き合っているし。それによく俺たちを招待してくれてますよ!」


するとまだ長は話し続ける。


「いや、その隠し子かもしれん。もしかしたらこの妖怪は数年前の格闘で"冷気の怪物(チルド・モンスター)"と呼ばれた天才の実力者。だとしたら…」


その話を海斗は聞いてしまった。


(青蘭が冷気の怪物(チルド・モンスター)!?どういうことだよ…千暁って誰!?)


海斗は思わず困惑してしまう。青蘭が千暁という妖怪の三男。そういえば、三途の川で暁と呼ばれた謎の使用人のことを思い出す。


(そういえば、暁さんに三人の息子がいるって言ってたな…)


すると、青蘭が高齢の女性の死者を人質にしようとしていた男の頭に長い爪を付くのをやめた。それを見ていた瞬間、その男は気絶をしていた。海斗は何も言えなくなる。


「ねえ、君たち。真実を言ってくれないか。私がこの男を大事にする前に」


それに対し、男たちは「は、はい!すぐに話します」と怯えながら話すことにした。青蘭は鋭い目付きで残りの六人の男たちを見る。


「俺たちは…ただ命令でやらされたのです」


青蘭は「誰にだ」と冷たく聞いた。すると、「傀儡師です」と言う。


「俺たち、元々は物を盗む山賊としてやっていました。けれど、勘解由小路親(かでのこうじちか)という傀儡師のメンバーの命令にしたがって人質をしてしまいました。それで志野夕日(しのゆうひ)という人間と一緒に組んでこの犯行を犯しました」


男たちは正直に言った。すると、青蘭は「じゃあ、三人が逃げ出した子供たちもそうか」と怖い目付きをしながら聞く。


「はい、そうです…」


青蘭はため息をしながら「あなたたちは地獄行き決定だね」と返した。


「あ、でも人質とと海斗と紅葉に出したら次はあなたたちを殺すよ?」


青蘭はそう脅していた。


(青蘭くんって…一体何者なの?)


紅葉は内心、青蘭のことを何者だと思っている。冷気の怪物(チルド・モンスター)と呼ばれた異名。千暁という妖怪の三男。その情報しか知らない。


(青蘭って一体どういう妖怪なんだ…)


海斗も青蘭の本当の生い立ちはあまり知らない。知っているのは守護国・雪の国出身の白い妖狐。現在は記憶を取り戻す旅をしていると言っていた。また藍という金髪の美少女妖狐とも知り合い。それくらいだ。


そんなことを考えているうちに「ここからすぐに出るわ」と女子高生に化けている青蘭が言った。


そして残りの人質、犯行を行った七人の男たち(気絶している一人の男は後に後から地獄行き)、三人は無事に地下室から出ることができた。

大変お待たせしました。次回で第2章を完結します。

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