80.帰郷
その後、七人の男たちは殺人未遂となどの容疑で数年間だけ地獄へと連れていかれた。
連れ去られた妖怪や死者や3人の子供妖怪も無事に保護され、元の場所へ帰っていった。黒幕である志野夕日も地獄へと連れていかれる。
「あの男たちはやっと捕まったか。よかったよかった」
海斗たちは『黄鈴屋』で"黄泉の国"へ帰る準備をしている。海斗は失踪事件の真相を解決したので安堵していたのだ。
「海斗、紅葉、帰る準備はできたか」
青蘭はまだ女子高生の姿でいる。椿柄の青い着物は汚れてしまったため洗濯中らしい。そのため金の蝶柄の黒い着物を着ている。
「本当に帰っちゃうのか~寂しいな~」
黄泉の国へ帰ってしまう海斗たちに対して藍は寂しいことを口に出す。感情が丸見えだ。
「準備はばっちりです」
紅葉は完全に終わっていた。
「分かってるよ。あと少しで終わるからちょっと待って」
海斗は少し遅れている。
「はいはい。少し待ちますよ」
海斗が慌てて準備をしているのを見ながら青蘭は待っている。すると、青蘭は「あ、」と口に出した。
「言っとくのを忘れてたけど私さ、森の国という守護国へ行きたいから紅葉と先に黄泉の国へ帰ってくれない?」
当然海斗は「なんで?」と言う。
「ちょっと用事があるだけだ。ある妖怪に会わないと行けないから」
それに対して、海斗は「ある人って誰?」と聞いたが、青蘭は首を振りながらそれは言えないと返した。
「それより海斗、時間がなくなるから早く準備した方がいいわよ。私と紅葉はとっくに待ってる」
「あ…ごめんごめん。今すぐ準備しま~す!」
海斗は大慌てで準備をする。
ようやく海斗が準備を終えると海斗たちは電車に乗るため駅へと向かう。そのために『黄鈴屋』という店を出ていく。
「それじゃ、またこっちに来るよ」
青蘭は藍にまた来ると伝えた。
「また来てよ!青蘭たちが一番の客、いや友達だから当然来なきゃ困るからね!」
藍が泣きながら言うと「あ、はいはい」と青蘭は返す。
「ありがとうございました。また来ます!」
海斗たちは店を後にした。『黄鈴屋』の従業員や藍
海斗たちは急いで駅へと向かう。神楽坂から出ると古民家の多い田舎が多い。
「急いでいかないと置いて行かれるよ!」
青蘭と紅葉は急いで走っている。だが海斗も急いで走るが二人には追いつかない。それどころか息も荒く、行き倒れになりそうだ。
「駄目だ、ちょっと待って…僕も全然追いつかない」
すると、二人は仕方なくと待ってくれた。
「鳥山くん頑張れ」
紅葉はひたすら応援をすることしかできなかった。青蘭はため息と呆れた顔だ。
「海斗、本当に妖なの?俺から見たら全然見えないけど」
女子高生に化けたまま一人称が俺に戻っていた。周りの死者や妖怪がいないからだった。ぶっきらぼうに言われると「妖って…」と海斗は戸惑う。
「そうだよ。僕は前にも言ったけどじいちゃんから妖だって言われたよ」
「いや、君は全然違う」
青蘭にそう言われると何となく戸惑ってしまう。
「妖の人はね、普通の人間より能力がとてつもなく高い。けど、君は何もないじゃん。足も速くないし戦闘力もそんなにないから」
その事に対して「いくらなんでも可哀想だよ…」と紅葉も言った。
「いいや、そう言う問題ではないんだ」
青蘭に言われると紅葉は何となくもやっとしていた。海斗もどういうことなのかますます分からなくなった。
「取りあえずこの話は終わりにしよう。電車に遅れるかもしれないから」
駅に着くまでの時間は数分だ。三人は急いで駅まで走って向かった。
数分後、海斗たちはようやく駅に着いた。
「疲れた…電車はまだ来てないみたいだ。よかった」
海斗は疲れているため、着いたあとすぐに椅子に座った。荒い息をしながら寄りかかっている。それだけでなく汗をかいている。
「死者は少ししかいないな」
青蘭は一人で呟いていた。朝のうちに駅へ着いたためまだ死者は数人しかいない。
「ねえ、青蘭くんは一生人間の女のままで生きるつもりなの?」
紅葉に話しかけられた。青蘭は当然、そのつもりだ。守護国全体に指名手配が来ている。そのせいか妖怪のままで街を出歩くのは難しい。
「そうだね。俺はしばらく女の姿で外を出歩くことにするよ。あと言っておくけど用事があるから森の国へ行くよ」
「森の国って…」
紅葉は守護国・森の国へ行ったことがない。青蘭がその守護国について話そうとしたときだった。電車の音が聞こえた。
「あ、そろそろ来た」
ようやく電車が来たようだ。その電車の見た目ははレトロな雰囲気だった。三人は電車が停車し、扉が開いたときに中に乗った。そのときには席は空いていたのだ。四人席に海斗と紅葉はとなりに。青蘭は海斗と向かい合いの席に座った。
「事件が解決してよかった~」
海斗はあくびをしながらすっきりしていた。すると、アナウンスの音がなる。
「扉が閉まります。扉が閉まります」
アナウンスの声だ。乗客に伝えたあと、扉は自動的に閉まった。そして出発をする。行き先は黄泉(黄泉の国)。
(そういえば、青蘭は一体何者なんだろう。冷気の怪物と呼ばれた異名は。あの男は青蘭のことを知ってるのか)
海斗は青蘭について考え続けた。電車が動いている間、曇りのある空の景色を見ている最中にだ。紅葉と青蘭は眠っている。
(あと森の国で何をするつもりなんだ)
青蘭が森の国で用事があることを言っていた。その事を覚えていた。だが、それは青蘭の個人の用事だ。海斗は手を出さないことにした。
数分間乗っているうちに電車がある駅で停車した。
「森の国~森の国でございます。お降りの方は左側の扉だけが開きます」
すると、青蘭は目を覚ました。森の国で降りる死者や妖怪はほとんどいなかった。青蘭は守護国・森の国で降りる。見た目は草原だけだ。
「じゃあね。二人とも。次で多分黄泉だから」
「分かった。また会おう」
海斗と青蘭は森の国の駅で別れた。その後、扉は閉まった。次の行き先は黄泉。
黄泉駅まで電車が動いている間、海斗は眠り始めたのだ。だが、夢の中だけ出てくる『神怪』という人物は来なかった。なので深く眠ってしまった。
二人が電車の中でぐっすり眠っているうちに終点・黄泉へ着いてしまったのだ。目を覚ますと二人は急いで降りた。すると、駅の椅子に座っている蓮と元緋がいるのを見かけた。偶然だ。
「東風谷蓮!元緋!」
海斗は大声で二人の名前を呼んだ。蓮と元緋も海斗と目が合う。
「海斗、紅葉ちゃん」
蓮は思わず口に出す。相変わらず黒い服を来ている。元緋は昔の人の庶民の服装をしていた。
「ところで青蘭はどうしたんだよ。まさか、置いてったとか!?」
「いや、それはないない」
海斗は一から説明をした。森の国という守護国で用事があるから降りると。
「何だ。そう言うことなら仕方ないか」
元緋は納得した様子を浮かべる。
「海斗、紅葉ちゃん。失踪事件の犯人は誰だった?」
蓮にそう聞かれた。海斗は草薙明雄の家へ向かいながら状況を説明をする。
「神楽坂という街で働いていた志野夕日さん。死者です。あと、一緒に組んだ男らも誰かを連れてこられなきゃ勘解由小路親という"傀儡師"のメンバーに…」
その事を聞いた蓮は傀儡師という言葉に強い嫌悪感を抱く。
「殺される、だって。その原因は流華が選択をしてしまったせい。その人も元々は傀儡師という凶悪犯グループに勤めていたと」
蓮は「傀儡師…」と呟いていた。
(いつか必ず傀儡師だけは俺の手で殺してやる)
陰陽師・烏として奪われた人生を返す、傀儡師を殺すことを拳を握りながら誓った。
これで、「華の道しるべ」編は完結いたします。
主な登場人物の紹介とプロフィール、二章で出てきた主なサブキャラを次回投稿します。




