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妖の追凶〜time of hell〜  作者: 羽波紫希
華の道しるべ編
77/82

76."カシャ"の正体

「もうこれで気絶したか」


青蘭は問うように呟いた。"カシャ"を倒し、氷で固めてたばかりだ。いつ破壊されるかはわからない。もし、そうなれば唸り声がさらに大きくなり神楽坂全体が火事になるかもしれない。


「海斗、見て。これさ"カシャ"の正体。それがただの普通の猫だって」

「そうなの?なんか意外だね」


冷たく氷っている"カシャ"を見て茶色く毛並みの質が良いただの猫だった。巨大化したままの大きさだ。どうして火に覆われてしまったのかは分からない。


(この猫も黄泉の国に連れていかれて妖怪になったのかな)


海斗は何となくで解釈をした。"カシャ"という猫の怪は怨霊になったのか。それとも元々は妖怪だったのか。


「鳥山くんと青蘭くんいたいた」

「紅葉、大丈夫だったか」


紅葉の火炎の妖術でできている鳳凰に乗っている紅葉が海斗たちのところへ来た。


「私は無事だよ」

「それはよかった」


そう返すと海斗が目を細めながら小さく返した。 すると、青蘭が「海斗」と呼び捨てで呼んだ。


「ん?何?」

「氷ってるところを手で壊せる?」


青蘭が氷の妖術で氷らせた"カシャ"と呼ばれた猫の怪。それを素手で壊せるか海斗に聞いた。


「いや全然壊せないよ。僕、壊す力もないから」


当然、壊す力もない。海斗は貧弱な体をしている。だが、覚醒をした瞬間には正反対の性格や体力になる。そこは人生勝ち組になっていたような気分だった。


「そうか。俺、女に化けてる状態だから壊せる力が男のときよりも減るから代わりにとは思ったがないならしょうがないか」


すると、青蘭は氷っている部分をどう壊せるかその場で考え始めた。


(これ、男に戻したら変になるよな。俺が着てるのは女の着物だし)


男に戻るか女子高生くらいの見た目の女でいるかで迷っている。


(だったら舞雪(まいゆき)白夜(びゃくや)のどちらかを使ってみるか)


二つの雪魄氷姿(せっぱくひょうし)をどちらか使うことにする。


(もし、舞雪を使えば海斗に付き合ってるか聞かれるし白夜は使いすぎるといけない)


舞雪と白夜はどちらも美しい姿をしている。そのせいで青蘭はどちらか迷っている。


(面倒にはなるけど、舞雪を使ってみるか。あいつは信用ができるから。もし海斗が羨ましがってたりしたら何とか誤魔化そう)


青蘭は雪魄氷姿・舞雪を使うことにした。すると、目の前に炎でできている鳳凰に乗っている紅葉がいたことに気付く。そのことで紅葉と目が合った。


(紅葉と目が合ってしまった)


時間がないと感じた青蘭は無意識に雪魄氷姿・舞雪を出した。


「おい、青蘭!誰だこの美しい女は!」


青蘭は海斗このようなことを聞くとは思っていた。海斗は女好きでもある。


「俺が出したのは舞雪という妖術だ。服装は景観によって変わるんだ」


舞雪という少女を見た瞬間、海斗は密かに惹かれた。水色のかかった白髪。神楽坂は江戸時代のような景観なので和風な服装で着ていた。目は瞑っている。


(綺麗だ…)


海斗は舞雪のことを見ていた。


(舞雪さん…私より綺麗だな…)


紅葉は密かに羨ましく思っていた。舞雪は雪の中で消えそうな透明感の肌をしている。


「お願いしたいことがある。氷っている部分を壊してくれ」


青蘭が舞雪にそうお願いした。すると、「はい。かしこまりました」と舞雪が返した。


「青蘭様。素手で壊せばいいでしょうか」

「ああ、構わん。ただ動かなくなっている猫に怪我はないようにしといて」


舞雪は青蘭の執事のような言葉遣いをしていた。そのことに海斗は元から一緒ではないと感じた。青蘭と舞雪はどういう関係だ。守護国・雪の国で知り合ったのか。


(青蘭と舞雪さんはどこで知り合った…でも舞雪さんが美しすぎる…いや、考えない考えない)


海斗は内心、一人で呟きながら首を振った。


「では、素手でいきましょう」


すると舞雪は素手で氷っている部分を壊した。拳を握りながら右、左。次々と壊し続けた。


(え、舞雪さんに血が出てる!あ…あ…)


それを見ていた紅葉は舞雪の拳に血が出ていたことに気付く。


「舞雪さん!血が出てますよ」


海斗が気付いて言っても無視していた。


(このままだと舞雪さんは…血が出て重傷を負うはめになるかも…)


紅葉は炎でできている鳳凰に乗ったまま。青蘭は助けない。ただ舞雪に命令をしただけだ。海斗はどうしようもなかった。もし巻き込まれてしまったら自分まで殴られるかもしれない。そうなると、一歩も手を出すことはできないだろう。



数分後にようやく壊すことができた。


「やっと壊せたか。舞雪さん、痛いでしょう。でもごめん。僕、拭く物持ってきてないから」


舞雪の手を見ると氷の破片が手についたせいで血が出ている。


「いえ、全然大丈夫です。青蘭様の妖術でできているので」


舞雪がそう言うとすぐに消えていった。すると、青蘭が「言っとくけど」と続きがあるように言う。


「舞雪はただの知り合いでもあってたまに使う俺の友達だ」

「友達!?付き合ってる感じがしたけど」

「私も…そう思ってた」


二人が青蘭と舞雪が恋人関係だと勘違いをすると、「はぁ!」と呆れたような顔をしていたのだ。


「二人は恋愛にしか目に入ってないね。特に紅葉は」


そのことに対し、紅葉は目を丸くした。


「そうかな…」

「そうだよ。じゃあ、そろそろ猫を取り出すか」


青蘭がそう言うと"カシャ"と呼ばれる猫を取り出した。


「おい。目を覚ませ」 


すると、シャーッという唸り声がする。猫の爪で青蘭の顔を引っかかれた。


「よし、大丈夫だ。痛いけど」

「青蘭、猫に好まれないんだね」


海斗が思っていたことを口にだしていた。


「じゃあ、猫ちゃん。君はなぜ"カシャ"になった?」


なんと、青蘭は言葉を喋れない猫に質問をしたのだ。当然、言葉は喋れないため答えられないと思っていたら「ワシか?」と言っていた。


(ずいぶんと声がかわいいな)


海斗が心の中で呟いた。"カシャ"と呼ばれていたただの猫の声が五歳くらいの少女のように感じた。


「ワシはな、あの人に操られたのです。ワシは三人の子供たちと一緒にいました。だがあの人たちに連れていかれた人たちは過酷な労働をさせられてるんです」

「それでどうなったの?」

「三人の子供たちは今、どこかへ逃げています」


すると、海斗と紅葉は三人の子供たちで『黄鈴屋』に来た三人の子供の妖怪のことを思い出した。


「あの人たちって誰?」

「人間の死者たちだ。でも、たしか黒幕が人間の女性だ」


人間の女性ということは『風森屋』で働いている志野夕日のことだろう。


「じゃあ、連れ去られた人たちは今どこにいるんだ。犯人も思い出したら教えてくれ」

「わかった。ワシに着いてきてくれ。知ってるから」


三人は当然着いていくことにした。だが、藍が酔ってしまったせいで志野と一緒にいる。それでも失踪事件を解決しなければならない。なので少ない人数で解決をするのだった。

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