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妖の追凶〜time of hell〜  作者: 羽波紫希
華の道しるべ編
73/83

72.これ以上、被害が及ばないために

(これはヤバい…助けないと青蘭が…)


海斗は女子高生に化けている青蘭が炎でできている鳳凰から転落するのを見て助けようとした。猫の鳴き声はしていない。


「…はっ!どうしよう…これはまずい…助けないと…一体どうすれば…」


青蘭が転落する姿を見て、紅葉は口を両手で抑えながら驚いている。どう助けばいいのか焦っていた。


(あ…でもこの距離じゃ僕の手を出しても青蘭が掴むことは完全にできない)


店は猛炎で包まれ、その中に落ちるとあっという間に焼かれてしまう。青蘭は氷の妖術を使うため、 火には完全に弱点だった。


(もう終わりだ…僕は青蘭のことを勘違いした…最強だから何とかなるだろうと思っていた…)


青蘭は最強。氷の妖術が使える妖狐だから。その考え方を持ち続けた海斗は間違いだと気付いた。いくら青蘭が最強でもどうすることもできない状況だ。


(青蘭…本当にごめんね…)


海斗は心の中で言う。青蘭は完全に下へと落ちている。と、そのときだった。 志野が炎でできている鳳凰から下へ飛んだ。青蘭のことを助けるつもりだ。


「ちょっと、下へ落ちると危ないですよ」

「いいや、それは大丈夫ですよ。今度は私が助けないと行けないので。この子には感謝しかないですから」


海斗が止めよつとしても、志野は炎でできている鳳凰から下へと自ら落ちた。内心、罪を償うと決めている。


「ちなみに海斗くん、私は大丈夫だ。死者だから落ちて怪我をしても永眠することはないから」


志野は優しい口調で言うが、海斗はそのことを耳にしていない。 それどころではなかった。


「取りあえず怪我をしないようにしてください」


海斗は何も手を出すことはない。志野に任せることにした。ただ、怪我をしないようにと注意をしただけ。


(夕日ちゃん何で…)


紅葉の火炎の妖術でできている龍の上に乗っている藍は志野のことを覚えていた。以前、『風森屋』で働いたことがある。


(…っ!志野さん、助けに来たのはありがたい。だけど今は…)


店の屋根にもうすぐ落ちそうだ。青蘭はどうしようもないと感じていた。だが、志野が助けに行こうとしていたのを見て驚いている。


(やっぱり使うか…)


青蘭は氷の妖術を使おうか迷っているところだ。女子高生に化けているが王道な技を使わなければ大丈夫だろう。青蘭を助けようとする志野を見て、致命傷になるわけにはいかない。


(下に落ちているたびに暑くなる…)


雪の国出身のため、火や暑い場所は苦手。火で包まれている店の中に落ちたら終わりだ。死ぬわけではない。妖怪でも後遺症は残ることがある。


(いや、いつまでも決まらないのは無駄だ)


青蘭は氷の妖術を使おうとする。


寒波天伽(かんぱてんか)


青蘭が手を出すと、神楽坂全体で寒気がしたのだ。


「…うっ。寒い…」


海斗は寒気がしたせいか体中が震えている。紅葉の妖術でできている鳳凰や龍は威力が少しずつ弱まっているのだ。


「ハ…ハ…ハ~クシュン!!」


真冬くらいの寒さになってしまったせいでくしゃみが出てしまい、鼻水が出てしまった。海斗はちり紙はもっていない。


「終わったーーー!!」


海斗は思わず口に思っていたことを出した。


「うわぁ!落っこちてるんだけど!」


すると、藍は再び酔った。高い場所に長時間いたからだ。


「わわ、藍さん大丈夫ですか~?」

「大丈夫だ…あと少しすれば回復するかもしれなっ…」

「藍さ~ん!お願いだから本当に死なないでくださいよ~」


藍は気絶寸前に至っている。炎でできている龍に乗っていた紅葉は泣きながら言った。



寒波になり、神楽坂全体は真冬の寒さになっている。


(ごめんね…海斗、藍、紅葉。火を止めるためだったらこれしかないんだ)


青蘭は3人のことを申し訳なさそうに思っている。志野に対してもだ。


(次、少し氷河期にしてみるか。海斗たちには申し訳ないけど)


青蘭は再び手をだしながら少しずつ気温を下げた。それだけでなく、吹雪も少し出したのだ。


「あ…」


すると、『風森屋』ら辺の店から猫の唸り声が再び聞こえる。叫ぶような声の大きさだ。そのことに青蘭は唖然とした。


「ああああ!寒い!」


紅葉の火炎の妖術でできている鳳凰に乗っていた海斗は身体中が震えていた。寒がりでもあった。


「これ…だんだん落ちてきてないか?」


その鳳凰の火の威力が弱まっている。そのせいか次第に下へと落ちる方向になっていた。


(責任取られそう…)


紅葉の火炎の妖術でできている龍に乗っていた紅葉は責任を取られることを頭の中で考えていた。一緒に乗っている藍は現在、酔ったせいか気絶している。


(少し氷河期にしてみたなら次は俺が火に付いた瞬間に氷の妖術を使えば…)


青蘭が火の中に包まれている店に落ち、手が火に付く瞬間だ。手を火で燃え広がっている店の上に出し、燃えている火を冷たく鋭い棘の氷で固めた。


(よし!この調子なら)


心の中で言ったときだ。再び猫の唸り声が聞こえたのだ。それと同時に火の威力が広がる。それでも、青蘭は氷の妖術で使い火が燃え広がるのを防いだ。


(雪乃ちゃん、氷で使っている。すごいね。あなたは何者なんだ)


落ちそうになっている志野は青蘭に対し、人間ではないと確信した。すると、青蘭はさらに氷の妖術の威力を高めた。


「俺の妖術で死者や妖怪の被害が及びませんように!!!」


全力を発揮し、火を消した。氷の棘を使ったお陰で火が燃え広がることはない。だが、寒気がするのだ。


「俺!?わっ!」


志野は店の屋根の上に落ちてしまった。けれど、怪我はしていない。


「口癖が俺ってどういうことなの?」

「え?」


志野は青蘭に聞いた。そのことに青蘭は首をかしげた。


「俺!さっき雪乃ちゃんが言ったこと」

「あぁ…」


とうとう誤魔化すことができなくなった。青蘭は正直に話すか迷っている。妖狐で性別は男だと。


(これはまずいな…)


青蘭は少しずつ汗がかく。黒髪の清楚な人間の美少女ではなく、中性的な顔立ちに白い長髪で空のような瞳をしている美少年だと。


「聞いてるの?」

「あの…」


青蘭が仕方なく正直に話そうとしたときだ。突然、海斗と紅葉の悲鳴が聞こえた。


「なんだ!」


思わず声に出してしまう。火は燃え広がっていない。なので、怪我は軽いはずだ。


「志野さんはここにいてください!」

「あ、ちょっと!」


青蘭はすぐに海斗と紅葉のところまで向かった。志野は少し苛立っていた。


「わわぁ!怖すぎ…降りれない…」


下を向くと、飛び降りれる高さとは思えないほどの高さだ。志野は少しの恐怖症だ。なので降りれるかどうかは不安だった。

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