chapter874 隠された切り札
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モモタとゴドーの戦いは一方的な展開となっていた。
ゴドーは二つのクロス……〔マグマ〕と〔ケツァルコアトルス〕を使う事で有利に戦闘を進めていた。
まずマグマ。
彼の場合、マグマを普通に放つ訳ではなく、弾丸状――熔岩弾とでも言うべき物にして、それを拳銃の弾丸として撃っていた。
マグマの温度は地表近くでだいたい八百~千二百度程度、 地下深くの出来立てのマグマは千三百~千四百度位。
つまりは生半可な炎より高温なうえ、質量がある。
だからこそ、この弾丸は対物理や対炎熱では防げない。
そして、ケツァルコアトルス。
背中から翼を展開し、空中を凄まじいスピードで飛ぶ。
一説によれば、ケツァルコアトルスは時速五十~六十kmで飛行していたが、そこはクロス。ゴドーはそれを遥かに超えるスピードで飛んでいた。
そして、この翼竜自体には空中からの攻撃手段はないが、それを彼はクロスと拳銃で補っていた。
これが本気のゴドーの戦法……の一つ。
空中を高速で飛びながら、マグマの弾丸を撃っての滅多撃ち。
相手に滞空攻撃手段がなければ詰む。
それをモモタは障壁を使う事で防いでいた。
だが、完全には防げず、弾速や威力を弱めるのがせいぜい。
それを自力で回避していた。
(ここまでバンバン撃っても弾切れがないとは……)
内心嘆息していた。
最初は相手のスタミナ切れを狙っていたが、相手に消耗が全くない。
(これは何かしら使ってるね……)
装備か、スキルか。
どちらかはわからないが……。
モモタは知らない事だが、これはスキル……と言うかギアスの効果だった。
ゴドーは自身の《レッドクロス〔マグマ〕》に制限を掛けている。
それが――『マグマを銃器での攻撃手段でしか使わない』というモノ。
つまりはそれ以外の攻撃方法が一切出来ない。
ただしその代わり、撃てる回数が上昇し、威力と弾速まで上がっている。
そんな相手にモモタは決意する。
(なら使うか。幸いにも射程範囲だ)
相手の攻撃方法の観察は終わった。
ここからは反撃と行く。
モモタは長ドスを持っている手とは逆の手で、首に付けていたペンダントを出す。
それは漆黒の宝石が付いた物。心なしか不気味な気配を放っている。
彼はいつもこれを上手い事見えないように付けて、服の中で隠している。
これこそが彼の奥の手。
「さあここからだ」




