chapter873 彼の戦闘
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オウカがゴーレムを慣れと覚醒により一刀両断した頃……
エンバの戦闘も決着が付こうとしていた。
「おいおい……どうした?」
ゴーレムへ声をかけるエンバ。
「そんなものかよ」
その体にはこれと言った損傷もない。
それどころか、若干肌がツヤツヤしている。
誰から見ても戦闘前より調子が良さそうだった。
一方、ゴーレムの状態は正反対。
装甲は凹みや罅が入り、腕の鉤爪も欠けている。
完全に追い詰められている。
それでもゴーレムには退くという選択肢はない。
闘氣を動力炉が自壊寸前する寸前まで迸らせ、エンバ目がけ突進する。
だが……
「これで終わりか? じゃあ死んでいいぜ」
エンバはそう言った。
それと同時、闘氣が蜻蛉の翅のように展開される。
そして、一瞬でゴーレムの背後にその姿はあった。
「まあまあだったぜ」
エンバの手にはゴーレムの動力炉があった。
動くための中枢を失ったゴーレムは、一歩二歩踏み出してから倒れた。
「これが……大本か。後で調べて貰うか」
彼はそう呟いた。
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ゴーレムの戦いを見終え、イヌガミは嘆息する。
「……こうなったか」
暫くしてそう呟いた。
先程までの楽しそうな顔から一転、悔しそうな顔をしている。
(サクヅキ=オウカは成長性と適応力で突破か……)
こちらはまだ良い。
問題はエンバ。
(流石に闘氣の扱いでは一枚上手か)
やはり三奇拳と言うべきか、闘氣の扱いが上手い。
上手く配分・調整し、攻撃、防御、移動に使い、破壊、貫通、対物理などの性質を付与してくる。
更に、対象から闘氣を吸収するという妙技まで使ってくる始末。
そのせいで、時間が経つに連れて優劣がはっきりしてしまった。
ゴーレムの攻撃は通じないのに、エンバの攻撃は通るという始末。
その結果がこれだった。
「……負ける事は想定内」
因みにイヌガミとしては負ける事も織り込み済み。
これはあくまで実験機なのだから。
それより問題は……
「あの動力炉を取り戻さなくては……」
エンバの作る作品は機密保持のために自爆・自壊機能が付けてある。
勿論、あのゴーレム二機にも付けていたが、動力炉には付けていなかった。
生産コストが高い事から、再利用できるように、ゴーレムが機能停止した場合、ソレだけは転移するようにしていたからだったのだが、それが仇となった。
すぐ取りに戻そうかと思ったが……。
(他の二人がどうなるか次第か……)
そう思った。




