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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
漆ノ章 ~PROJECT XX~

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873/875

chapter873 彼の戦闘

 ■□■□



 オウカがゴーレムを慣れと覚醒により一刀両断した頃……

 エンバの戦闘も決着が付こうとしていた。

 

「おいおい……どうした?」


 ゴーレムへ声をかけるエンバ。


「そんなものかよ」


 その体にはこれと言った損傷もない。

 それどころか、若干肌がツヤツヤしている。

 誰から見ても戦闘前より調子が良さそうだった。


 一方、ゴーレムの状態は正反対。

 装甲は凹みや罅が入り、腕の鉤爪も欠けている。

 完全に追い詰められている。


 それでもゴーレムには退くという選択肢はない。

 闘氣(オーラ)を動力炉が自壊寸前する寸前まで迸らせ、エンバ目がけ突進する。

 だが……


「これで終わりか? じゃあ死んでいいぜ」


 エンバはそう言った。

 それと同時、闘氣(オーラ)が蜻蛉の翅のように展開される。

 そして、一瞬でゴーレムの背後にその姿はあった。


「まあまあだったぜ」


 エンバの手にはゴーレムの動力炉があった。

 動くための中枢を失ったゴーレムは、一歩二歩踏み出してから倒れた。


「これが……大本か。後で調べて貰うか」


 彼はそう呟いた。



 ******



 ゴーレムの戦いを見終え、イヌガミは嘆息する。


「……こうなったか」


 暫くしてそう呟いた。

 先程までの楽しそうな顔から一転、悔しそうな顔をしている。


(サクヅキ=オウカは成長性と適応力で突破か……)


 こちらはまだ良い。

 問題はエンバ。


(流石に闘氣(オーラ)の扱いでは一枚上手か)


 やはり三奇拳と言うべきか、闘氣(オーラ)の扱いが上手い。

 上手く配分・調整し、攻撃、防御、移動に使い、破壊、貫通、対物理などの性質を付与してくる。

 更に、対象から闘氣(オーラ)を吸収するという妙技まで使ってくる始末。

 そのせいで、時間が経つに連れて優劣がはっきりしてしまった。

 ゴーレムの攻撃は通じないのに、エンバの攻撃は通るという始末。

 その結果がこれだった。


「……負ける事は想定内」


 因みにイヌガミとしては負ける事も織り込み済み。

 これはあくまで実験機なのだから。

 それより問題は……


「あの動力炉を取り戻さなくては……」


 エンバの作る作品は機密保持のために自爆・自壊機能が付けてある。

 勿論、あのゴーレム二機にも付けていたが、動力炉には付けていなかった。

 生産コストが高い事から、再利用できるように、ゴーレムが機能停止した場合、ソレだけは転移するようにしていたからだったのだが、それが仇となった。

 すぐ取りに戻そうかと思ったが……。


(他の二人がどうなるか次第か……)

 

 そう思った。

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