chapter746 パワーとスピード
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同時に飛び出した結果。
「ほら、入った」
早かったのはユウナ。
そのまま鉈を振るいマリアを斬りにかかる。
「……」
マリアはパイルバンカーを盾にするが、その隙間を鉈は掻い潜り、マリアを斬り刻んでいく。
血塗れになっていくが、その眼は死んでいない。
(何か狙っているな。それはともかく……)
ある事をユウナは思っている。
(硬い! 筋肉の密度が違う!?)
近接系の戦闘者なら筋肉が付いているのは当然。
なのだが、それがマリアは異常だった。
歩き方や佇まいから、なんとなくわかっていた事だが、体感して改めて予想を遥かに超えていた。
そのせいで傷は付き、出血はしているが、浅い。
……しかもパイルバンカーを盾にしているので、重要な部位に傷がつけられない。
それに加え……
(カウンターが怖いよね)
皮を切らせて肉を断つ。肉を切らせて骨を断つ。
それをユウナは恐れていた。
(このまま削って行って失血を狙う)
深入りはせず、刻む事を選択するユウナ。
だが、それはマリアも予想済み。
だからこそ、マリアはあえて脱力する。
「(予想よりも深く食い込んだ)!?」
ユウナの一撃がマリアに深く食い込む。
そのせいで引き抜くまでタイムラグが出てきてしまう。
かなりの血が流れるが、マリアは筋肉を使って締め、血と鉈を止める。
そのまま狙うのは鉈を持つユウナの左腕。
「!」
それにユウナは何の躊躇いもなく武器を手放す。
「予想通り」
「!?」
マリアの拳の連打。
威力より速さを重視。
それをユウナは後ろに下がる事で凌ぐが……
(数発貰った……)
何発か喰らってしまった。
速さ重視の一撃なのに、骨に罅がいった。
「危ない危ない」
「流石ですね」
マリアは刺さった鉈を引き抜くと、空き缶でも丸めるかのようにしてしまう。
それにユウナは軽く唖然としながら呟く。
「君はゴリラか何か?」
「ゴリラに失礼です」
((いや!? あなたは!?))
観戦者がその言葉にツッコミを内心で入れる。
そんな中で、ユウナは考えていた。
(武器を失くしたのは痛いな……。どうしよう)
そんな事を思った時だった。
「ユウナさん!」
レイリが何かをぶん投げた。
それは――レイピア。
初めて殺した相手からの戦利品
「使ってください!」
「ありがとう」
そしてユウナはレイピアを構えた。




