chapter744 今、ぶつかる時
ユウナが口を開く。
「ところでさ、聞いても良い?」
「構いませんよ」
表面上は穏やかなマリア。
だが、余程鈍い人でない限りわかる。
これはいつ爆発するかわからない爆弾。
だが、その爆弾を平然と触れる者はいる。
「いきなり殴って来たのって、僕に恨みがあるから?」
ユウナの問いにマリアは平然と頷く。
「ええ」
幸い爆弾はまだ爆発しない。
「アナタが世界を救えなかったから」
しかも良い所まで行ったのに
「後世の人、皆が皆、苦しみ続けたのですから」
しくじったせいで、世界は更に酷い事になったのだから。
その時だった。
「おかしいですよ! それ!」
「こら! レイリ!」
「だって、それはユウナさんが何かした訳じゃない!」
「ん」
レイリが叫ぶ。
イヌコが止めようとするが、それを振り払う。
その言葉に、マリアとユウナの視線が彼女に向く。
……クインがさりげなく庇うように、二人の前に出て同意する。
「ユウナさんは、良くしようと努力したんでしょう? だったら攻められるいわれはないはずです!」
その言葉にユウナは少しだけ驚いたような顔をしてから、穏やかな表情を浮かべる。
一方、マリアはその言葉に――頷く。
「ええ。そうですね」
「!」
「……わかっているの?」
クインが思わず口を開いてしまった。
それにマリアは再び頷く。
「はい。だから八つ当たりです」
平然と威張れない事をマリアは言った。
それに、
(やっぱりサクヅキクンの友人だ……)
(ソルさんもそうだったけど、どこかズレてる)
(何か悲しい人……)
キョウコ、カナタ、ジンナの三人はこう思った。
そしてマリアは続ける。
「とは言え一発では収まりませんので」
彼女の右腕の周りの空間が揺らめく。
「今からアナタを殺しにかかりますので……」
巨大なパイルバンカーが装着される。
「抵抗してください」
抜錨と同時、マリアの圧が膨れ上がる。
並みの戦闘者でも怯む圧だが、ユウナは動じず笑う。
「へえ……。やりそうだね」
それに腰に挿していた大振りの鉈を引き抜いた。
彼女は知らない事だが、この鉈、仮想敵がモンスターやプレイヤーなので、そういう敵にも有効打を与えられるうえ、かなり頑丈。
そして武器を展開した二人は――
「死んだらすいません」
「死なないから安心してかかってきな」
激突した。




