chapter743 激突する言葉
それに全員がギョッとする。
マリアを知らない人にとっては、いきなり人を殴り飛ばしたようにしか見えない。
「ま、マリアさん? いきなり何を?」
キョウコが驚く。
驚きのあまり、いつもの口調がなくなり、糸目が見開かれている。
知っている人にとっても、いつも穏やかなマリアが凄まじい激情を見せ、人を殴りつけたのだから。
だが、マリアはそれに答えない。
少しは落ち着いたようだが、険しい顔でユウナの方を見ている。
すると……
「驚いた……」
声が聞こえて来た。
すると倒れていたユウナが起き上がり、体に付いた砂や埃を払いながら、こちらに歩み寄る。
その足に乱れはなく、表立ったダメージはなさそう。
「凄い一撃。金剛石すら砕けそう」
「よく言いますね。受け流した癖に」
マリアにはわかっていた。
殴った瞬間、芯をズラされたうえ、片腕を体の間に挟みダメージを抑え、自分から吹っ飛んでいた。
それにユウナはひらひらと手を振って言う。
「いやいや、全部は受け流せなかった」
実はユウナ、結構ダメージを貰ってしまった。
しかも……
(胴体に直撃してたら、内臓イカレてたな)
盾代わりにした右腕が動かない。完全に受け流せなかったのだ。
「あのゴミ溜めに居ただけはあるね」
そう呟くとマリアが恵心した顔になって告げる。
「ゴミ溜めとは良い表現ですね。ワタクシも使いましょう」
その言葉からは、自分の世界に対する愛着が感じられなかった。
それにユウナは察する。
「ああ……、君も酷い目にあった口か」
「ええ」
返事をしてからマリアは答える。
「孤児院を人質に、娼館に叩き売られ、女としての幸せを奪われました」
しかも孤児院は自分が売られた日に、皆殺しで大炎上です、と続ける。
それに誰も何も言えなくなる中、ユウナは口を開く
「そっか。僕は……」
「あ、知っています」
彼女の言葉を遮り言う。
「仲間に裏切られ、達磨にされて、犯されて、処刑されたんですよね」
全員の視線が集中するが、それにユウナは気にする事もなく微笑んでる。
「そうだよ。もしかして……色々伝わっている?」
「はい。あの時代の人間なら皆知っています」
「いや~、恥ずかしいね」
そう言って顔を少し染めるユウナだが、どう見てもワザとやっているようにしか見えない。
「やっぱり強姦されるって辛いよね」
「ええ」
((なんでそんな事平然と言えるの……?))
その会話を聞いた女子達が唖然とした。




