chapter739 現れた女子
そうして話しながら歩いていると、学校が見えて来る。
「へえ……結構良い設備」
そう呟くユウナを横目に、イヌコがクインに訊ねる。
「彼女、学校に行くつもりなの?」
「ん。サクに押し付ける」
「部外者よね?」
「サクの知り合い」
「だからって……」
流石に駄目だろう、とイヌコは思う。
それに、
「去年……一応年明けだから今年だけど」
イヌコは語る。
「侵入者があって大騒動になったんだから」
オウカとマリア、≪聖霊教≫の円卓が侵入した事件である。
あの件は、危険物があり、ああするしかなかったと言う事で、≪聖霊教≫が壊れた物を弁償し、怪我人に見舞金を支払ったり、回復魔法を受ける事で片付いた。
とは言え、色々な事情が重なったとは言え、流石にあそこまで良いようにされてしまったので、侵入者に対しては更に厳重になっている。
「だからどうなるか……」
不安そうなイヌコ。
するとそこへ、
「あ、イヌコ。おはよう」
「ジンナ……」
やって来たのはジンナ。
元々彼女はどこかの誰かと違って、誰とでも仲良く出来る。
なので、レイリがオウカとつるむようになってから、ジンナはイヌコと仲良くなっていた。
そんな彼女を見て、イヌコの顔が明るくなる。
「助かったわ」
「?」
状況が理解出来ず、首を捻る彼女にクインが口を開く。
「ん」
「?」
ユウナを前に出す。
「この人は?」
「サクの知り合い。あっちの」
「え」
ジンナはオウカの過去を結構知っている。
クインの言葉で察したのだが……。
(誰?)
オウカが道中で会って、友誼を結んだ人全員知っている訳ではない。
とは言え、現状では知っている方なので、照合していく。
(剣士や拷問士じゃない)
前者だったら、そもそも人が周りにいない。
(百合や鍛冶師でもない)
どちらも人が離れているので違う。……前者は相手から、後者は自分から。
(お嬢様とメイドは違う)
外見と中身から違う。
(義姉と義妹じゃないよね)
こちらも同じく。
(誰なんだろう?)
どういう人物かと、外見は聞いていたからこそ出来た事。
だが、誰も当てはまらない。
うんうん唸っていると、ユウナが苦笑して告げる。
「僕は語られていないかもね。付き合いは短いから」
「あ、そうなんですか?」
「一時間もないかも」
「「それで友達なの?」」
イヌコと言葉が重なる。
それにユウナは断言する。
「少しの邂逅でも、心が通じ合う時があるのさ」
その眼は遠くを見つめていた。




