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冥刀抜錨トリニティGEAR  作者: 亜亜亜 無常也
漆ノ章 ~PROJECT XX~

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chapter739 現れた女子

 そうして話しながら歩いていると、学校が見えて来る。


「へえ……結構良い設備」


 そう呟くユウナを横目に、イヌコがクインに訊ねる。


「彼女、学校に行くつもりなの?」

「ん。サクに押し付ける」

「部外者よね?」

「サクの知り合い」

「だからって……」


 流石に駄目だろう、とイヌコは思う。

 それに、


「去年……一応年明けだから今年だけど」


 イヌコは語る。


「侵入者があって大騒動になったんだから」


 オウカとマリア、≪聖霊教≫の円卓が侵入した事件である。

 あの件は、危険物があり、ああするしかなかったと言う事で、≪聖霊教≫が壊れた物を弁償し、怪我人に見舞金を支払ったり、回復魔法を受ける事で片付いた。

 とは言え、色々な事情が重なったとは言え、流石にあそこまで良いようにされてしまったので、侵入者に対しては更に厳重になっている。


「だからどうなるか……」


 不安そうなイヌコ。

 するとそこへ、


「あ、イヌコ。おはよう」

「ジンナ……」


 やって来たのはジンナ。 

 元々彼女はどこかの誰かと違って、誰とでも仲良く出来る。

 なので、レイリがオウカとつるむようになってから、ジンナはイヌコと仲良くなっていた。


 そんな彼女を見て、イヌコの顔が明るくなる。


「助かったわ」

「?」


 状況が理解出来ず、首を捻る彼女にクインが口を開く。


「ん」

「?」


 ユウナを前に出す。


「この人は?」

「サクの知り合い。あっちの」

「え」


 ジンナはオウカの過去を結構知っている。

 クインの言葉で察したのだが……。


(誰?)


 オウカが道中で会って、友誼を結んだ人全員知っている訳ではない。

 とは言え、現状では知っている方なので、照合していく。


剣士(コジュウロウ)拷問士(モンセラート)じゃない)


 前者だったら、そもそも人が周りにいない。


百合(リリアーヌ)鍛冶師(ヴィー)でもない)


 どちらも人が離れているので違う。……前者は相手から、後者は自分から。


お嬢様(ベアトリクス)メイド(アンジェリカ)は違う)


 外見と中身から違う。


義姉(ミスト)義妹(アーリルシア)じゃないよね)


 こちらも同じく。


(誰なんだろう?)


 どういう人物かと、外見は聞いていたからこそ出来た事。

 だが、誰も当てはまらない。


 うんうん唸っていると、ユウナが苦笑して告げる。


「僕は語られていないかもね。付き合いは短いから」

「あ、そうなんですか?」

「一時間もないかも」

「「それで友達なの?」」


 イヌコと言葉が重なる。

 それにユウナは断言する。


「少しの邂逅でも、心が通じ合う時があるのさ」


 その眼は遠くを見つめていた。

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