chapter738 彼女の記憶の一片
そして、イヌコがユウナに改めて自己紹介する。
「改めて。私はアサギ=イヌコです」
「ワンコって呼んで良いですよ」
「呼ぶな! あ、オホン。すいません」
余計な事を言ったレイリにツッコミを入れるイヌコ。
そんな様子に気にする事もなく、
「いや、別に気にしないから。僕はユウナ。ええと……」
少し考えこう言った。
「サクの知り合い」
「……ああ」
色々察したイヌコ。
彼女はオウカとクラスは違ううえ、長い事避けていた気まずさもあり、今はそこまで仲良くはない。
友達や仲間と言える程の中でないが、会えば挨拶して、雑談くらいはする。
だからこそ、彼が特定の人に許している呼び名がある事、過去に何かあった事は知っている。
そして、彼女は頭を下げる。
「昨日は色々ありがとうございます」
「うん?」
「レイリが元気になったのは、あなたのおかげと聞いたので」
ユウナという人に話を聞いて貰えたと聞いていたイヌコ。
そのおかげか、レイリは実習前の様子に戻りつつある。
「いやいや、僕は何もしてないよ」
軌道を少しだけ修正し、背中を押した程度。
「きっと自分一人でも解決できたんじゃないかな?」
「そうだとしても時間はかかったでしょうから。本当にありがとうございます」
「大した事していないから。頭を上げて」
また頭を下げるイヌコの頭を上げさせるユウナ。
そして、レイリを見て口を開く。
「レイリちゃんは良い友達を持ったね」
「え」
「大事にしなよ」
一拍置いて続ける。
「自分を大事に思って、大事にしてくれる人は大事にしないと駄目だよ?」
人生の先輩からの忠告さ、とユウナは続ける。
そんな彼女にクインは素朴な疑問をぶつける。
「ん」
「何」
「何歳?」
その言葉にユウナはう~ん、と腕組し考え始める。
暫くして口を開く。
「……何歳だっけ?」
「「知らないよ!?」」
ツッコミを入れるレイリとイヌコ。
クインが聞く。
「自分の年齢、わからないの?」
「ほら、二人には言ったけど、僕色々あったじゃない?」
色々が凄まじいレベルだが。
「だから記憶とかも結構摩耗してるから」
特に死ぬ寸前と、死んだ後はかなり使われた。しかも粗雑に。
そのせいで、今では生前の記憶はかなり曖昧だった。
(活動してたのは……百年くらいになるかな?)
そんな事を思ったユウナだった。
【TIPS:異世界の歴史】
(・▽・)<丁度良い機会だから、やりましょう。
(#ー#)<ええと確か……変わった経緯はこっちと同じだったよな?
(・▽・)<怪物の襲来がきっかけですね。
(・▽・)<でも、そちらと違い備えが出来ていなかったので、かなり追い込まれました。
(・▽・)<そして……、反撃の手として
(㈩*㈩)<冥刀が開発された。
(#ー#)<急に出た!? まあ当事者だしいいのか。
(㈩*㈩)<それで怪物は掃討出来たけど、次に人間同士の争いとなった。
(・▽・)<叢雅一門全滅は怪物襲来の二十年後くらい。
(・▽・)<その更に三十年後にユ……勇者が活動しました。
(・▽・)<そして、五十年後にヤク事件でトドメが刺されました。
(#ー#)<百年で滅んだのか……。
(㈩*㈩)<百年頑張った……と言えるかな。無理か。




