chapter737 四人の女子
そういう訳で。
「……」
「学校か。初めてだな」
制服姿のクインは、ユウナと一緒に歩いていた。
因みに服装はクインの学校指定のジャージ。
ダボダボな物が丁度あったので、それを借りて着ている。
(んん……)
クインの脳内は色々な考えが渦巻いていた。
そもそも生徒でも、教員でもない者を連れて行っていいのか。
オウカの関係者だから、全く無関係ではないのかもしれない。
異世界出身の危険人物を平穏な場所に放り込んでいいのか。
特定外来生物みたいな事にならないか。
まあ今は冥刀を持っていないようなだから、大丈夫かもしれないが。
(高校に着いたら、サクに押し付けよう)
そんな他力本願な事を思い、現実逃避のために、気になった事を訊ねる事にする。
「ん」
「何?」
「学校、初めてなの?」
「うん。僕は辺境生まれだからね。ないものには行けないから」
冥刀が生まれた世界は、怪物の襲来により、文明レベルが結構下がってしまった。
場所によってこことどっこいどっこいな場所もあれば、中世レベルの場所もあった
「読み書きを教えてくれる人に習った感じかな?」
村にいた一番学歴があった人が、読み書き、計算、歴史を教えてくれた。
「戦い方は?」
「道場があってね。村の子はそこに通う事になってた」
あの世界は、道場が結構あった。主要武器が刀剣なので当然と言えば当然かもしれないが。
そのため、村の子供は男女共に道場に通っていた。
とは言え、護身がある程度可能になった時点で、やめてしまう人が多かった。特に女子。
だが、ユウナは通い続けた。
その結果、いつの間にか道場の師範すら勝てなくなった。
「……そんなので盗賊団に挑んだの?」
「何かしたかったのさ。……今に考えれば随分青かったな」
実は最初の襲撃で村の戦える者達は皆死んでいた。
それが理由の一つでもあるかもしれない。
昔を思い出し、たははと笑うユウナ。
すると、そこへ誰かが近づいて来る。
「おはよー、クインちゃん、ユウナさん」
「おはよう」
それはレイリ……とイヌコだった。
「ん」
「ああ、おはよう。レイリちゃん。……と」
イヌコとは初対面なユウナ。
それにレイリが紹介する。
「わたしの幼馴染の――ワンコちゃんです」
「イヌコよ! いい加減にしなさい!」
ツッコミを入れるイヌコに、レイリはアハハと笑う。
そんな光景を見てユウナは微笑まし気な表情をする。
「?」
「いや、昔をちょっと思い出した」
「ん」
悲惨な過去を持っているユウナだが、楽しい時間があったのだろう、とクインは思った。




