chapter733 或る終わり
「何度も吐いたし、その日は眠れなかった。色々な考えが頭を巡ってね」
「それでこう思ったんだ。奪った命に意味を持たせようって」
「だからこの世界を良くするために旅に出た」
「え? 道中大丈夫だったのかって? 大丈夫じゃないに決まってるでしょう?」
「数えきれない程襲われたし、危ない時もあった。序盤は死に掛けた事も多かった。」
「でも……そんな風にしていると同士が出来た。仲間が出来た」
「応援してくれる人、感謝してくれる人も出来た」
「本当にあの頃は良かった。楽しかった。でもね、夢はいづれ覚めるものだった」
「あの世界で信者を増やしている教団があってね。そいつらに目を付けられた」
「邪魔な僕を消そうとしたんだ。とは言っても正面からぶつかったら負けるから」
「搦め手を使って来た。仲間を離脱させ、悪評をばら撒いて、濡れ衣着せされた」
「具体的には……え? 言わなくて良い? そう? じゃあどうなったかだけ」
「断頭台で首切られて死んだ。もうひとりぼっちだった時にね」
「[お前の家族を人質にした、出頭するなら命だけは助けてやる]って」
「だから、大人しく捕まった。そしたら動けないようにって手足斬られて」
「そして暴力振るわれ、慰み者にされて、処刑された。裁判もなしにね」
「しかも家族はとっくに死んでいた。死ぬ寸前に首を見せられた」
「本当に酷いよね。あの世界の人間って約束を破る物だと思っているから」
「その後、その死体が教団に利用されたんだ。……今思えばこうする気だったのかも」
「あいつら使い捨ての信者や、冥刀持ちの戦闘員だけじゃなくて」
「そういう死体を利用して戦闘員にしていたし」
「しかも質が悪い事に魂も呼び戻して使うんだ。本当に辛かった」
「……まあ多少は抵抗したけどね。身体操作を応用して弱体化してたし、冥刀はなかったし」
「腱位置をズラして筋出力の抑制して、関節可動域を制限して」
「神経伝達速度を最低レベルまで低下させて、脳神経回路の一部休止させた」
「……まあそれでも僕を倒せる人はいなかったけど」
「それでそんな日々がずっと続くんだって思ってたんだけど……」
「ある時、彼が……サクが現れた。彼が僕を殺して解放してくれた」
「だから感謝しているのさ」
【コソコソ話】
(#ー#)<なあ。この教団って何だ?
(・▽・)<カルトです。終わり。
(#ー#)<もうちっと説明しろ。
(・▽・)<教祖を崇めるオ〇ムみたいな感じです。
(・▽・)<ドンドン信者を増やしていきました。
(#ー#)<……なんでコイツは邪魔扱いされたんだ。
(・▽・)<身も蓋もない言い方すると、嫉妬。
(#ー#)<は?
(・▽・)<教祖的に、自分より人気があるからって悔しかったみたいです。
(#ー#)<本当に終わってるな……。




