chapter732 初めての戦い
「躊躇ったら、死ぬ……」
その言葉を反芻するレイリ。
それを横目にクインは手を挙げる。
「質問?」
「ん」
「何だい?」
一拍置いてクインは口を開く。
「サクに殺されたんだよね?」
「そうだよ」
「何で殺されたのに感謝しているの?」
クインの素朴な疑問。
「あ……確かに。わたしもそれは気になります」
レイリもこう言った。
それにユウナは少し何かを考えるような仕草をする。
一分程して口を開く。
「話すのはいいけど、全然楽しくない話だよ。それでもいい?」
少しだけ圧を出すユウナ。
だが、二人はそれに怯まず、力強く頷く。
「わかった」
そして、彼女の口から出たのは――あまりにも酷く胸糞悪くなる話だった。
●○
「まず最初に言って置くと、僕はね二回死んだんだ」
「二回目にサクに殺されたんだ。……え? どうしてそんな事になったのか?」
「まず一度目。僕は普通の村で、普通の両親から生まれた」
「それですくすく育って行ったんだけど……」
「問題が発生したんだ。村に盗賊がやって来た」
「そいつらは質が悪くてね、一回来て洗いざらい持って行くじゃなくて……」
「近くに根城を作って、定期的に来て徴収していく感じだったんだ」
「生かさず殺さずって奴。逆らったり、歯向かう奴は殺された」
「もう希望もない日々だった。だからこそ――ボクは立候補したんだ」
「[アイツらを倒してくる]ってさ。ん? 止められなかったのか、だって?」
「うん。というか止める気力もなかったな。親は心配してくれたけど」
「だから隠していたらしい武器とか持たせてくれた」
「そして、ボクは盗賊達の根城に行って……、そいつ等を全滅させた」
「え? 何歳の時か? 確か……八歳くらいだったかな?」
「ん? よく倒せた? 相手が自分を舐め腐っている内に削って行って……」
「後は冥刀を使って。両親が持たせてくれたのって冥刀だったんだよ」
「しかも不可思議叢雅の作品だから、強力さは折り紙つき」
「どうしたの? クインさん。え? 不可思議の作品はハイリスクだろうって?」
「よく知ってるね。とは言えリスクをある程度は調整出来る奴だったから、それを設定して」
「全員殺した。……レイリさん? どうしたの? え? 命乞いとかしてくる奴いなかったかって?」
「……いたよ。でも容赦なく殺っておいた」
「禍根は残せないからね。……まあ戦い終わった後、気分悪くなったけど」




