chapter731 二人の疑問
その場にいる人間は全滅させた。
だが、まだこの施設には人がいる。
なので、ユウナは休憩も挟まず、行動を続ける。
『悪人の使い捨て……虚しい人生だね』
『ホゴォ!?』
隈なく施設を回り、中にいる人間を殺して行く。
どう見ても違法なうえ、柄の悪い人ばかりだったので、良心は痛まない、
それが終わったら、先程の場所に戻り、資料を見て、色々確認する。
「そこでここが異世界だってわかったんだ」
何もない状態で放り出されたうえ、知り合いや後ろ盾すらない。
普通の人間だったら、絶望するかもしれない。
だが、生憎と彼女は普通ではない。
「まあどうにかなるでしょう」
それにこう思ったそうだ。
(もしかしたら知り合いがいるかもってね)
そして、金目の物を持ちだし、フラフラしている時にレイリに出会った。
しかも彼女は友達の名前を言っていたからこそ、話しかけた訳だった。
■□■□
「僕は運が良い。ずぅぅううーーっと運がなかったからね」
そう言ったユウナ。
そして、一息入れるためにほうじ茶のおかわりを淹れ飲む。
その説明を聞いて……
「……」
レイリは何も言えなくなった。
この人は殺す事に容赦がない。
敵だからなのかもしれないが……
(どうしてだろう……)
そう思い訊ねる事にする。
「「あの……」」
クインと言葉が重なる。
お互い顔を見合わせ。
「ええと……クインちゃんからいいよ」
「レイリ先でいい」
お互い遠慮し合う。
するとクインがこう言う。
「悩んでいるんでしょう? だから聞いて見たら?」
「……じゃあわたしからで」
「ん」
ユウナの方を見るレイリ。
「あの……聞いていいでしょうか?」
「何だい? 答えられる事なら答えるよ」
その言葉にレイリは意を決して訊ねる。
「初めて人を殺した時……どう思いました?」
その言葉を聞くとユウナは真顔になる。
ややあって口を開く。
「罪悪感とか諸々で気分が悪かった。戦いの後、かなり吐いたよ」
一拍置いてこう言う。
「今でも人殺しは慣れない」
「ん!」
その言葉に驚いたのはクイン。
「そうは見えない」
「見せないようにしているだけだよ」
そう言って苦笑する。
そしてユウナは続ける。
「確かに人の命は大事だよ。でもね、戦わないと、殺さないと、守れないものがあるんだ」
そう言って手を翳す。
「だから戦る時、殺る時は躊躇ったら駄目だ。その躊躇いで更に人が死ぬんだから」
彼女はそう断言した。




