表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/82

009)足並み

 夕食は紙パックに入ったお弁当が出た。


 ラウンジの脇にあるダイニングテーブルで、一緒に食べる信者の中に、宙香みちかの姿は無かった。宙香だけは自分の部屋へ持ち帰っている。


「本来なら。彼女が率先して、皆を牽引してくれなくちゃいけないのにな」


 波江野はえのさんはぶすっとしながら、おかずを口へ運んだ。現在のところ、波江野さんが皆をまとめている状況だった。


 そうよねと、賛同した詩葉うたはさんの隣りで舘谷たてやさんも黙って頷いている。足並みを揃えようとしない宙香のことを、あまり良く思っていないようだ。


「どうしてですか?」


 間の抜けた感じで聞いたのは明日美あすみだった。


「代表の娘だから、当然じゃないか」


 波江野さんの答えに、明日美は少し首を傾げて何か言おうとしたが、ま、いいかと言うように口を閉じた。


「ここまで来たら。代表の娘とか、関係無くないですか?」


 そう言ったのは在斗あるとだった。反論すると言うより、思い付いたことをそのまま口に出した感じに聞こえた。


「特別な役目を与えられた僕達の中に、リーダーとかまとめ役とか。必要無いですよ」


「しかし、在斗君。あんな風に、皆のやる気を無くすような発言をされたら、困るだろ」


「私もそう思ったわ」


 波江野さんに続いて、詩葉さんが口を挟んだ。


「やる気なんて、自分次第でしょ」


 在斗は苦笑した。


 在斗と詩葉さんの父親は教団の幹部。現幹部の波江野さんを含めた三人は、昔からの知り合いだった。


 この三人が集まって話している場面が多いと感じていたけど、そういう背景があるようだ。


「今だって。一人だけ部屋に籠ってるじゃない。勝手だわ」


 詩葉さんが口を尖らせる。


「別に」


 明日美が我慢できないといった感じで、会話へ割って入った。


「皆で仲良くする必要なんて無いし。それはイイじゃないですか。ねっ、紬生つむぎさん?」


 明日美に突然話を振られて、私は口へ入れた煮豆を喉につまらせてしまった。軽く咳き込みながら、明日美に同意するというように頷いた。


 私だって今後、一人になりたい時は部屋で食べるつもりだった。最初だから、皆に合わせただけ。


「そうですよ」


 少しピリついていた空気を全くモノともしない口調で、在斗が続ける。


「皆。気を使わずに、できるだけ自由にやりましょうよ。僕はそうさせてもらいます。でないと、一ヶ月も、気持ちが持たないですよ」


「在斗、いいこと言う!」


 茶化すように声を上げたのは明日美。


 波江野さんと詩葉さんは、納得していない様子で、口を閉ざした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ