永倉新八 健康法は酒だ!
伊東甲子太郎が健康管理係を辞してから、数日。
近藤 土方 井上は 再び頭を抱えていた。
「なかなか難しい役目ですなぁ」
井上源三郎も腕を組む。
「いっそ、現場のことは 現場に、
それぞれの隊長にやらせるか」
「だが、一番隊長の沖田は寝込んでいるし……」
近藤が言葉を濁す。
「まずは、二番隊長の永倉だが…」
土方歳三は、嫌な予感しかしなかった。
◇
翌朝。
永倉新八は2番隊の 隊士たちを庭へ並ばせた。
「よし! 今日もいい天気だ! 俺らは お日様には負けんぞ!」
「おー!」
勢いよく答える隊士たち。
「俺ら、2番隊の 健康法だが」
「まず朝飯!」
「はい!」
「三杯食え!」
「三杯!?」
「足りねぇなら四杯!」
隊士たちは必死で飯をかき込む。
食欲がないものも容赦せず、
「米に水をかけ 梅干しと共に ながしこめ」
「次!、」
永倉は木刀を振り上げた。
「汗を流せ!」
「えぇっ!?」
「汗をかけば、悪いもんは全部出る!」
炎天下で素振り百本。
隊士たちは、たちまち汗だくになった。
ようやく終わったと思った、その時。
「よし、冷やすか!」
永倉は近くの用水へ向かって走り出した。
「俺につづけ!」
「おおおぉー!」
永倉は勢いよく水へ飛び込んだ。
「おお、涼しい!」
隊士たちも、おそるおそる続く。
ようやく身体が冷えたところで、永倉は満面の笑みを浮かべた。
そして、酒樽を指さす。
「締めだ!」
「酒ぇ!?」
「酒は百薬の長って言うだろ!」
「昼間からですか?」
「細けぇことは気にするな!」
永倉は豪快に笑った。
「今日、二番隊は午後は非番だしな。
俺らの健康を祈って、!」
「うおぉぉーーー!」
◇
夕方。
屯所の縁側。
二番隊の隊士たちは、そろって赤い顔をして寝転がっていた。
その横で、永倉新八も大の字になっている。
誰かが、ぽつりと呟いた。
「……頭が痛ぇ気がする…」
永倉が答える。
「それも、酒の効き目だ!」
「違うと思います……」
健康管理係、二人目の候補。
永倉新八。
隊士、多数。
二日酔いにつき――不適任。




