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どうも、木⋯⋯の妖精です。  作者: 夏巻き
蜂蜜片手に笑うは骸
109/112

知識を深め確定に至る。

牧場物語をやる呪いにかかっておりましたが、やり込んだ結果両手が解呪されたため投稿を再開いたします。(不定期更新は変わらずですが)

魔法関連の書物が詰め込まれた本棚を目の前に、右へ左へ上へ下へ。目線も体も動かし探し物。


「⋯召喚⋯⋯召喚⋯⋯あった」


現在カナディルにある国立図書館で、召喚魔法ないし召喚魔術とは何ぞやというのを理解するために収蔵された情報の集積物、すなわち本から知識を得ようとしているところである。

お土産選びに店を冷やかしていると偶然図書館を発見したので入館した。

ライトアップナブラ君の発光の正体が召喚によるものであると推測(すいそく)したものの憶測(おくそく)の域を出ていなかったため、ちょうど良いと思ったから。


あまり魔法や魔術を習得(修得)することもなく触る機会が少なかった前世のゲームプレイ。かもをそ(多少の憶測も)うに変える(推測へと確定させる)ためにこうして調べ物。


「おっもいなぁっ⋯⋯ちょっとっ、見てないでラートも持ってよっ」


「あ、うん⋯ごめん。でもこれ、本当に全部必要なの⋯?あの課題だったら僕が教えるよ⋯?」


「やる前から楽な方に逃げるのは嫌なの⋯⋯っと、ありがと。まず自分でやってみて、それで分かんないところがあったら教えて」


「う、うん」


念力で棚から該当(がいとう)の本を一冊取り出して宙に浮かしながらページをめくり、目次に目をやり知りたいところまでパラパラと進める。


「というかさ、わたしが言う前に持ってくれてもよかったんじゃない?女の子に重いもの持たせっぱなしとか男としてどうなの?」


「女の子⋯?いやそれより、男がどうとか女がどうとかってよくないと思うよ⋯?」


んー、発光云々(うんぬん)の記載はないなぁ。

一時的に組んだ野良のパーティーにいた召喚士が発動した際には光っていたので間違いないはずなんだけど⋯。

まあ、知ってる情報が正しいことが分かったので、憶測から推測へと変えることができたし、新情報も得られたので収穫上々気分も上々。


「ん?何か言った?本探してて聞こえなかった。もう一回言って」


「い、いやなんでもない」


召喚で呼び出せるのは、野生か既に契約を結んでいる心の通ったパートナーモンスターのみで、人間や魔物等は召喚できないようだ。

呼び出し時は、野生の場合森とか洞窟(どうくつ)とか色んな所にいるモンスターの内一体が選ばれ召喚。パートナーモンスターの場合も、呼び出し時にいた場所から召喚されると。


⋯て、米印()で送還したりして元の場所に戻したパートナーモンスターが殺されると契約が解除されますって書いてある。契約したら紋章(もんしょう)がつくみたいだけれど⋯⋯森とかにいたら野生かどうかなんて見分けつかないか。

これ、契約したらそのままずっと同行させる方が安全だよね。MP(魔力)消費するの召喚時だけで、召喚中は消費されないみたいだし。


リスクは何にでもつきまとうものだけど、それにしても送還するリスクが大きすぎる。かといって送還しなきゃいいと安易(あんい)に言えるものでもないんだけど。

体の大きいモンスターと契約したのなら、泊まれる宿も限られてくるし探すのも苦労する。()中で連れ歩けば道幅を取るので文句を言われるだろうし。体の小さいモンスターと契約したり、充分な広さがある自宅を持っていればその限りではないが。


つまりパートナーモンスターが危険にさらされることなく安全に暮らせ、長く生き、少しでも多く共に過ごしたいと思うのならば大きな家か広い庭を持っていた方がいいということになる。

家族、相棒、便利な攻撃役、身代わり。相手とどのような関係を築くか、接するかはプレイヤーの自由。他人がどんな扱いをしてようとわざわざ口を出すようなことはしないが、召喚士になるんだったらそこら辺をよく考えた上でなる方が双方にとって良いことである。と思う。


必須(ひっす)ではないけど、後悔(こうかい)のない行動をっと⋯⋯一人で何言ってるんですかね」


(つぶや)きながら本を閉じ棚に戻す。


「言いたいことははっきりちゃんと言うっ」


「⋯ごめん」


「だからいつも言ってるよね?すぐにごめんって言うの良くないよって」


ここ私語の禁止はされてないけど、調べ物中にずっと会話されるとさすがに気になってくる。

目の前にある本棚の向こう側から聞こえるのは、喧嘩(けんか)してるようなやり取り。気になりついでに魔が差し、本と本の隙間(すきま)から(のぞ)き見る。


そこに見えるのは、胸の前に本を5冊くらい積み重ねて持つピンク色(ローズゴールド)の髪を巻いて左右で結んだツインテールの少女(女性プレイヤー)と、黒いウェリントングラスをかけた気弱そうな少年(NPC)の2人。

どちらも制服を着ている。学園の制服だろうか。


「あ、うん、ごめ⋯あ⋯⋯。も、もう少し本持つよ」


「はぁ、もう3冊持ってくれてるじゃん。それだけ持ってくれたら充分だから」


「そう⋯」


「好きな子ができたらその子のは全部持ってあげなよ?その方が絶対かっこいいから。それでなんだったの?何か言いたいことあったんだよね?なに?」


「い、いやいいよ」


「なんでそこで引くのかなぁ。聞かないとこっちがモヤモヤすんの分かんない?」


「あ、ご、ごめん⋯いや、ち、違う」


「何に対して謝ってんの?いいから話す」


「⋯うん。あの⋯さ、さっきruana(ルアナ)ちゃん自分のこと女の子って言ってたけど、それ一桁(ひとけた)の歳の子までの呼び方じゃないかなって⋯。だ、だから、ruanaちゃんは女の子じゃなくて、女子とか別の呼び方になるんじゃないかな⋯?」


「⋯は?」


「あ⋯ぼ、僕がそう思ってるだけだから⋯⋯やっぱりなんでもない。気にしないで」


少年。君すごいな、そんな正面切って。

そういうのって本人の自由じゃない?歳で呼び方って変わるものなの?

確かに男性が自分のことを男の子って言ってるの聞いたことない。逆に女性が自分のことを女の子って言ってるのは何度か聞いたことがある。言われて気づく不思議。


「はぁ、女の子のこと何も分かってないね。あのね、わたしが自分のことを女の子って言うのは、自己肯定感を上げるためなんだよ」


「自己肯定感⋯?」


「わたし女性だからーとか、わたし女子だからーって言うより、わたし女の子だからーって言う方が可愛いじゃん」


「そういうもの⋯?」


「そういうもの。ラートが言った通り、女の子って言うと幼い子のことイメージする人が多いんだよ。ほら、幼い子って可愛いでしょ?それにあやかるとかじゃないけど、自分のこと女の子って言い続ければ自分が可愛いって思えてくるし、思ってる人なら(さら)に自己肯定感が上がる。だからわたしは自分のこと女の子って言うの。分かった?」


「う、うん。分かった」


「ま、わたしがそう思ってるだけだから、他の子も同じかは分かんないけどね。全女子の代表とかそんなんじゃないし」


なるほどと(うなず)き調べ物に戻る。

自己肯定感か。今や私も女性。わたし女の子だからーとかやった方がいいんだろうか⋯⋯⋯いや、やってる自分を想像するとなんとも言えない気持ちになる。やめておこう。


それから2時間ほどかけ調べ()くすとパタンと本を閉じて棚に戻し、羽をパタパタ出口へ向かう。

子供向けから大人向けまで幅広く読んだが、新情報となるものは他に見つからなかった。しかし得られた情報から推測へと変わり、発光が召喚によるものだという確信が持てたので、よかったよかったで終われる。

新しい情報が得られなかった後半の時間だって無駄ではない。これ以上ここで得られるものはないということを教えてくれたのだから。


「入館料はお一人100マニーです。本の内容を紙等に写したりカメラで撮影したりする場合は別途料金がかかりますので、スタッフまでお声がけください。一冊50マニーです」


「ふむ。では200マニーを」


「⋯⋯ちょうどですね。こちらにも記載していますが、本の持ち出しは禁止です。記録用の魔道具(カメラ)を設置しております。ご留意ください」


「うむ」「は、はいっ」


「私語は構いませんが、他のお客様の迷惑になるような大きな声での会話はお(ひか)えください。注意点は以上です。では、中へどうぞ。良き本に出会えますように」


「どうもありがとう」「ありがとうございます」


受付近くまで来ると、獣人族と人間族という組み合わせの男女(NPC)とすれ違う。

狐の獣人か。中折れの耳なんて珍しい。創作物に出てくる兎の耳みたいだ。

というか隣の男性かっこよすぎない?サラサラの金髪にモデルばりの体躯(たいく)、美形(ぞろ)いのプレイヤー達にも負けない美しさ。絵本に出てくる王子様かよ。

なんて思いながら目線を外す。


「サミューさんがここで何を調べるのかめっちゃ気になるぅぅ⋯⋯けど、詮索(せんさく)しません。あたしもう大人だから」


「ははは、そうか。聞いてくれて一向に構わないんだがね。成長は喜ぶべき事柄だが、いつも聞かれていたのに突然聞かれなくなるというのは少し寂しさも感じる」


「え⋯⋯そ、そうなんだ⋯。じゃ、じゃあ聞いてもいいですか⋯?」


「ふふっ、もちろんだとも。調べるのは獣人族についてだよ。自国()にない情報が載った本(もの)が他国にはあるかもしれないからね」


「城?」


「おっと、違う違う。実家の本棚の話さ。本の城なんて言うだろう?」


「そうなんですね。言ったことないので分かんないです」


「そうか。私の家だけなのだろうか⋯」


二人の話し方がまるで違い、王族と庶民が向き合って歓談している様子がアニメ調で頭に浮かんだ。振り返って遠ざかっていく彼の後ろ姿を見つめる。

ほとんどのゲームにおいて王様やお姫様等の王族というのは、物語(ストーリー)に必ず1回は出てくる重要キャラと言っても良い存在。

このゲームもそうかは知らないけど⋯


「⋯まさかね」


王族が護衛も付けずにこんな所に来るわけないか。

頭を振って王族と庶民の歓談の情景を消し、図書館を出た。

〘ファルルの歩みと現状〙

ペット、奴隷、家畜、(メス)()、獣として調教され4年経過。サミュルという金髪の青年にその最悪な環境から救い出され3年経過。

ゲーム世界に転生して7年の歳月が流れ、現在の年齢15歳。

彼、(いな)彼女は、長い間ファルルとして狐獣人の少女として調教された結果、自分はこの世界に()まれ生きてきて不幸な目にあったファルルという狐の獣人族なのだと記憶や認識等が()じ曲げられ改ざんされ、新谷(にいや)翔大(しょうた)としての記憶や思い出等は心の奥深くにしまわれ思い出せない、または消滅してしまった状態になりました。

自分はファルルだと思っているし、狐の獣人族だと思っているし、生まれた時から女だと思っている。

新谷(にいや)翔大(しょうた)という元の名前の何かしらの文字を見たり言葉を聞いたりすると、なんでかは分からないけど懐かしい気持ちになる。似た言葉や文字でも同じ。

仮に記憶等を思い出したとしても元の体に戻るとかはないので、死ぬまでファルルとして生きていくしかありません。


記憶喪失の他にも、調教の過程で中程から前に折れ曲がった右耳はそのまま放置され、折れ曲がった状態で完治してしまっている(所謂(いわゆる)垂れ耳固定)。

逆らえない命令で強要された無理矢理な行為が何度か行われたが、幸いにも腹に子を宿すことはなかった。ただその時の相手(エルフ族の少年)は、躾に耐えられず精神崩壊の末に死亡している。


サミュルに助け出された後に治療を受けたが、右耳だけは完治判定されており治すことができなかった模様。

その他は無事に完治。爪は綺麗に修復されたし、鞭の(あと)も消えた。体のあちこちから傷という傷が消えました(サミュルが頑張りました)。

精神状態も良くなく、近づくだけで震え(おび)える状態だったが、献身的に尽くし親身に寄り添いながら治療することで徐々に言葉も話せるようになり、2年程でほぼほぼ完治。現在はサミュル以外の者とも普通に会話できるまでに回復。

大きな声は苦手。貴族には嫌悪感を示す。

自分が狐獣人のファルルだということしか覚えていないため、記憶を取り戻すべくサミュルの旅に同行し家族(両親)探しをしている。



〘図書館〙

国立や私立、学園が運営しているもの、個人が運営しているもの等があり、図書館によって置かれている本の種類は様々。特定分野の本ばかりを置いている図書館もある。魔法書や魔術書だけを置いた図書館はまだない(それなりに高価なのと盗まれると痛手なので)。

規模でいえば国立図書館が一番大きく本の種類が豊富。

基本的に入館にはお金がかかるが、無料の所もそれなりにある。

知見を広げるのにもってこいの施設。


〘魔法︰召喚〙

召喚士専用職業魔法。

魔法を使って、野生のモンスターや契約を結んだ心の通ったパートナーモンスターを召喚する。

呪文を詠唱(えいしょう)し召喚を行うが、決まった定型呪文はない。召喚したいという意思が魔法を発動させるため、「あ」という一文字で発動させてしまう召喚者もいる(無詠唱での召喚は不可能なので、なにかは言わなければならない)。

召喚する者の魔力量によって、何が召喚されるのかが分かれる。

野生のモンスターを召喚する時は、基本ランダムでモンスターが現れる。2度続けて同じ場合もあり。

契約や送還の魔法は別途覚えるべし。

召喚する対象によって消費魔力が変わるが、召喚者の最大MP(魔力)を超えて消費されることはないため、魔力酔いなどという状態異常(軽いめまいや意識が飛んだり酒に酔ったように気持ち悪くなったり)にはならない。


〘魔術︰召喚〙

召喚士専用職業魔術。

魔術を使って、野生のモンスターや契約を結んだ心の通ったパートナーモンスターを召喚する。

地面や物などに魔法陣を描き召喚するため、(あらかじ)め描いておいて戦闘時にはMP(魔力)を流しぱっと素早く戦闘準備完了なんてことができる。

召喚する者の魔力量によって、何が召喚されるのかが分かれる。

野生のモンスターを召喚する時は、基本ランダムでモンスターが現れる。2度続けて同じ場合もあり。

契約や送還の魔術は別途覚えるべし。

召喚する対象によって消費魔力が変わるが、召喚者の最大MP(魔力)を超えて消費されることはないため、魔力酔いなどという状態異常(軽いめまいや意識が飛んだり酒に酔ったように気持ち悪くなったり)にはならない。



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《お知らせ》

【随時更新・ネタバレあり】登場キャラクターに、新たに1名追加。新規キャラの紹介文を載せました。

また、1名紹介文に追記しました。

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