遅参!称号獲得ウィンドウッ!⋯⋯バツ印21連打。
皆様、夏休みは満喫できましたか?明けて1日?3日?1週間?または満喫中でしょうか?
私は予定みっちりな休みを謳歌しながらも、執筆の時間をなかなか取れず、楽しさと楽しさを両立できない現実に悶々としておりました。
それはさておきかなり遅くなりましたが、第105話更新でございます。お楽しみいただければ幸いです。
「持ち帰りできたら尚良しだったな」
満足したとお腹をさすりながら、〈熊八亭〉を後にする。
結局イベントクエストの発生条件は分からなかった。店員さんと会話して出るものじゃなくて、店内にある特定のアイテムを入手することで発生するものだったのかもしれない。
しょうがない、忘れるということはそれほどクリアしたいものでもなかったということなのだろう。と思うことにした。
大事なことならそのうち思い出すだろうし、それはその時の自分が考えれば良いこと。現時点においては特に重要な事柄ではないため、これ以上の考察は不要と判断し一旦の中断とした。
その前にの話で、前にも少し思った事なんですけど、そもそもNPCがNPCにクエストを発行できるのか分かってないんですよね。
先の通り、クエスト発生するかなとセルンさんや他の店員さんと少し会話してみてのこの現状。これが私がNPCだからクエストが出ないのか、親密度が足りないからクエストが出ないのか、知りようがないというか確かめようがないんです。
たけまるさん達に協力してもらえればすぐに判明するんでしょうけど、別に急いで知りたいことでもないし、いつか知れればいい程度のもの。気になっていてもそのくらいの気持ちしかない。
とはいえクエスト発生以前の前提として、この〈Mystery Of Life〉というゲームはリアルを目指し追求し作られたものなわけで、最近どうですか?変わったことありました?なんていう世間話で簡単にチリンとクエストが出てくるような優しい設定がされているわけもなく、基本的にある程度交流がないと相手から相談されないなんてことはざら。
考えなくても分かることですが、初めましての人に困り事を相談できますかって話です。
命に関わるとか切羽詰まった状況だったら初対面でも縋ることはあるかもしれないけど、突然近寄ってきて話しかけてくる知らない人を優しい人だなぁ親切な人だなぁなんて思って相談できる人間はそれほど多くはない。他人との直接的な関わりが減った現代だからこそ起こることで、それを反映させたこの世界でも起こり得ること。
まあ私、NPC生初心者なもんで(当たり前)今後も知らないことが増えていくんだろうけども、自分や仲間の命が脅かされるもの、スローライフの妨げになるもの、これらに関係ありそうなもの以外の新情報は一律重要(調べる価値はあるもの)として、最重要(最優先でなるべく早く調べるもの)にはしないことと決めています。
分からないことを分からないまま放置するのはモヤモヤして嫌なので今すぐ調べます!とかいうタイプでもないので、タイミングが合えば調べるくらいがちょうど良いのです。たまたま知る機会が訪れてラッキーみたいなのが理想で、たまたま用事があって行った先でついでに寄り道調べ物が現実的。
どちらでもいいし、どちらかがいい。知識欲が有り余った情報収集型の人間ではない私は、生き急ぐようなセカセカした生き方は好まない。これでもファストライフじゃなくて、スローライフ目指してるんでね。
⋯⋯あ。ちなみに昼食はロコモコ丼を食べました。
メニュー表には南国料理以外も色々と載っていたけれど、店内の南国風レイアウトを見ていたらそれらしいものを食べたくなったのでロコモコ丼を注文。見た目もさることながら味も大変素晴らしく、お店の雰囲気にとてもマッチした逸品でした。
濃い赤茶色の濃厚なソースと割った瞬間に溢れ出る肉汁は見た目と匂いで食欲を掻き立て、若干硬めで肉厚なハンバーグは自然と噛む回数が増え口内にうま味を行き渡らせる。肉を食べているという実感と充実さ、満足たり得る肉塊である。
それに重なった目玉焼きは半熟。黄身を割り一緒に食べればまろやかさがプラスされ、ご飯と合う濃い味付けは変化しこれまた箸が止まらぬ美味しさに。
もちろんメインを彩る野菜達も忘れてはいけない。添えられたトマトは口の中をさっぱりとさせてくれるし、レタスはパリパリという音色を奏で異なる食感を感じさせてくれる。
これにより、それなりのボリュームがあるロコモコ丼もペロリ。最後まで飽くことなく美味しくいただける。
美味しかったからナブラ君へのお土産にしようかと思ったのだが、持ち帰りはやってないらしく断念。別のものをお土産にすることに決めた。
「んー⋯⋯食材と調理道具買って自分で作るのもありか」
ハンバーグを作るのだけが手間だけど、あとは野菜と目玉焼きだけだし。⋯⋯だけじゃない気もしてきたけど、作りたい欲が湧いてきたから帰りにお店に寄ろう。
「さて、この後どうしましょう⋯」
来た目的も忘れてしまいましたしこのまま帰宅してもいいのですが、まだお昼。日は高い。
今生では初めてとなるカナディルの街。〈熊八亭〉を探すだけ、宿屋で食事をするだけというのはちょっと寂しすぎる。
ナブラ君へのお土産選びもあるし⋯⋯うん、せっかくここまで来たのだから、色々と見て回るのも悪くはないな。
「よしっ、そうと決まれば」
ざっくりどこになんのお店があるのか復習も兼ねて再度地図を確認しよう。と、魔法の鞄から取り出そうとすると、聞き馴染みのある音が耳に入ってきた。
【〈称号:ようこそマラトスへ!〉を獲得しました。】
【〈称号:初めてのお買い物〉を獲得しました。】
【〈称号:初めての魔法習得〉を獲得しました。】
【〈称号:初めてのモンスター討伐〉を獲得しました。】
【〈称号:れべるあっぷ〉を獲得しました。】
【〈称号:初めてのギルド加入〉を獲得しました。】
【〈称号:なりたて魔法使いの歩み〉を獲得しました。】
【〈称号:ようこそネモルへ!〉を獲得しました。】
【〈称号:初めてのクエスト作成〉を獲得しました。】
【〈称号:初めての換金〉を獲得しました。】
【〈称号:初めてのフレンド〉を獲得しました。】
「なんだっ?!⋯⋯って、称号ですか」
チリンチリンチリンチリンと音が鳴り続け、称号を獲得したというお知らせのウィンドウが次々に目の前に現れる。
【〈称号:天賦の無才〉を獲得しました。】
【〈称号:天賦の水才〉を獲得しました。】
【〈称号:初めてのクッキング〉を獲得しました。】
【〈称号:なりたて料理人の歩み〉を獲得しました。】
【〈称号:ドキドキワクワクなメッセージ交換〉を獲得しました。】
【〈称号:初めての釣り〉を獲得しました。】
【〈称号:剥ぎ取り剥ぎ取りぃぃ!〉を獲得しました。】
【〈称号:初めてのパーティー結成〉を獲得しました。】
【〈称号:宿屋で一休み〉を獲得しました。】
【〈称号:リスポーン記念日〉を獲得しました。】
「⋯⋯これで終わり、か。結構溜まってたんですねぇ」
音が鳴らなくなったのは、いくつ目のウィンドウが出てからか。一気に称号が手に入った。
条件満たしてるはずなのに中々来ないなーなんて思ってましたが、まさかまとめて一度に来るなんて。
このゲーム、称号獲得の通知タイミングバラバラなんですよね。鑑定かけた時のウィンドウとかはすぐに出るのに、称号だけ遅い。いつ貰えるのか本当に分からない。
前世通りならプレイヤーは増える一方なはずで、それ故にAIの手が足りず、ウィンドウを出す優先順位の問題で遅くても問題ないものは後回しになっているとかいう想像ができなくもないというか、多分それだろうという予想が立てられる。もはや仕様と言っていいレベル。
第1エリアのエリアボス、重魔亀ヴォチリカを倒した時には関係する称号がすぐに貰えたが⋯⋯それはそれというやつなのかもしれないな。
結果的には条件さえ満たしていれば確実に獲得できるわけなので、私的には早くても遅くても問題はないけれど、特定のプレイヤーにとっては深刻な問題、イライラ案件となることであろう。何せ称号欄にセットすることでステータスUP等の効果が発動する、恩恵を受けられるものもあるのだから。
何はともあれ、無事に称号を獲得できて何より。〈初めてのクエスト作成〉なる初見の称号もあるので、後で確認しておこう。
装備はつけた分だけステータス画面の欄が増えていくけれど、称号はなぜか一つだけしかセットできないようになっている。だから称号欄に何をセットしようか迷うし、妖精の森でじっくり考えたい。
左上にあるバツ印を押してウィンドウを消していく。
今セットしている〈残忍で残酷な勝利〉は戦闘時にはいいが、普段は効果を発揮させる場面がない。というか発揮させたくない。
町中で戦闘する可能性があるなら必要だろうけど、そんな機会なかなかあるものじゃない。村や町や街には必ず城壁や高い塀があるからモンスターや魔物は入ってこられないし、仮に空から来たとしても兵士やNPC探索者、暇なプレイヤー達がすぐに討伐してしまう。
私が人に向けて攻撃することは余程のことがない限りないし、できればしたくないので、普段使い用でセットしておくものを別に選んでおいた方が良い。
「19、20、21⋯⋯あー、20超えてるのかぁ⋯」
確認するの大変そうだなぁ⋯っと、未来の自分に少しの同情を抱きながら最後のウィンドウを消す。そして今度こそお店を確認するために魔法の鞄から地図を取り出し広げようとすると、後方から聞こえる足音と声が段々と近づいてきていることに気がついた。
いつもの通り、地図を広げても邪魔にならないよう道の端にいるけれど、他の人が絶対に通行しないかというとそうでもない。
ここを歩く人が少ないというだけで、待ち合わせか店の壁に寄りかかっている人がいれば、店の屋根が影を作り涼しいからと休憩する人もいるし、肌を焼きたくないと好んで歩く人もいる。
「あの子じゃない?」
「ちょっと待ってね⋯⋯んー⋯うん、合ってる。あの子だ」
距離があったが為に不明瞭だった会話が、今ははっきりと聞こえる。内容からするに探し人が見つかったものと思われた。
こういう場合、元からいる方ではなく向かってくる方が避けるのが一般的だと思うが、常識は人によって異なることが多い。
常識なんて知らない誰かが勝手に決めた枠なわけで、従う理由もなければ作り出す自由もある。まあ、理由があるから常識なんてものができているわけだけども。
ズンズンと向かってくる足音の持ち主はどんな常識を持っているのか分からない。そのまま体当たりされて、そっちが避けろや!なんて絡まれても面倒なので、場所を移動することに。
「ねぇ、ちょっといい?」
私には関係ない。そう思って移動を開始しようとしたのだが、真後ろから聞こえる声はこちらを指定して話しかけてきているような気がしてならなかった。
「⋯?」
もしかしたらがあるのかもしれないと、違っていたら恥ずかしいので声は出さずに後ろを確認。振り返った目が捉えたのは、2人の女性プレイヤーがこちらを見ながら歩いてくる姿だった。しかも目が合うと笑って片手を振るというおまけ付き。
間違いない。私に話しかけている。
「ごめんねー?あたし達も写真撮らせてもらっていいかな?」
彼女達が手に持つデジタル端末のレンズが陽の光を受けてキラリと光る。
「⋯⋯はい?」
目をぱちくり。言っている意味が分からなかった。
あたし達もとはなんだろうか。今生において私は一度も写真を撮ったことはないし、撮ってもらったことも撮らせたこともない。
そもそもあまり写真を撮られるのが好きではないため、仮に頼まれたとしても断る。これが友達からのお願いであれば一考の余地はあるし、一枚くらいならと妥協することはできるけども。
「すみませんがあまり写真を撮られるのが好きではないので、ご遠慮いただけますか」
「えっ、拒否されるとかあんの?!」
「そりゃNPCにだって選ぶ権利あるでしょうよ」
その通りです銀髪ポニーテールの、ハナぴぴさん。NPCだって生きてるんです。
制作者にしてみれば、制作に携わった者とAIを頂点とした、VRMMORPGという形をとったただのデータの塊に過ぎないんでしょうけど、NPCにとってこの世界は、あなた達が暮らす現実の世界となんら変わらない本物の世界なんです。
NPCに転生してすごく実感しています。
「だってだって、他の人には撮らせてたんだよ?それなのに撮られるの好きじゃないなんて⋯⋯あ、そっか。好感度が足りないのか」
「多分そうだろうね」
違います。好感度は関係ありません。
「ぬぅ⋯⋯あ、何か困ってることあったら手伝うよ?何かある?」
この後の予定は、お土産探しで街をぶらぶらするだけである。なので強いて何か困り事を挙げるとするならば、どんなものが売っていて何が流行っているのかを聞くくらい。
でもそれは自分で見つける楽しみを手放すことと同じなわけで⋯
「特にないですね」
「取り付く島もないって感じか。しょうがないよ諦めよ?」
というか、他の人には撮らせてたってなんですかね。
それ無許可の撮影じゃないです?それか、誰かと間違えてませんか?
「んー⋯⋯はぁ⋯残念。また来るから、その時までに困り事用意しといてね!」
「は、はあ⋯」
事前に困り事を用意するってなに⋯?なんて思いながら返事。
灰色ロングヘアの、みゃんちーさん。解決できたらいいよねくらいの無理やり捻り出したどうでもいいやつになりそうですけど、それでもいいですか?
「それ無茶振り。ごめんね」
「あ、いえ⋯。ところで「それじゃまたね!ばいばい!」先程の」
「またねー」
「あ⋯⋯行っちゃった」
写真のことについて聞きたかったのだけれど、声が重なって耳に入らなかったのか、質問する前に去っていってしまった。
「テンション高かったな⋯」
始終ハイテンション気味で賑やか。正しく陽キャといった感じだった。
ま、聞けなかったことはフレンドに聞けばいいか。
実はサキドリ緑さんから、集合場所と時間が書かれたメッセージが返ってきていた。あの大量にきた称号のチリンという音に紛れてか、いつの間にか届いていたのである。
プレイヤーなら掲示板も見れるし何か知ってるかもと了承の返事と質問を書いて返信。
面倒臭いことになってないといいなと三度目の正直、地図を広げるのだった。
〘ヴェステルが本来獲得しているはずの称号③〙
〘称号︰天賦の無才〙
無属性の魔法や魔術に適性があると与えられる称号。魔法等を習得する際に、きちんと発動し習得可能なものであることが判明した時点で獲得できるもの。
無属性は、火や水等の特定の属性を持たず、どの属性にも属さない分類不能なものが集まった属性。
習得可能な魔法・魔術の中には、念力や重力操作等がある。
適性者は妖精族と精霊族が多く、獣人族とドワーフ族と龍人族と魔族と巨人族が少ない。
〘称号︰天賦の水才〙
水属性の魔法や魔術に適性があると与えられる称号。魔法等を習得する際に、きちんと発動し習得可能なものであることが判明した時点で獲得できるもの。
水属性は、水を根幹としそれに関する全てのものが分類され集まった属性。
習得可能な魔法・魔術の中には、ミストウォーターや泡状水等がある。
適性者は人間族と獣人族とエルフ族が多く、ハーフエルフ族とドワーフ族が少ない。
〘称号︰初めてのクッキング〙
初めて料理を作った者に与えられる称号。
食材が生焼けでも焦げていても、心がこもっていれば食べられる⋯はず?
初めてに失敗はつきものだが、美味しく作れた者も慢心してはいけない。より美味しい料理を作れるように精進されたし。
〘称号︰なりたて料理人の歩み〙
料理ギルドに加入し、初めて料理人となった者に与えられる称号。
なりたてで見習いのヒヨコもひよこ。
よちよち歩きで進め!偉大な料理人になるために!
この称号をセットしていると、DEXが10上昇する。
〘称号︰ドキドキワクワクなメッセージ交換〙
初めてフレンドとメッセージのやり取りをした者に与えられる称号。
何を書こうかな、どんな返事がくるかな。フレンドとのメッセージのやり取りは、ドキドキとワクワクでいっぱい。
たくさん送って送られて書話の花を咲かせましょう。
〘称号︰初めての釣り〙
初めて釣りをした者に与えられる称号。
海等に糸を垂らし一度釣りを経験すると獲得できるもの。
ビギナーズラックで一匹目?それともバレてノービギナーズラック?
たくさん経験を積んで釣果を上げよう!
〘称号︰剥ぎ取り剥ぎ取りぃぃ!〙
初めて剥ぎ取りをした者に与えられる称号。
剥ぎ取りの対象はモンスター?魔物?動物?まさかの人?
剥ぎ取りは生きた状態?死んだ状態?それとも死にかけの状態?
どんな表情で?何を思いながら?何の獲物で?どのように?
その行為は選択の組み合わせを間違えるだけでサイコパス認定、犯罪認定される極めて危ないもの。
よく考えて慎重に剥ぎ取りを実行しましょう。
〘称号︰初めてのパーティー結成〙
初めてパーティーを結成した者に与えられる称号。
メンバー構成はパーティーによって様々。お互いの個性を認め、尊重し、協力し合いながら事に当たるべし。
自分に出来る事と自分には出来ない事。それをパーティーを組む前にきちんと確認し把握しておこう。知っているのと知らないのとでは取れる手が変わってきます。
〘称号︰宿屋で一休み〙
宿屋で1時間以上休息をとった者に与えられる称号。
ゆっくり休んで英気を養うべし。
疲れたままでは集中して事に当たるのも難しいぞ?
〘称号︰リスポーン記念日〙
初めて死んでリスポーンした者に与えられる称号。
ああ、死んでしまうとはなんということか。ここであなたの物語は終わり⋯⋯にはなりません。
種族特性で復活できましたよ。良かったですね。
でも生き返れるからと危険度外視の冒険をしてはいけませんよ?命は大事にしましょうね。
〘職業︰見習い料理人〙
一次職。料理ギルドに加入すると就くことができる職業。
料理のレア度システムが解放され、作った料理のレア度が星1以上になるようになる。ただし、酷すぎるものは例外なく星0となる。
この効果は職業欄にセットしていなくても永久的に続く。
職業にセットしていると、DEXとLUKへ僅かなステータス補正がかかります。
就職条件:①ギルド内にあるレシピ売り場で、5枚以上レシピを購入すること。②一品料理を作り、ギルドスタッフに自分が作ったことを証明すること。③料理ギルドに入ること。




