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第三王子が決意してから10年。
第三王子はとにかくひたすら、当初の決意を胸に秘め邁進した。
そして、その甲斐あってまわりからは「気まぐれ王子」と呼ばれるまでになっていた。
「第三王子も優秀なお方だが、兄君達と比べるといまひとつだな」
「比べる方が可哀想だろう、あの第一王子と第二王子だぞ」
そんな言葉を聞くたびに、第三王子は自分の選択が間違っていなかったと誇らしく思っていた。
誤算があったとすれば、当の第一王子と第二王子がそれをよく思わなかったことだけだった。
「なんて無礼な」
「末弟は俺たちに負けず劣らず優秀だというのに」
憤慨する兄達を見て、第三王子は薄い笑みを浮かべ、宥める。
「実際、僕は兄上達にはかなわないよ」
そんなことはない、と兄達は言葉を返す。
それは混じり気のない本音であり、第三王子はそれを嬉しく思う。
これでいいのだ、このままがいいのだ。
第三王子は多くを望みたくはない。
ただ、穏やかに緩やかに呼吸をしていたかった。




