1/3
1
夜明けの国、と呼ばれる国があった。
その国には、素晴らしい王と美しい王妃、そして三人の王子がいた。
第一王子は賢く、第二王子は武勇に優れ、そして第三王子は何故だか気まぐれであった。
これは、その第三王子の物語である。
第三王子は、他の王子に比べ出来が悪かったわけではない。
ただ、弁えていた。
長兄である第一王子は次期国王、そして次兄の第二王子はそのスペア。
では、自分は何なのだろう?
第一王子も第二王子も、健康に問題はない。
性格にも難はない。
昨今、他の国で聞くような物語チックな「若い村娘にいれあげて、婚約者と婚約破棄」や「聖女と名乗る女に血税から多大な支援をする」といったこともない。
ならば、自分が王位を継ぐなんてことはおそらく起こり得ない。
ならば、どうすべきか。
答えは簡単だった。
邪魔にならぬようにすること。
そして、兄達を超えようとしないこと。
文句をつけられない程度に、勉学も鍛錬も調整して、突出しないようにすればいい。
そして、性格は統治者に向かぬ、気まぐれを装えばいい。
そうすれば、兄達を差し置いて自分を王位につけようなどと企むものもそう出まい。
そう結論づけたのは、第三王子がわずか7つの頃であった。
そして、第三王子は日々、その目標に邁進することになる。




