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そんな第三王子の元に、縁談が舞い込んだ。
伯爵家の一人娘だった。
いずれ王家から出なければならないので、伯爵家の娘の婿になり、伯爵家を継ぐことになるのは正直ありがたかった。
いつかこうなるものだと思っていたから、第三王子は特になにも思わなかった。
ただ、兄達と違って王位を継ぐ心配もなく、兄達を超えない程度に努力し、将来は兄達を支えるだけの自分のパートナーとなる娘を大事にはしようと決めていた。
相手とその一族の機嫌を損ねないように、でも過ぎたる夢を見せないように。
実際、第三王子はうまくやっていた。
けれど、ある日、婚約者の娘は言った。
「貴方の言葉に嘘はない。けれど、真実も宿っていない」
その通りだと、第三王子は思った。
「じゃあ、どうしてほしい?」
自分にはこの生き方しかできないし、知らない。
「私は、貴方に夢を見せたい」
「貴方が本当に望むものを知りたい」
娘の言葉に、第三王子は唖然とした。
そして、理解した。
この娘は、巷で流行りの恋愛小説のように、自分と愛し合おうとしている。
自分の本質をとらえようとしている。
それは、悪いことではない。
けれど、自分には必要のないもの。
本心なんて、とうの昔に何処かへ置いてきてしまったのだから。




