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LASTMAN~この荒廃した世界で、交配したい~  作者: 須藤 蓮司


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魔改造!!劇的ビフォーアフター

「…じゃあ、このカードを持ってるだけで強くなるんですか?」


「簡単に言えばそういう事だな。」


 チョウチョが片手に数枚のカードを広げて、内容を確認している。

 鍋をつつきながら、今日の出来事をチョウチョやベータに話していた所だ。


「…で、この『神様』って人は何なんですか?あと、ちょいちょい知らない単語が出てきて意味不明なのですが…『ラーメン◯郎』とか『海◯語』とか。」


 …何気に漢字まで読めるとか、チョウチョは凄いな。


 まぁ…そりゃあそうだよなぁ、分からなくて当然だろう。

 どれもこの世界にはもう無い物だもんね。


 それを説明するには、まず俺が何者なのかを打ち明ける必要がある。

 …カードの事を説明しようと考えた時点で、もうチョウチョに全てを話す決意はしてはいたんだけど。


「…チョウチョさんや、わりと真剣な話なんだけど、聞く覚悟はあるかね?」


「うぇ?…その真剣なのかふざけているのか判断しがたい口調をやめてくれれば、聞きますけど。」


 そうか、聞くか。

 …なら話そうじゃないか。


 コーヒーもどきを一口飲んだ俺は、自分にあった事を話し始める。


 元々居た世界の事。


 事故にあって死に、神様と名乗る男に出会った事。


 その際にクレヤボヤンスのPSIを貰った事。


 …そして、現在のこの世界に転移してきた事。



 チョウチョは俺の話を、終始無言で聞いていた。

 ベータに話した時とはまた違った反応だな。


「…それで早速貰ったクレヤボヤンスを試してみたら、気を失ったヤスデじいちゃんを見つけたってワケだ。…信じられんと思うが。」


「…。」


「…チョウチョ?…チョウチョさん?」


「…なるほど。」


 そう言うとベータに向き直るチョウチョ。


「…一応、確認させて下さい。ベータちゃん、ノブさんの今の話は事実ですか?」


「…私もサイゴーさまからお話をしていただいたクチですが、時折サイゴーさまが口にされる知識や一般常識などは、今から200年前の平均的な一般人のもつソレと、おおよそ一致いたします。…何より、私は主人であるサイゴーさまを信じておりますので。」


「…うん、そうですよね。」


 チョウチョが俺を見る。

 …表情に、迷いの色は無い。


「…じゃあ私も信じます。」


「…自分で話しておいてなんだが、そんな簡単に信じられる二人が疑問なんだが。」


「話の筋は通ってますし、色々疑問に思ってた事の一応の答えにもなってましたし。…何より、ノブさんって本当に真剣な話をする時って、ふざけて誤魔化す癖がありますからね。」


 …そうなのか俺?

 自分では気にした事も無かったんだが。


「…まぁ、信じてくれるんなら、別に良いか。…というワケでチョウチョ、この前やったカードをくれ。」


「…やっぱ結局返すんじゃないですか…。」


「いや、代わりにコレをやるよ。」


 そう言って、何枚かのカードをチョウチョに手渡した。


「これは…。」


「『知力』と『運』のカードだ。俺が持ってるより役に立つだろ?それに戦闘なんかは出来るだけ俺が前に出るようにするから、普段は『自然治癒(小)』は俺が持ってた方がいいだろ?」


「それは…『お前は俺が守ってやるZE☆』みたいな意味で受け取ってよろしいのでしょうか?」


「違ぇよ!!酷い脳内変換だなお前っ…。」


 …そんなわけで、俺の秘密は無事に伝え終わった。

 …これで、心の奥にあった小さな後ろめたさが消えた気がする。



「…ノブさんのPSI、クレヤボヤンスの能力は、千里眼と透視でよろしいんでしたっけ?」


「え?そうだけど…。」


「…なるほど。つまりノブさんは涼しい顔をして能力を悪用し、私の裸体を盗み見ていたワケですね…。」


「…見てないよ?」


「えっ!?逆に何故っ!?」


「…。」


 …この前の夜の事は、覚えてらっしゃらないんですよね?


 …ねっ?


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 そして更に二日後。


 チョウチョに言われてアシュラ姉妹を呼びに行き、装甲バスまで戻ってみると…。


「…おぉぉぉ!?すげぇ!何だこりゃあ!?」


「サイゴー…お前等は一体どんな化物と戦うつもりなんだ…?」


 俺達の目に飛び込んできたのは、見慣れた装甲バス。

 …では無かった。


 金網と鉄柵で覆われた窓は、車両後部にあった物は分厚い鉄板で塞がれていた。

 屋根の上には何やらゴテゴテと取り付けられ、辛うじて観光バスの面影を残していた車体側面は砂漠迷彩みたいな色に塗り替えられている。

 …そして、ドアの付近で最後の仕上げとばかりに、睨み上げるような巨大な目を描き込んでいる二人を見つけた。

 …迷彩なのにこのペイントって、目立ちたいのか目立ちたく無いのかドッチなんだ…。


「…あ、ノブさん!なんとかギリギリ間に合いましたね、ベータちゃん!」


「作業工程に4分程遅れがでていましたが、滑り込みセーフといった所でしょうか。」


 満足気な表情で手を取り合う二人。

 …お前等、後でちゃんと顔洗えよ。

 ペンキだらけじゃねーか。


「こりゃまたハデに弄ったなぁ…ずっとブルーシートで隠してあったけど、まさかこんな風になっているとは…。」


「折角ですから大々的にお披露目をしたかったんですよ。私とベータちゃんの汗と涙の結晶ですから!」


 追加装甲や新装備っぽいのはともかく、このペイントは完全に悪ノリだと思うのだが。


「…あの上に付いてるの、見覚えがある…。」


 ラクシュミが指差した物を良く見れば、それは俺にも覚えの有る物だった。


「…あれって…収集車のアームじゃねえか…。」


「バスの中から動かせるんですよ!重い荷物も楽々積めます!」


 一見パンタグラフのように折り畳まれたアームは、真っ赤に再塗装されていた。

 …だからっ…!迷彩の意味っ…!!


「他にも色々と新装備はあるのですが、その説明は追々。…とりあえず、『ゴリアテ』ちゃんの完成披露パーティーを開催したいと思います!!」


 うわぁ…遂に装甲バスにも名前が付いちゃったよ…。

 でも…何だろう…。

 前のハリボテ感というか、継ぎ接ぎ感のあった見た目はあまり好みでは無かったんだけど…。

 …悔しいが、ちょっとカッコいいと思ってしまった。

 反骨精神剥き出しの目のペイントも、航空機なんかのノーズアートっぽくて良い感じだし。


 その後、ベータが次々と作って運んでくる料理を食べ、チョウチョが熱っぽく語る新兵器の説明は、酒が進むにつれて有耶無耶になっていき…。


 チョウチョも、ベータも、アシュラやあのラクシュミも声を出して笑い。


 …なんか楽しい夜だったのは覚えている。

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