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ひとりご飯日和〜小さなおいしさ、徒然〜  作者: 地野千塩


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第5話 緑と白の豆ご飯

 最近、疲れるなぁと思ったら、もっと疲れるイベント発生!


「飯田さん、お昼一緒にどう?」


 会社のお局に誘われてしまった。基本的にうちの会社の昼はフリーダムだ。そんな誰かと一緒に食べる習慣はなく、デスクや休憩室で各々食べる。社員食堂はない。それなのに、なんということ。


 断れるわけがない。愛想笑いをしつつ、お局と共に休憩室へ向かう。


「飯田さんはコンビニのサラダとおにぎり? やだぁ、具合悪くなっちゃう。私なら無理」


 人が食べている時に平然とそんな発言をするお局。仕事中でもないのに疲労感マックス。


 一方、お局はご機嫌でお弁当を広げていた。綺麗な手作り弁当だった。豆ご飯、コロッケ、プトトマト。彩りがいい。特に緑と白の豆ご飯を見てしまう。


 お局が作ったとは思えない。お局、常に九時ギリギリに出社しているし。そんな家庭的な一面があると思えない。


「この弁当は母が作ったのよ」

「そうですか。美味しそうですね」


 内心、ちょっと引く。四十すぎのお局、実家暮らしというのもなんだかなぁと思う。実際、ネットでも子ども部屋おばさんとか言われてるし。あぁ、ネット民みたいにお局を断罪してる。そんな白黒思考ってよくないのに。


 仕事が終わって帰り道も、自己嫌悪を引きずってしまっていた。お局のお弁当、そんな批判できる立場でもないのに。それにコンビニ飯のランチの私だって別に立派じゃない。こうして一人暮らしが成立しているのもコンビニやスーパーが近所にあるおかげだし。


「それにしても、お局の豆ご飯おいしそうだったな。いっそ、自分で作るか?」


 気づくとスーパーで缶詰のグリーンピースを買っていた。帰ったらお米を洗い、浸水させ、レシピサイトを見ながら調味料とグリーンピースを炊飯器に入れる。


「あぁ、簡単だけど、けっこう時間はかかるね……」


 それでも、炊飯器からいい匂いが漂ってきた時には後悔は減った。炊き上がった豆ご飯をみたら、後悔などゼロだ。


 ほかほかな湯気とともに、美しいグリーンピースの緑。ツヤツヤの白いご飯。見ているだけで満足。


「いただきます」


 手を合わせて食べる。素朴な味だ。味噌汁とサラダだけでも十分お腹いっぱい。グリーンピース、けっこうゴロゴロと入れたし。


「炊き立てって別格よ。コレはお局の弁当には勝った!」


 一人でマウントをとっても仕方ないけれど、おいしいものはおいしい。


 でも、なぜかお局に勝った気はしない。そういえば、グリーンピースって疲労回復に役立つらしい。お局の母がわざわざ気を使ってグリーンピースを選んだのかも。それは今の私にはないもの。


「いや、お局に勝っていないか……。やっぱりあのお弁当のがおいしそうだった」


 そんな気もするが、おかわしよう。おかわりしても誰にも何も言われないし。


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