表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネザーワールド リヴァイヴ(冥界蘇生)2 ~サディスト魔女×冷徹な堕天使!相反する二人が狂気の世界を切り裂く!~  作者: たくみふじ
虚無の庭園(ゼロ・ガーデン)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/67

過去との決別㈡

「混沌」の魔女と「秩序」の堕天使。最悪で最強な二人の狂気の共闘劇!

「私が天界の偽りの愛を捨てたんは、他者と関わるのが怖かったからやない。……そんな、あやふやで、不確定で、感情というノイズにまみれた『絆』なんかで世界を縛ろうとする、あんたらシステムの醜悪さに、心の底から絶望したからや!」


 バチバチバチバチッ!!


 凉子がショック棒の出力を限界突破させると、青白い雷光がドーム状の力場(フィールド)を展開し、彼女に触れようとした天使の彫像たちを一瞬にして原子レベルまで分解し、蒸発させた。


「孤独を恐れて、誰かと同調せな生きていかれへんのは、あんたらバグの方やろが。私の論理(ロジック)は、誰かに肯定される必要なんて一ミリもあらへん。……私自身が計算し、導き出し、そして実行する。その完璧なプロセスこそが、この宇宙で最も美しい唯一の『真理』なんや!」


 凉子の言葉には、冷徹な機械のような無機質さだけでなく、自らの生き様に対する誇り高く、決して揺らぐことのない絶対的な確信が満ち溢れていた。


「感情というノイズを排除した私の秩序(コスモス)は、砂の城なんかやない。宇宙の果てまで貫き通す、絶対の法則やわ。……私の演算に、あんたらみたいな美しくないバグが入り込む余地は、コンマ一秒も存在せえへんのよ!」


 凉子が左手に持つ水晶の『月詠の刃』に、彼女の極限まで高められた青白い雷光が注ぎ込まれ、刃そのものが眩いプラズマの塊と化す。


「さっさとデリートされて、この空間から完全に消去しなさいな!」


 凉子は、自らのトラウマの具現化である天使の群れに向かって、電流鞭と化した青い光の軌道を正確無比に叩き込んだ。雷光が閃くたびに、顔のない彫像たちは一切の抵抗もできず、数式が消去されるかのように、完全に無へと還っていく。

 灰色に染まった『虚無の庭園』の中心で、二人の少女は、自らの魂の最も脆い部分を抉り出そうとした神託の悪意を、完全に、そして圧倒的な力で粉砕していた。

 過去の恐怖も、トラウマも、彼女たちの持つ強烈すぎる「美学」という名のエゴイズムの前では、もはや何の障害にもなり得なかったのである。


『――バ、馬鹿ナ……! 何故ダ! 何故、人間ノ器ニ過ギナイ貴様ラガ、コレホドマデニ自ラノ法則ヲ強固ニ保テル!? 我ガ「虚無」ノ概念攻撃ガ、全ク通用シナイダト!?』


 次元の亀裂の奥から、神託の思念が、理解不能な事象に対する明確な「恐怖」と「焦燥」を露わにして絶叫した。


「……あらあら。理解できませんの? 可哀想なバケモノ」


 孝子が、最後の漆黒の騎士を電光剣で袈裟懸けに両断し、優雅にドレスコートの裾を払って振り返った。


「……ダボが。そんな簡単な計算もできへんのやったら、とっととシステムごとフォーマットして再起動してきなさいな」


 凉子もまた、最後の天使の彫像を雷光で蒸発させ、純白のスーツの埃を払いながら、伊達眼鏡の奥で冷たく言い放った。

 二人の少女は、再び背中合わせの陣形を取り、互いの息遣いを感じながら、真っ直ぐに次元の亀裂の中枢核(コア)を睨み据えた。

 互いへの殺意は、消えていない。

 だが、今この瞬間、二人の魂は、過去の亡霊を完全に打ち砕いたことによって、かつてないほどに純度を高め、そして揺るぎない絶対のものとなっていた。

 地獄の業火を纏う孝子の『千枚通し』と漆黒の『月詠の刃』。

 天の雷光を纏う凉子の『ショック棒』と水晶の『月詠の刃』。

 相反する二つの力が、互いを否定し合いながらも、目前の「特異点」を完全に破壊するという一点においてのみ、恐るべき精密さで同期(シンクロ)し始めていたのである。

 孝子の放つ強烈な熱量が、凉子の雷光のプラズマをさらに活性化させ、凉子の放つ精密な磁場が、孝子の業火の破壊力を極限まで一点に収束させていく。

 赤と青。混沌と秩序。

 二つの力が、螺旋を描きながら、一つの巨大な「破壊の槍」となって、二人の周囲に具現化しつつあった。


 その頃。

 次元の扉の外側、伊勢神宮・内宮の深く静かな森の入り口では、二人のサポート役が、限界を迎えつつある自らの肉体と精神を削りながら、主の帰還を信じて待機し続けていた。

 五十鈴川の冷たい水辺の闇の中。

 ガーディは、黒椿から受けたダメージによって崩壊しかけている自らの影の身体を、五十鈴川の清流から発せられる神気の圧力に耐えながら、必死に保っていた。


「……へっ。流石は私のお嬢様だ。あの次元の断層の向こう側からでも、お嬢様の魂が、これまでにないほど気高く、そして美しく燃え上がっているのが、ヒシヒシと伝わってきやすぜ」


 ガーディは、凶悪な目を細め、血の混じった黒い瘴気を吐き出しながら、闇の奥へ向かって低く笑った。


「……さあ、やってくだせえ、お嬢様。あの生意気なバケモノの心臓をえぐり出し、この宇宙に、お嬢様だけの最高の芸術を刻み込んでやりなせえ」


 そこから数十メートル離れた、漆黒の移動ラボラトリーの車内。

 詫間亨は、全身の火傷の痛みに冷や汗を流し、血の滲む指でキーボードを叩き続けていた。彼の目の前のモニターには、凉子の生体データと、彼女が展開している論理フィールドの数値が、驚異的な安定と上昇を示し続けている。


「……素晴らしい。次元の異なる空間にありながら、凉子様の演算能力は、微塵のエラーも起こさずに、あの混沌の力すらも完全にシステムの一部として制御しようとしている」


 亨は、モニターの青い光に照らされた顔に、研究者としての極限の歓喜と、凉子への絶対的な信頼の笑みを浮かべた。


「……いけます、凉子様。貴女の論理は、今、宇宙の法則すらも超えた。……あの特異点(バグ)の急所を、貴女の雷で、寸分の狂いもなく撃ち抜いてください!」


『虚無の庭園』の中心。


「……さあ、堕天使様。わたくしの歩幅に、コンマ一秒たりとも遅れないでくださいましね!」


 孝子が、両手の刃を交差させ、真っ赤な業火の推進力を爆発させて、次元の亀裂へ向かって一直線に踏み出した。


「……ダボが。あんたこそ、私の演算した最短ルートから、一ミリでもはみ出したら即座にデリートするから、せいぜい必死についてきなさいな!」


 凉子もまた、青白い雷光の軌道に乗り、物理法則を無視した超音速のステップで、孝子と完全に並走して虚空を駆け上がる。

 神々すらも干渉できない絶対的な無の空間で、過去の呪縛を断ち切った二人の少女が、今、全宇宙を巻き込むバグを完全に消去(デリート)すべく、最後の、そして究極の突撃を開始したのである。

X(Twitter)でも連載しています。

https://x.com/TakumiFuji2025

魅力的なキャラクターたちが躍動する物語をお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ