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ネザーワールド リヴァイヴ(冥界蘇生)2 ~サディスト魔女×冷徹な堕天使!相反する二人が狂気の世界を切り裂く!~  作者: たくみふじ
第一章 偽りの鎮魂歌(レクイエム)

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介入と撤退㈡

「混沌」の魔女と「秩序」の堕天使。最悪で最強な二人の狂気の共闘劇!

「だが、論理(ロジック)が混沌に屈することなどあり得ない。相手がオカルトの力で座標を探るというのなら、こちらは軍事用の高高度偵察衛星(サテライト)のマイクロ波レーダーを非合法にオーバーライドし、埠頭全体に高密度の電磁パルスを放射して、霊体の構成そのものを物理的に阻害するまでだ!」


 亨がエンターキーを強く叩き込んだ瞬間、はるか宇宙空間に浮かぶ衛星から、本牧埠頭へ向けて不可視の電磁波の雨が降り注いだ。

 一方、本牧埠頭の闇の中。

 孝子の足元の影から、倉庫の壁面、そして巨大なガントリークレーンの鉄骨の隙間に至るまで、自らの影の肉体を広域に分散させていたガーディは、宇宙からの不可視の攻撃を受け、影の中で苦悶の唸り声を上げていた。


「ぐぅぉぉぉッ……! なんという忌ま忌ましい光だ。空の彼方から、私の網膜を直接焼き切りにきやがる。このネズミ、ただの人間じゃねえ。天界の技術(テクノロジー)片鱗(へんりん)すらも、そのプログラムに組み込んでいやがるな……!」


 ガーディの影の身体が、電磁パルスの影響を受けてノイズのように激しく明滅し、その輪郭を保つのが困難になり始めていた。彼が誇る地獄の超感覚――数キロ先の蟻の足音さえも聞き分けるその「目」と「耳」が、強烈な電子のジャミングによって、まるで砂嵐のテレビ画面のように塞がれていく。


「お嬢様を完全にサポートするためには、私の『目』が不可欠だ。だが、このままでは、あの『青い光』の主の正確なデータどころか、我々の魂の波形が完全に逆探知されちまう。……チッ、これほどまでに執念深く、論理の刃を突き立ててくる輩が、この地上に存在したとはな」


 ガーディは、自らの魂を削りながら、さらなる地獄の瘴気を練り上げ、上空から降り注ぐ電磁波の網を強引に食い破ろうと、必死の防衛戦を展開していた。

 だが、二つの相反する異常な力が、限界を超えて衝突し、拮抗し続けていた、まさにその絶頂の瞬間であった。

 亨のラボのモニターと、ガーディの超感覚の網に、全く別方向からの「第三の異常」が、突如として割り込んできたのである。


『――凉子様! 戦闘を直ちに停止してください!』


 亨の声が、これまでにないほどに切羽詰まった、取り乱した響きで通信機から飛び出した。


『我々が展開している電子防壁の外側……本牧埠頭の周囲を囲む幹線道路から、多数の武装車両が猛烈なスピードで接近しています。無線を傍受しました。……神奈川県警のSAT(特殊急襲部隊)です! それも、一個中隊規模の完全武装。あと三分で、この第七D倉庫は完全に包囲されます!』


「……なんですって?」


 凉子の青い瞳が見開かれた。


「警察ですって? これほど大規模な人身売買の非合法取り引き、しかも我々のような存在が介入している現場に、なぜ警察の特殊部隊がこれほど早く、正確にピンポイントで到着できるんですの?」


『分かりません。ですが、無線の内容から推測するに、彼らは最初から『ここ』で大規模なテロ行為が行われることを知らされていた。誰かが、極めて正確な情報を、警察の上層部に直接リークしたんです。……涼子様、これは我々を捕らえるための、あるいは我々の対応能力を測るための罠です!』


 同時に、孝子の脳内にも、ガーディの焦燥に満ちた叫びが木霊した。


「お嬢様ッ! 遊びの時間は終了ですぜ! 外の様子がおかしい。この倉庫の周囲半径五百メートル以内に、完全武装した人間どもの集団が、数十台の車両で押し寄せてきやがった! 普通のサツの連中じゃねえ、殺しに慣れた特殊部隊の匂いがしやすぜ!」


「……まあ。どういうことですの、ガーディ? わたくしたちの完璧な隠蔽(いんぺい)を、人間ごときが()ぎつけられるはずがありませんわ」

 孝子は、電光剣の炎を下げ、忌ま忌ましそうに美しい顔を歪めた。


「ええ、我々の尻尾を掴まれたわけじゃありません。恐らくは……我々をこの場所に呼び出した、あの得体の知れない『神託(オラクル)』とやらですぜ。奴が、わざとサツにタレ込みやがったんだ。我々とあの青い光の女を衝突させ、そこに人間どもの軍隊を介入させたら、どういう『データ』が取れるか。奴はそれを高みの見物で測ろうとしていやがる!」


 孝子と凉子は、互いから数メートルの距離を取ったまま、それぞれ自らのサポート役からもたらされた絶望的な報告を聞き、同時に、見えざる第三者の底知れぬ悪意に戦慄した。

 自分たちをこの場所に呼び出した「神託」。

 彼らは、人身売買組織の殲滅など最初からどうでもよかったのだ。真の目的は、地獄の力を操る「赤い閃光」と、天の論理を行使する「青い稲妻」という、二つの絶対的な異常を同じ檻の中に放り込み、互いに殺し合わせること。

 そして、その戦いが最高潮に達した瞬間に、公権力である警察の特殊部隊を投入し、逃げ場のない状況下で、二人がいかにしてその窮地を脱するのか――その極限状態における「能力の限界値」と「判断のプロセス」を、安全な場所から完全にデータとして収集することだったのだ。

 最初から最後まで、自分たちは得体の知れない存在の掌の上で、踊らされているだけの実験動物(モルモット)に過ぎなかった。


「……ふん。反吐が出ますわね」


 凉子は、電流鞭のスイッチを切り、ただの金属の柄に戻してベルトに収めた。

X(Twitter)でも連載しています。

https://x.com/TakumiFuji2025

魅力的なキャラクターたちが躍動する物語をお楽しみください。

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