白語会
大型ビジョンの映像が切り替わった。
白い背景。
洗練された文字。
整った会場。
笑顔の人々。
高層ビルの屋上。
空港のような明るい空間。
黒いランウェイ。
白いセミナー会場。
そのすべてが、あまりにも清潔だった。
やがて、広告の中央に文字が浮かぶ。
REYOURSELF
FREE / STYLE / GROWTH
自由に生きる。
自分らしく装う。
成長し続ける。
白語会 presents
その名前が出た瞬間、識の表情が少しだけ変わった。
本当に、少しだけ。
けれど透真には、それがわかった。
透真
「白語会……知ってるんですか」
識
「はい」
透真
「どういう団体なんですか」
識
「言葉を扱う人たちです」
透真
「それだけ聞くと、俺の仕事とそんなに変わらないですね」
識
「似ています」
透真
「似てるんですか」
識
「だから、あなたは見に行くべきです」
透真は言葉に詰まった。
透真
「行く前提で話してます?」
識
「行かないこともできます」
透真
「できますよね」
識
「はい」
透真
「じゃあ、帰った場合は?」
識は、街の広告を見上げた。
識
「明日も、見えます」
透真
「……ですよね」
識
「見えないふりをすることもできます」
透真
「それは、たぶん得意です」
識は、少しだけ透真を見た。
識
「でも、あなたは立ち止まりました」
透真
「さっきもそれ言いましたね」
識
「大事なことなので」
透真
「意外と押しますね」
識
「必要な時だけです」
透真は、白語会の広告を見上げる。
自由に生きる。
自分らしく装う。
成長し続ける。
どれも、綺麗な言葉だった。
綺麗すぎて、少し怖かった。




