表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/28

自由の展示室

挿絵(By みてみん)

中は、空港に似ていた。


出発ロビーのような白い空間。大きな窓。どこかへ続いていそうな通路。宙に浮かぶ広告。


そこには、自由に関する言葉がいくつも並んでいた。


会社に縛られない。

場所に縛られない。

人間関係に縛られない。

過去に縛られない。

自分の人生を取り戻す。


どれも、強い言葉だった。


強すぎるくらいに。


展示台には、片道切符が置かれている。開いた鳥かごがある。軽いトランクがある。世界地図がある。ノートパソコンと、白いマグカップと、海辺の映像がある。


参加者たちは、それらを眺めていた。


目が輝いている人もいる。泣きそうな人もいる。何かを決める直前のような顔をしている人もいる。


透真には、その全員が少しだけ危うく見えた。



透真

 「自由って、展示にするとこうなるんですね」


 「わかりやすい自由です」


透真

 「わかりやすいのは、悪いことなんですか」


 「悪くありません」


透真

 「またそれですか」


 「でも、わかりやすいものは、持ち帰られやすいです」


透真

 「持ち帰られる?」


 「はい。自分の事情に合わせないまま」


透真は、片道切符の展示を見る。


透真

 「自由って、そんなに簡単に持ち帰れるものじゃないですよね」


 「本来は」


透真

 「本来は、か」


その時、近くの若い男が、展示の片道切符をじっと見つめていた。


透真は、彼の横顔に目を留める。


疲れている。だが、どこかで救われたような顔でもあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ