11.突入! 機械人間都市
「先生どうするんですか!?」
そう言っている間も、門の奥から防御ロボットたちは次々現れ続けている。
「ふむ。機械人間ではなく、普通のロボットのようだな。アルファ。状況どうだ?」
レイは、冷静に分析しつつ、アルファに指示を出す。
「マスターすみません。いつのまにか囲まれているようです」
「しかたねぇな! 強行突破するか!」
「はい! 頑張りましょう!」
レイとアルファは楽しそうに準備を始めた。
「なんで楽しそうなんですか」
エリーは、おかしなテンションの二人においてけぼりにされている。
「先生今度はどうやるんですか? またミサイルですか?」
「ミサイルは、弾数に限りがあるからな。今回は別の方法を行う」
準備を止めると、レイは真剣な顔でエリーに向き直った。
「改めて確認するが、これから機械人間都市に突入する。戦いは今までとは考えられないほど過激なものになると思うが、エリー、お前の意志に変わりはないか?」
いつになく真面目な顔に、エリーも意思を固めて回答する。
「もちろんです。どんなことでもやってみせます」
「よし、よく言った! では、そこのコクピットに乗り込むんだ」
「は、はい!」
レイに指示された場所に入り込む。
エリーは、何かを操縦するのだろうと思って中に入るが、操作バーのようなものはなかった。それに、なんだかものすごく狭い上に、天井からは空が見えた。
(なにか、嫌な予感がする……。)
「よしアルファ起動だ」
「はい。フルメタル化起動」
変身『改造少女:戦闘形態』
突然、周囲の壁が煌めき、エリーの体に金属の冷たい感触が広がる。
「変身ロック発動! 発射シーケンスに入ります」
「ん? 発射シーケンスって……」
「敵影にターゲットロックしました!」
アルファから次々と放たれる不穏な単語に、エリーは恐慌状態に陥った。
「ちょっとまってください。これなんですか!?」
「エリーキャノンだ!」
「ちょっと待ってください、なんで技名みたいなのに、私の名前が組み込まれて……」
「さあ、見せてやる。これが俺の理論の極致!」
究極理論『熱発生理論』
エリーは焦るも身動きが取れない。
(なにこれ!? 足元がどんどん熱くなって……)
「カウント入ります。5,4,」
「だから、ちょっと」
「2,1」
「ええ、本当にちょっと待って」
「発射!」
「いやぁあああああああああ!」
エリーは、砲台から恐ろしい勢いで射出されると、敵に向かって一直線に飛んでいく。
「ひぃいいいいいいいいいい!!」
周囲の風が激しく鳴り響き、エリーはまるで空間そのものを引き裂くような速さを感じた。
次の瞬間――
ズガァァァァァァァァァン!!!
あたりに響き渡る轟音と共に、ロボット達を撃破していた。
「う、うん?」
痛みは全く感じなかった。
辺りを見渡すと、破壊されたロボット達が無数に散らばっている。
「よし! どうだ何体倒した?」
「10体以上は確実に」
「よくやった。エリーもどってこい!」
(いや、よくやったって何!?)
レイの言葉に、全身の震えを抑えながらエリーはキャンピングカーに戻った。
「よくやった。じゃ、ないですよ。どんな神経してるんですか!?」
「どんな神経とは?」
レイはなんにも分かってない様子で首をかしげる。
「もし私死んだらどうするんですか!?」
「だから、一万回以上性能試験やってるって、万に一つも死ぬことはない!」
(絶対この人、私のこと砲弾としてしか見てない)
「なんか他に手段ありますよね」
「お前、格闘技とかやってるか? 前線で敵を全部なぎ倒してくれてもいいんだが」
「……やってません」
「あんな物量でこられて、押さえつけられたら身動きとれなくて、連れていかれるぞ。この方法なら、一回撃ち込んだら、周りの敵は吹き飛ぶから、安全に戻ってこれるし、それになによりお前は砲弾とちがって自分の足で戻ってこれるから、ミサイルが減らないから、ものすごく経済的だ!」
「そ、そうですが、私、女の子ですよ。女の子を大砲の砲弾にして、敵に撃ち込んだりしたらダメですよね」
レイは、腕を組んで、考えると頷いた。
「わかったぞ」
「わかってくれましたか?」
「エリーを一時的に男の子にすればいいんだな」
「ちがーう!」
レイは、本当に何も分かっていないように首をかしげる。
「何が違うんだよ。男の子にすれば、多少は筋肉ついて、さらに頑丈になるってことだよな」
「もうダメだ。この人、全然噛み合わない。ちょっとアルファさんもなんか言ってください」
「はい。マスターはびっくりするぐらいお人好しですが、同様にびっくりするぐらい人でなしなので、注意が必要です」
「いや、性格分析じゃなくて、もっと具体的なアドバイスを……!」
なにか言ってくださいというのは、レイの性格の説明が欲しかったわけではなかった。
「エリーさんは、不服を感じているようですが、マスターはエリーさんの意をマスターなりにそのまま反映しているだけになります」
「うん?」エリーはよく考えてみる。「……確かにそうだけど」
「マスターはお人好しなので、エリーさんが戦闘したくないと言えば、マスターはちゃんと代わりに戦ってくれます」
「本当ですか? なら……」
エリーの表情に一瞬だけ希望が宿る。
「その場合、マスターの思考傾向から察するに、『こいつなんでついてきたんだろう?』とエリーさんのことを疑問に思いながら戦ってくれることになるかと思います」
「よくわかってるじゃないか。アルファ」
「……」
エリーは、アルファの言うことがもっともだと感じて、何も言えなくなった。
「で、どうするんだエリー?」
エリーは無言のまま視線を逸らし、ため息をついた後、決意を込めて顔を上げる。
「……戦います。ええ! もうやってやりますよ!」
レイはにっこりと満足そうに笑った。
「いい返事だ!」
人間砲弾と化した、エリーの無双が今始まった。




