表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
究極限界リンカネーション~ホムンクルスの章~  作者: 名録史郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/25

10.鉄壁! 防衛システム

 エリーは、キャンピングカーの簡易ベッドの上で目を覚ました。

 なんだか悪夢を見ていた気がするが、現実の方がもっと悲惨で滅入ってくる。


「今から、機械人間都市に向かうんだし、気合いを入れないと」


 起き上がって、操縦エリアに向かうと、すでにレイは、起きていた。


「おはよう。エリー。アルファ、このあたりからは徐行で進め」


「はい。マスター」


「どうしたんですか?」


「ああ、このあたりは、人間界と機械人間界の境界線だからな。昔ハッキングした情報では、機械人間の作った防衛システムが働いていたはずだ」


「機械人間都市の防御システム? そんなの機械人間都市のそばにしかないはずじゃ?」


「? いや、だからもうすぐ着くぞ」


「着くって、……どこに?」


「どこって、目的の機械人間都市に決まってるだろ」


「ちょ、ちょっと待ってください。私機械人間都市から逃げ出して先生のところまで、数ヶ月かかったんですよ」


「機械人間都市まで千キロ。そりゃ、子供の足で地図もなしに蛇行しながら進めば、数ヶ月かかるだろう。こいつは、マックス時速100キロでるんだぞ。さあ、計算してみろ」


 言われて、エリーは指折り計算してみる。


「……10日でしょうか」


「なんでだよ。時速だって言ってるだろう。10時間だよ。1日かからねぇよ。昨日1日どれくらい走ったか、思い返してみろ」


「夜中に出発して、お昼にホーンラビットでバーベキューして、午後にルミシアさんちでお茶して、あとは……」


「あとは、機械人間の墓参りな」


「その言い方でいいんでしょうか」


「それで、残り時間は何してたよ」


「先生が、休んでていいって言うから、ベッドでゴロゴロと」


 お布団の柔らかさに包まれてゆっくり眠ってしまっていた。十時間は十分あった。


「ゆっくり進んでも、着くぞ」


 逃げ惑っていた日々が、一瞬にして無意味になった感覚にエリーは、襲われた。

 圧縮されて、ゴミ箱に放り込まれた虚しさ。


「あああ、私の苦難の日々を返してください!」


「何いってるんだ。お前は?」


 そんなことを話している間もキャンピングカーが走り続ける。


 エリー達の前に大きな壁が見えてきた。

 壁は、鉄の要塞のようにそびえ立ち、その表面には無数のセンサーや銃口が埋め込まれていた。遠くから聞こえる低い機械音が、不気味な静寂をさらに際立たせる。


「マスター、これ以上近づくと、迎撃を受けます」


 アルファの言葉に、エリーは首を傾げる。


「私が逃げ出したとき、ここを通りましたが、なにも反応しませんでしたよ」


「もしかしたら、お前は機械人間判定なのかもしれないな。よし、じゃあ、ちょっと試しに行ってきてくれ」


「はい。行ってみます」


 エリーは、キャンピングカーから降りて、壁に近づくと、彼女の足音がコンクリートに反響する。静寂の中でその音は異様に大きく感じられた。


 次の瞬間、鋭い警告音が鳴り響く。


「生体反応確認。排除開始。対象:人間」

 

「うそっ!」


 そんな攻撃想定していなかったエリーは、驚きの声を上げた。


 エリーの頭の中を、システムの警告音がかき乱し、足がすくんでしまった。


 ゆっくり自分の方を向いていく銃口に、エリーは自らの死を覚悟した。


「アルファ!」 


「フルメタル化起動します!」


 エリーの両手両足の人工皮膚が光り輝きながら開くと、中からメタル合金が飛び出し、エリーの全身を覆う。輝く金属の表面には幾何学的な模様が浮かび上がり、その隙間から青白い光が漏れ出た。そして、背中の接続部分から、頭部を覆い尽くすフルフェイスが、展開された。


変身『改造少女(エリー)戦闘形態(バトルモード)


「変身完了です! エリー、戦闘モードに移行しました!」


 ドォーン!

 と、ミサイルが直撃した。

 

「えっ……? いた……くない!?」


 衝撃で舞い上がった砂煙が晴れると、エリーは無傷で立ち尽くしていた。


「こ、これなんですか!?」


 エリーが叫ぶと、フルフェイスの中に、レイの声が響き渡る。


「こんなこともあろうかと、徹夜して改造しておいたぜ!」


「先生、ちょっとマフラー編むみたいな感じで人の体を改造するのやめてください」


「元から改造人間なんだから、いいだろう!」


「いいわけないでしょう!」


「エリーが仮に、機械人間にもう一度連れ去られたとしても、絶対死なないように改造しておいたんだぞ」


「それなら……」


 そのような事態を想定できていなかったエリーは、自分を恥じ、レイのことを見直した。


「体の曲線をしっかり表示することによって、露出面が一切存在しないのに、むしろエロいという究極の美をとことんまで追求しておいたぞ」


「普通に最低なんですが!? 本当に最低です!」


 エリーは、一瞬見直しかけたが、やっぱり最低だと思い直した。


「ちなみにこのデザイン監修はアルファだ」


「はい! マスターの指示通りに完璧に仕上げました」


「二人とも、こだわるところそこじゃないと思います!」


「ちなみに、自分で起動する場合は『変身』と叫びながら、それっぽいポーズをすると変身できる」


「それっぽいポーズってなんですか!?」


「百聞は一見に如かずだ! 一回解除するから、やってみろ! アルファ」


「はい。変身解除します!」


 アルファの声と共に、エリーの全身を覆う装甲が、解除されて、再び手足と背中のアタッチメントに収納される。


「生体反応確認。排除開始します」


 再び防御システムが作動し、攻撃を開始した。


「わわわわ、へ『変身!』」


 エリーは、よくわからないまま、バンザイのポーズで叫ぶと、再び手足と背中のアタッチメントからメタル装甲が展開されて、全身を覆い尽くした。


 再び爆音が轟く。


 同じように、砂ぼこりがおさまると無傷のエリーが立っていた。


 防衛システムがエリーに注目している隙に、キャンピングカーからミサイルが飛んでいき、迎撃装置を爆撃していった。


 戻ってきたエリーを見て、レイは評価を下す。


「うん。20点」


「なにが!?」


「もっと、センスある可愛いかかっこいいに寄せたポーズはないのか?」


 レイは、キレのある両腕をクロスしたポーズを披露してみせる。


「急に言われてもそんなの出来るわけないでしょう! それに、なんで事前に教えてくれなかったんですか」


「事前に教えたら、ミサイルを受け止めたりしないだろう。まあ、とにかく性能実施試験は問題なさそうだな」


「絶対確信犯でしたよね!?」


「はい。あの手のシステムは、近づく場合は反応しますが、離れていく物体には、反応しないようになっています」


 アルファが、素直に告げた。

 レイは、その説明に頷いて補足する。


「安心しろ。きっちり性能繰り返し試験は一万回以上しておいたからな! これでお前は、どんな強力なミサイルが飛んでこようと、死ぬことはない! どうだ完璧だろう!」


「なにがどう完璧なんですか!?」


「なにを怒ってるんだ? 俺が可能な方法で、できるだけ身の安全はまもってやるが命の保証はできないっていっただろう? アルファ画像だしてくれ」


「はい。マスター」


 アルファがふわりと姿を現し、画像を照射する。


 映像にレイとエリーの過去の姿が映る。


『俺が可能な方法で、できるだけ身の安全はまもってやるが命の保証はできないぞ。それでもいいのか?』


『はい!』


 気丈な表情をして返事をする自分の姿があった。


 レイは出発するとき確かに、そう言っていた。

 そして、何一つ嘘はついていない。


「ああ、あの頃の自分に先生の本性が正しく理解できる頭と余裕があれば……」


 あの言葉に悪気は一切ない。

 親切心から出た言葉には間違いない。


「どうしたんだ?」

 

 今だって、悪気は一切ない。

 心配した表情で、エリーを見つめるレイ。


「うっ……ぐっ……あ、ありがとうございます」


 エリーはなんとか絞り出すように、お礼を言った。


「気に入ってくれて、うれしいぜ! おう。どうやら門が開くみたいだな」 


 低い機械音と共に巨大な門がゆっくりと開く。

 中から無数の防衛ロボット達が現れた。


「随分、歓迎してくれてるみたいだな。楽しくなってきたぜ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ