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「親父さん、取あえず中ジョッキ4(よん)」

「へいっ~~! 入ったよ! 中ジョッキ4!!」

 室川が大声を出すと、若い板前は慌ただしく、樽の生ビールをジョッキに注ぎだした。このタイミングで、室川は突き出しの鶏ささ身の味噌漬けを乗せた小皿を置いていった。相変わらず同じ突き出しだ…と、保は嬉しく思った。

「君さ、よく働くけど、名前なんてぇの?」

 若い板前が生ビールの入ったジョッキを前へ置いたとき、保は思い切っていていた。

「ああ、こいつですか! 天宮あまみや)って言います。可愛がってやって下さい!」

 室川が割って入り、先に言った。

「天宮昇って言います」

 天宮は、ペコリと頭を下げた。東北訛なまりがあるピュアな好青年だ・・と保は思った。

 皆にジョッキが行き渡ったところで、山盛教授がジョッキを手にし、音頭を取った。

「それじゃ、皆。成功を祝して乾杯!!」

 全員がグビグビッとひと口、ふた口、やった。

「成功とは、おめでたいですね、岸田さん!」

「まっ! とりあえず・・ってことで」

「いやいやいや、いい話は、こちとらも気分がいいや、なあ?」

 室川は天宮に同調を促した。

「そのとおりです…」

 ふたたび、天宮の口から朴訥ぼくとつとした東北訛りが飛び出した。

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