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「なんだ、そうでしたか…。それじゃ、いずれまた」

 ふたたび、教授は軽く会釈をすると歩き出した。但馬、後藤、保の三人も機材を肩に手には自動補足機を持ち、教授の後を追う。沙耶一人? が、そのまま四人を見送る。

「じゃあな、沙耶!」

 軽く振り返り、保は停止してそう言うと、急ぎ足で二人に追いついた。 こうして、自動補足機の試運転実験は成功裏に終結した。保は、そのこともさりながら、沙耶がアンドロイドだと皆が気づかなかったことが嬉しかった。今まで課題だった人間の両眼の動き、それと皮膚の質感に対する違和感で何度もやり直しを余儀なくされてきた。保にとって、研究室というプロのメンバーの目をあざむけた充足感は確実にあった。

 その日は研究室の全員で一杯やり、実験の成功を祝った。店は保が親友の中林とよく行った小料理屋の冷麦ひやむぎである。店は早かったせいか、客は誰もいなかった。

「いらっしゃい!!」

「おや、岸田さん。今日は大勢でお越しですね。なんぞ、ありましたか?」

 全員がカウンターへ座り、店主の室川がニタリと笑顔を見せた。

「そうなんだよ、親父さん。まあ、企業秘密で詳しいことは言えないけど、いいことがあってさ…」

「そうでしたか。そりゃ、よかった…」

 室川の手は絶えず動いている。二人が話している間に若い板前が全員に水コップを置いていった。

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