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「あっ、いいんだ、後藤。沙耶はコーヒー嫌いだから…」
保が瞬間、沙耶をフォローした。
「あっ、そうか…」
別に不自然な話ではなく、他の者も驚かない。沙耶がアンドロイドだから飲めない…と知るのは、保一人だった。それだけ沙耶は完璧な人間を演じ切っていた。
「さてと…。但馬君、どうだね? データは、きちっと記録できたかい?」
缶コーヒーで喉を潤し、少し気分が紛れたのか、教授はゆったりと但馬に訊ねた。
「えっ? ああ、はい。間違いないようです」
「そうか…。なら、いいよ。さあ! 長居は無用、引き揚げだ。昼まで、たっぷりあるが、旧友に済まないからな。少しでも早く、おさらばしよう。今、電話かけておくよ」
教授は背広ポケットから出した携帯を手にした。教授の携帯は相当前の機種タイプで、今、流行りつつあるタッチパネル式ではなかった。教授は電話相手としばらく楽しそうに話していたが、皆の視線に気づいて慌てて切った。
「いや、悪い悪い。待たせたね、行こうか」
『じゃあ、私はこれで失礼します。ちょっと、買い物があるから…』
「あっ! そうですか。それじゃ、お元気で。また東京に来て下さい!」
教授は軽く会釈した。
『いえ、私、まだしばらく、こちらにいますから…』
沙耶は危うく誤解されそうになり、慌てて否定した。




