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「やはり、そうでしたか」
「では、失礼しますでのう。孫を、どうか、よろしゅう…」
「微力ながら…」
教授が頭を下げ、中へ入ると、長左衛門は保を小声で手招きして呼び寄せた。
「お前が困ると思うて、じいちゃん、ああは言ったが、いったい誰じゃ。お前もわしに似て、達者じゃのう。勝は、サッパリじゃが、お前は、わしに、よう似とる」
「そういうんじゃないんだ、じいちゃん。さっき俺が言ったのは口から出まかせだけどな…」
「…じゃろう。じいちゃんな、詳しい訳は、聞かん。…また寄るからのう。…それじゃのう。ははは…結構、結構!」
勝手に言い終え、長左衛門はサッと踵を返した。ステッキを突いて颯爽と立ち去る姿は、とても卒寿を過ぎた老人とは思えず、70前後の老人にしか見えなかった。怪獣長左衛門は、またの来襲を予告して大海原へ消え去ったのである。
「何か話していたが、何だね」
教授は、白衣を着ながら訝しげに言った。
「いや~、なんでもないんです。そのうち帰るから皆によろしくって言っただけなんです」
「そうか…」
教授が自席の椅子に座ったとき、但馬がやってきた。
「なんだ! 教授でしたか…。鍵が開いてたもんでね。えらく早いじゃないですか、…岸田君も」
但馬独特のヨイショ笑いを浮かべながら、但馬は二人を見た。
「いや、ちょっと車の調子が悪いもんで、修理に出したんだ。そんなことで早く来たって訳さ」




