表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/310

-81-

「どうされたんです? いつもは車ですが…」

「いや、なに…。ちょっと修理にね。なにせ20年以上、乗ってるポンコツだからな、ははは…」

 別に面白くなかったので、保は笑わずうなずくだけにした。

「それしても早いじゃないですか。この分だと、一番乗りですよ、たぶん。僕も20分ばかり早く出ましたから…」

 久々に保は僕と言っていた。普段は俺だが、教授の前だから、つい出たというのが本当のところで、体中がかゆい気分だった。

「但馬君といい勝負かもな。いやな、馴れん通勤だから少し早く出ようと思ったまでさ」

 二人が話しているうちに降りる駅が一つ先に迫っていた。乗降客の数は、そう変わらない。教授は動いた列車の方が話しやすいのか、今度は吊革に揺られる保へ語りかけてきた。

「今日はアレの試運転実験をするだろ? 現地の国立競技場まで全員が出張るしなあ…」

「あっ! そうでしたね。うっかり忘れてましたよ。施設の使用許可は取られたんですか?」

「むろんだよ、君。無断使用で警察沙汰なるからな。私の大学同期が今、某スポーツ団体の常任理事でね。本人の弁じゃ押しが効くらしい。眉つばだと思ってたら、案外簡単にOKが出てさ。本人は天狗だよ」

「なんだ、そういうことですか」

 保が話し終わるのと同時に列車内が一瞬、グラッと揺れ、車両は駅に停まった。二人は迅速に下りると、改札口へ向かった。保はPASMOだが、いつもマイカー通勤の教授は当然、切符だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ