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『借りものの猫? …』

 沙耶の言語システムが調べ出した。

「分かるだろ? それは」

『ええ…。おとなしく従順である』

「ああ…。ははは…硬いっ! まあ、間違ってはいないけどな」

 保は笑った。沙耶も表情システムの笑いで付き合った。その後、二人? は、あれやこれやと長左衛門対策を立てたが、その当の長左衛門がマンションを襲来するのは、かなり先だった。機械工学のエリートをしても、そこまでは予測できなかった。保ではなく、沙耶が直接、長左衛門と話していれば、沙耶の予測システムにより、そんな心配をしなくてよかったかも知れないのだが…。

 次の日は晴れていた。保はいつものように沙耶によって起こされ、沙耶によって送り出された。朝食を含め、その間の全ても沙耶によってコントロールされているのだから、これはもう、世の亭主族と同じだった。もちろんメリットとしての安らぎはあったが、自活する男のワイルドさは少しずつだががれていくように保には感じられた。地下鉄が揺れていた。今日は珍しく座れた…と思い、ふと顔を上げると、山盛教授が立っていた。

「あっ! おはようございます。ど、どうぞ…」

 保は思わず立って、席を勧めていた。

「そうかい? …すまないね」

 教授は保の善意に甘えて、席へ座った。

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