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「…女の声? 保、誰かいるのか?」

「あ、ああ…。大学の友人だ」

「そうか。ははは…お前もそろそろだしな。じゃあ、切るぞ。元気でな!」

「ああ、兄貴もな」

 深く追求せず、携帯が切れた。保は、ほっとした。

『お兄さまがいたのね。知らなかったわ』

「えっ? 俺、データに入れてなかった?」

『ええ、入ってない。家族関係はデータなし。ちょっと、待って。調べてみるね』

 沙耶は座ったまま両目を閉じ、動かなくなった。そして30秒後、沙耶はふたたび目を開けた。

『やっぱり、入ってなかった。お友達とか他の人物関係は全部OKなんだけど…。どうする? 組み直す?』

「…いや、知識取得機能も働いてもらわないとな。一端、記憶すれば事足りるんだ。もうめいおぼえたろ?」

『うん! 里彩りさちゃんだったわね。お兄さんは?』

「そうそう、兄貴はまだだったな。まさるっていう。その嫁が育子さん。妹が奈々。それともう一人、なかなかの大物じいちゃん長左衛門」

『長左衛門? 時代劇ね。了解! 記憶データに組み入れたわ』

 沙耶は感情システムが起動したのか、ニコッと笑った。

「お前さ、その言い方なんとかならないか。今はいいけどな。他人がいる場じゃアウトだぜ」

『そうね…ごめん。言い直します。憶えたわ…』

「それでOK」

 保は沙耶の言葉に、まだ危険もあるな…と気づかされた。

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