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━ いってらっしゃい。早く帰ってね・・か。ああ、堪らん! ━
新婚ホヤホヤ感の出だしに、保は歩く道すがらも思わず顔が緩み、その都度、必死で素の顔に戻した。だが、長くは続かず、地下鉄の中で突然、ニンマリした保を見た乗客が、首を捻って変な顔をした。
山盛研究室は京東大学の新館3階にあった。研究員は三名、講師の但馬、それに保と同じ助手の後藤だ。だから、山盛教授を含めれば、研究室は四名ということになる。
「おはようございます」
[山盛研究室]と黒字で横書きされた白プレートが、入口ドア上部に取り付けられている。保がそのドアを開けると、いつも朝早くから研究室に来ている但馬が振り返った。
「ああ、おはよう…」
但馬は無頓着にそう言いながら、すでに一昨日から中断していた基盤の盤陀付け作業を始めていた。この時期、山盛研究室では新開発のメカに取り組んでいた。保にすれば、自分のアンドロイド開発の方が遥かに工学的だ・・と思えたが、自負するその気持は三人がいる前では、億尾にも出さなかった。だから他の者は、誰も保がアンドロイドを開発したとは思っていない。保が自分の机椅子に座って五分後、フケが飛び散りそうなアフロヘアーを揺らしながら後藤が入ってきた。そして、いつもと同じ仕草で首を二、三度、ぐるりと回すと席に着いた。この男、どこから見ても大学助手には見えない。




