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「沙耶、しばらく部屋へ戻って停止していてくれ。補助機能だから負荷がかかり過ぎないようにな。動くときは俺が行くから」

「はい!」

 沙耶は素直な返事をして、部屋へ向かった。誰もいなくなった部屋で、深呼吸をひとつすると、保はさっそくパソコンの電源を投入、フラッシュメモリーを起動した。バイナリセーブされたファイルが立ち上がり、プログラムの数字、英文字、記号などの羅列が一瞬のうちに画面に現れた。一見すれば、普通の人間にはチンプンカンプンの画面である。このプログラムは山盛教授ですら組めない、しろものだった。保はそれが出来る天才だった。というか、アンドロイドに関する機械及びその他の製作技術をも持つ優れ者なのだ。だが彼はその才を隠す、いわばスーパーマンといえた。その保がコボル[プログラム用高級言語]をいじくって今日の問題点を修正していく。さらに新しいプログラムを組み、ハイレベル電磁波から沙耶を守る防御機能を付加する。強力電磁波を受けた際は負の電磁波を発し、中和ないしはじき返すバリア機能である。格闘から三時間、どうにかこうにか、そのものが組み上がった。組み上がったプログラムのチップを二次元のバーチャル空間にいる沙耶に埋め込み、シミュレートを繰り返す。バーチャル沙耶がトラブった場合は、チップを取り出して組み直す。そして、ほぼ完成に漕ぎ着けたとき三時間が過ぎていた・・と、まあそういうプロ的な話である。

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