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チ~ン!と聞きなれた音がし、保が降り、沙耶も降りた。さあ! 第二関門だ。恐らくは講師の但馬が来ているだろう…と保は思った。むろん、その図も保の頭の中にシミュレートされている。
保が山盛研究室のドアを開けると、予想どおり但馬は来ていた。
「おはようございます」
「ああ、おはよう…」
保が朝の挨拶をすると、決まり文句が返ってきた。だが、この朝は少し塩梅が違った。沙耶が保の背に隠れるように入ってきて軽くお辞儀をしたからである。
「だ、誰よ! 岸田君…」
但馬にしてはいつもの冷静さを欠いて、声が上擦っている。明らかに動揺している様子が見て取れた。沙耶には但馬の音声解析が瞬時に終わり、彼がどんな精神状態にあるかが、すでに分かっていた。
「あっ! 田舎の従兄弟です。ちょっと見学で…」
「そう…。私、講師の但馬と言います。岸田君の上司です」
但馬は少し偉ぶって挨拶した。沙耶にはこの瞬間、但馬の性格も解析できている。この点が、ただひとつ保と違う点だった。沙耶は他人の解析は全て出来るがご主人である保の解析は出来ないプログラムが組まれていた。
『そうですか。沙耶です…』
少し遠慮気味に沙耶が答えた。まずまずの出来だ…と保は思った。




