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 地下鉄は混んでいたが、別に問題なく二人? は京東大学大学院・新館に着いた。まず初めの関門は入口である。常駐のガ-ドマンがいることは、まず間違いがない。沙耶が妙なことを言わないかが保としては一番、気がかりだった。

「おはようございます!」

「おはようございます…」

 年老いたガードマンは何やら書いていて、顔を伏せたまま言った。沙耶は後に通過させようと保は思っていた。地下鉄に乗っているときから、入口での行動はシミュレーションで描いてある。ただ、首尾よくいくかは沙耶次第だから、緊張感はあった。保は言った後、その場に停止し、沙耶を通した。ガードマンが顔を上げる。

「おや、岸田さん、お知り合い?」

「ええ、従兄妹いとこです。ちょっと、案内方々…」

「あっ、そうですか。…じゃあ、これ着けてもらって下さい。お帰りのとき、お返し下さい」

 ガードマンは外部者通行用の名札を保に渡した。保はそれを沙耶に手渡す。沙耶は軽く礼をすると、服の左側へ、その名札を付けた。

「さあ、行こう…」

 ふたたび軽く礼をすると、沙耶は保の後ろに従った。よし! 何の違和感もない。上手くいった…と保は心の中で安堵あんどした。自分のシミュレーション通りの進行に大満足の保である。二人? は無人のエレベーターに乗った。

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